『リーグ・オブ・レジェンド』新たなAFK対策「/remake」コマンドを導入予定。ゲーム開始直後のAFK発生による不公平さの緩和狙う

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リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends、LoL)』を開発・運営するライアットゲームス(Riot Games)は5月19日、次期パッチ6.11の実装と同時に「/remake」コマンドを導入する予定を発表した。このコマンドは一定の条件下で戦績に傷をつけることなく試合を即時終了できる投票を行うもので、不公平な試合の成立を防ぎ競技性を高めるためのもの。まったく新しい仕様のため、まずは北米サーバーにてテストが行われる。

『LoL』をはじめとするMOBAならずとも、リアルタイム接続でランダムなオンラインマッチを行うゲームは多い。その中でランク戦システムが存在し、上位プレイヤーは専業のプロとして生活が成り立つ『LoL』では、システム的に競技性を保つ仕組みが複数設けられている。既に全世界で運用中のLeaverBusterは、試合の途中退出を繰り返す悪質なプレイヤーを罰するためのシステムだ。チャンピオン選択中にロビーから退出する対戦回避や、ゲーム内でのさまざまな嫌がらせを意味する悪質行為などに対しては、同様にまずはシステムが適切な対処を行うように設計されている。

「/remake」の使い方と効果

今回導入予定が発表された「/remake」コマンドは、チャットで使うコマンドだ。試合の勝敗に影響するチャットコマンドといえば、試合開始20分以降、自チームに対して降伏投票を行う「/ff」が既に存在する。「/ff」とはちがい、「/remake」コマンドは試合開始直後の回線切断や試合退出により、不公平になってしまった試合を成立させないためのコマンドとなる。

「/remake」コマンドには前提となる条件がある。まず、試合開始から3分の時点で、90秒以上接続が切断されていたり、離席とみなされたりするプレイヤーがいること。次に、ファーストブラッド(その試合初めての、プレイヤーによるチャンピオンのキル)が発生していないこと。この2つの条件下で、人数が少なくなってしまったチームのチャット欄に「/remake」をうながすメッセージが表示される。

こうして「/remake」コマンドが有効になると、うながされたプレイヤーは1分の間、誰でもチャットからコマンドを発動することができる。コマンドを使うにはチャット欄に「/remake」と打ち込んでEnterを押せばよい。すると投票画面が表示される。たとえば4人になってしまった(相手チームよりも人数が少なくなった)チームは、メンバーの30%である2人が投票に同意すれば、その試合は即刻終了となる。

こうして「/remake」コマンドによって試合が終了すると、試合は無効試合となる。その試合に参加していたプレイヤーは試合に参加しなかったこととなるが、切断・離席していたプレイヤーの試合履歴では敗北試合として記録される。

また、通常の試合であれば終了時にヘクステッククラフトの材料となる戦利品が獲得できるが、「/remake」コマンドで無効試合となった場合、戦利品は獲得できない。

ランク戦での処理

ノーマル戦における「/remake」は無効試合処理になるだけだが、真剣に技量を競い合う競技であるランク戦では、切断・離席したプレイヤーに競技的なペナルティが適用されるようになっている。

「/remake」による無効試合に参加したプレイヤーについては、試合が発生しなかったことになり、LP(ランクの上下に関わるポイント)増減や昇格戦での敗戦カウントが発生しない。違うのは切断・離席したプレイヤーについての処理だ。そうしたプレイヤーは「試合に敗北した」とみなされ、LPの減少が適用される。またランクの昇格戦に突入していた場合も、敗北として処理される。

さらにグループについての特殊ルールも適用される。現在『LoL』のランク戦はダイナミックキューを採用しており、任意の人数でグループを作ってランク戦に参加できるようになっている。上位ランクであるダイヤモンド5以上のプレイヤーは、自分のグループ内に切断・離席したプレイヤーがいた場合は敗北試合扱いとなり、連帯責任で同様のペナルティを課される。グループは大抵の場合フレンドなどで構成されるため、必ずしもランクが同じだったり近かったりといったプレイヤーで構成されるものではないが、ダイヤモンド5以上のプレイヤーはこの点に注意する必要があるだろう。

切断・離席行為との戦い

『LoL』では、ゲームの黎明期から切断・離席行為は故意であれば悪質な行為とされ、ペナルティの対象となってきた。これらの行為が5対5という少人数のチーム戦である『LoL』のゲーム体験をいちじるしく損なうためだ。

Lead Game Designer of Social Systemsを務めていたLyte氏(5月10日にRiot Gamesを退職)の過去の投稿によると、今回の「/remake」コマンドの導入については、少なくとも2014年から開発が続けられていた様子がうかがえる。氏は同年の別の投稿でも、「/remake」コマンドの原型と思われるシステムに触れており、Riot Gamesが数年をかけて取り組んできた問題解決が実を結ぶ時が来たといえるだろう。

ただ、「/remake」コマンドの実装が、こうした切断・離席行為に対する「銀の弾丸」というわけではないだろう。Redditの議論スレッドでは「/remake」コマンドの仕様に混乱するユーザーたちが多く見られる。「ずっとローディング画面のままで自分のPCでは試合が始まらなくて、でも他の参加者にとっての試合は始まってるということが時々あるのだが、そんな状況ではこのコマンドが使われるよううながされるのだろうか? そしてその試合で自分は敗北扱いになるのだろうか?」という書き込みには、共感するユーザーが多い。「この仕様では、相手チームがこちら側のAFKに気づいて、わざとファーストブラッドを取らせるようにすれば、/remakeができなくなり、相手が有利な4対5の試合を始められるのではないか」といった、システムの穴を指摘する投稿も。「切断したプレイヤーがいる場合、自動でポーズがかかってから投票が始まったほうがよいのではないだろうか」といったシステムの更なる改善案なども投稿されており、コミュニティでは活発な議論が交わされている。

Riot Gamesはこの新しい仕様の導入には慎重であり、まずは北米サーバーにて、今後実装予定の6.11パッチ期間中にテストを行うとのことである。未実装の機能であるため、「/remake」コマンドの全般的な動作確認や実際のデータ収集だけでなく、ランク戦におけるダイヤモンド5以上のプレイヤーの扱いをもっと低いランクにも広げるべきかどうか、なども検討されるはずだ。NAサーバーでのテストに先がけて、6.11サイクルのパッチテストが始まっているPBEでは、さっそく「/remake」の実装およびテストが始まるとの告知もされている。テストが順調に行われれば、今後この仕様は世界中のサーバーに順次実装されるとのこと。

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