パーティ構築型ローグライク『ビビッドワールド』は、ランダム要素への反省と新要素追加によって前作『ビビッドナイト』超え目指す。開発者インタビュー
京都で7月18日から開催された「BitSummit the 13th」にて、本作のリードゲームデザイナーを務めるURU氏にゲームとしての進化を聞いてきたので、その内容をお届けしよう。

アソビズムより、『ビビッドワールド(Vivid World)』が2025年に発売予定となっている。同作は、Steamにて非常に好評を獲得している『ビビッドナイト』の後継作となる、パーティ構築型ローグライクだ。残念ながら5月に延期が発表されて、2025年のリリースとなってしまったのだが、延期発表後に公開された開発ブログに気になる表現があった。本作の開発は、好評だった前作よりも「もっとたくさんの人に届いて、しかも深く遊んでもらえるゲームを作ろう」というところから、開発が始まっているのだという。どんな工夫によって、前作を超えようとしているのだろうか。
京都で7月18日から開催された「BitSummit the 13th」にて、本作のリードゲームデザイナーを務めるURU氏にゲームとしての進化を聞いてきたので、その内容をお届けしよう。
―― まずは自己紹介をお願いします。
URU氏:
アソビズムのURUです。『ビビッドワールド』ではリードゲームデザイナーを務めています。機能やコンテンツの中身、バランス調整やユニットの性能考案、どういうフローで遊ぶと面白いのかなどをディレクターと一緒に考えています。これまでアソビズムでは、スマートフォン向けタイトルの『城とドラゴン』に携わっておりました。
―― 関わってみて、運営系タイトルと買い切り作品で感覚の違いはありましたか。
URU氏:
運営系のゲームでは、スポットで出すものを作ります。たとえばガチャに新しいキャラクターを1体追加すると、それ単体で魅力的になることを意識します。でも買い切りのタイトルでは、コンテンツは全部作った上でリリースされます。なので、単体ではなく全体でどう作用しているかを気にしなきゃいけない。そこの感覚がすごく違いました。それと、ユーザーさんの反応がすぐに返ってこないことも違いますね。本作では、体験版の配信時やイベントへの出展時に感想を頂いていますが、正式なリリースはまだこれからです。リリース時にユーザーさんからどんな反応がもらえるのか、ドキドキしています。


前作『ビビッドナイト』を超えるために
―― 本作の開発は、前作『ビビッドナイト』よりも「もっとたくさんの人に届いて、しかも深く遊んでもらえるゲームを作ろう」というところから始まっていると伺いました。前作の『ビビッドナイト』を超えるために、ゲームプレイの面ではどういった工夫がおこなわれているのでしょうか。
URU氏:
前作『ビビッドナイト』は、ユーザーの皆さんに非常に面白いゲームとして受け入れられたと思います。最初は取っ付き辛い部分もあるかもしれませんが、一度理解するとずっとハマって遊んでしまう、のめりこめるゲームだと思っています。そうやって評価された一方で、やはり取っ付き辛さはありますし、ルールを理解しづらい点もあります。また、ランダム性が強く、多くの箇所がランダムでした。ローグライクはそもそもランダムなものではあるものの、ちょっと多かったかなとは思っています。
そこで、今作ではしっかり反省してランダム性を明確に減らしています。たとえば、本作も『ビビッドナイト』と同様に、キャラクター以外にプレイヤーが使用するジェムという要素があります。前作のジェムは、何が出てくるのか完全にランダムでした。ユニットの構成や状況によって欲しいジェムがあっても、狙ったジェムが手に入るかどうかは完全に運次第となっていました。今回はまずジェムの種類が少なめのところから始まるので、狙ったジェムが拾いやすくなっています。さらに、そこからジェムを合成して新しいジェムを作る形式になっているので、欲しいジェムが狙いやすくなりました。パーティーの方向性によってどのジェムを残していくか考える、ジェムも含めたパーティー構築がより楽しめるようになったと思っています。
ランダム性と関連して、スキル発動にもある程度の法則性が付きました。前作ではスキル発動が運だったので、すごく強いスキルを敵が連発するケースや、味方がまったくスキルを撃たなくて困ることもありました。今回はスキルと関連してTPという要素を導入しました。TPが毎ターンある程度の範囲内で増加して、100に到達したらスキルが発動する形式になったので、戦略を立てやすくなっています。ランダム性の低減によって、ある程度狙った行動がしやすくなったんじゃないかなと思っています。
新要素によって、パーティー構築はさらに悩ましく
―― 新要素の「ユニオンスキル」についても伺わせてください。どういったことができるんでしょうか。
URU氏:
「ユニオンスキル」は、特定のユニット2人がスキルを発動すると、追加の強力なスキルが発動する新システムです。まずダンジョンに入ってユニットをアップグレードすると、その時にアップグレードしたユニットの相方がランダムで決定します。その後、2人をパーティーに編成した状態で両方がスキル発動すると、ターン最後に追加のスキルが発動する形です。ちなみに、ユニオンを組んだ2人がスキルを使うのは、違うターンでもOKです。2人がそれぞれスキルを1回以上使い終わると、ターンの最後にユニオンスキルは発動します。
ユニオンスキルとしてはシンプルに強力な攻撃や、特定のパーティーにとても効果的な全体バフ、回復やユニオンスキルでしか存在しないバフなんかもあります。ざっくりいうと、2人のキャラクターがそれぞれスキルを出せば追加で発動する、強力な必殺技のような仕組みになっています。もともと本作ではシンボル同士の相性や、シンボルとユニットの噛み合いなどでパーティーを決めていましたが、ユニオンスキルを入れるかどうかでも、パーティー構築に悩んでいただけると思います。

―― 前作では、シンボルカラーをとにかく集めていく戦略が強力でしたが、ほかの選択肢も増えた形ですね。
URU氏:
シンボルカラー一辺倒ではなくなっています。今作の新要素としてオーブというユニット用の装備が増えたのですが、オーブのシステムでもパーティー構築に手を加えています。前作ではとにかくユニットを一回アップグレードして、シンボルカラーを増やしていくと強いシンボル効果が多く発動して強かったです。なので、2段階目のアップグレードである金星を目指すメリットがあまりありませんでした。ですが、今作ではユニットを金星にするとユニットごとのゴールドオーブが獲得できます。そのゴールドオーブがすごく強いので、金星にするメリットが前作よりも上がっているのです。ユニオンはダンジョンを潜るごとに相方が変わるので、そこも含めて毎回違ったパーティーを組むことになるんじゃないかなと思います。
―― 最後に、本作のリリースを待っている読者へのメッセージをお願いします。
URU氏:
まずは、延期となり申し訳ありません。ただ本作は、延期した分本当によくなっています。社内テストでもリニューアル後は評価がガラっと変わっていて、以前のバージョンでそれなりにいい評価をもらっていたところから、諸手を挙げて良いと言ってもらえるぐらいになりました。期待に応えられる面白さになっていると思いますし、これからもリリースまで徹底的にブラッシュアップを重ねて面白くしていくので、ぜひ期待して待っていてください。
―― ありがとうございました。
『ビビッドワールド』は、PC(Steam)向けに2025年発売予定だ。