ポストアポカリプス2Dタワーディフェンス『The Ember Guardian』TGS2025試遊感想。時間をうまくやりくりして、昼に準備して夜に戦う
2D横スクロールアクション『The Ember Guardian』のTGS2025試遊レポートをお届けする。

『The Ember Guardian』は、2D横スクロールのアクションゲームだ。主人公は滅びゆく世界の生き残りとして、最後に残された灯火を守るために戦う。本作には昼夜のサイクルが存在し、昼は武器の調達や防衛設備を整える準備の時間が、夜は拠点に押し寄せるモンスターと戦うタワーディフェンスの時間がメインとなる。防衛を終えて夜が明けるとモンスターはいなくなり、また新たな一日が始まるのだ。
筆者は東京ゲームショウ2025で本作を試遊してきたのだが、かなりダークでストイックな印象だ。Steamでも体験版が配信されている本作だが、今回試遊出展されているものはTGS向けの特別なデモになっているという。本稿ではその特別なデモの試遊感想をお届けしたい。

退廃的かつ神秘的なポストアポカリプスの世界観
本作の舞台は、文明が崩壊したポストアポカリプスだ。滅びに瀕した世界で、主人公は最後の灯火を守りながら旅をしている。灯火のある野営地がゲームの中心となるが、わずかな人が生き残っている場所なども存在。また、ある場所から別の場所へ瞬間的に移動可能なテレポーテーションの施設が存在するため、かつて人類が高度な文明を築き上げていたことがうかがい知れる。
野営地の周辺には、人類が築き上げた文明の残り香のようなものが漂っている。明かりの消えた高層ビルや錆びた交通標識などは、物悲しいポストアポカリプスの世界観を象徴するものといっていいだろう。主人公が訪れる場所はどこも水面のそばで、夜は月が反射する湖の姿がどこか神秘的だ。

限られた時間で夜の襲撃に備える昼
夜に襲来するモンスターを撃退するために、主人公は昼の間に準備を整えていく。プレイヤーが操作できるのは主人公だけのようだが、仲間にすることで自動的に戦ってくれる妖精のような存在が試遊にも登場した。この妖精たちは作中で「焔の子」と呼ばれている。試遊で仲間になってくれたのは「狩人」の職業に就いた妖精たちだったが、製品版ではほかの職業にも転職することも可能になるという。
試遊では、狩人がいるのといないのでは夜の防衛力に大きな差が出てくると感じた。まずは安全な昼の間に野営地の外を探索し、仲間を見つけるのが定石となってくるだろう。また、探索時に手に入る「オーブ」を消費することでバリケードなどの防衛設備を建設することも可能。探索すればするほどオーブを獲得して防衛力を強化できる可能性が高まるが、もたもたしていると夜がやってくる。リスクを取って探索する範囲を広げるか、それとも野営地の準備に時間をかけるかはプレイヤーの腕の見せ所だ。昼の時間はそう長くはないため、試遊した限りでは適切な時間の使い方が求められている印象を受けた。


押し寄せるモンスターから拠点を守る夜
夜になると、どす黒い見た目をしたモンスターが野営地に襲いかかってくる。モンスターたちの目的は灯火の破壊だ。モンスターの攻撃を食らうことで灯火の耐久力が減っていき、ゼロになるとゲームオーバーとなってしまう。主人公はメインウェポンの銃でモンスターを撃ち、灯火に近寄らせないようにしていく。
遠距離から敵の数を減らしていける銃撃は心強いが、無制限に撃つことができるわけではない。弾薬が尽きると新たに装填しなくてはならないし、作成可能な弾薬の数量は野営地に設置可能な施設による生産に大きく依存する。また、弾薬の入手方法が限られているのに加え、弾薬のリロードが手動であり、さらに時間がかかるのが実に厄介だった。敵が迫りくるなかで冷静にリロードするのは簡単ではない。モンスターたちは野営地の左右両方から襲撃してくるため、プレイヤーは銃の残弾数を考慮して常に立ち回ることになる。
そんな状況でかなりの数のモンスターたちが襲撃してくるので、主人公ひとりだけで野営地を守り抜くことは難しい。そこで大きな力になってくれるのが、昼の間に仲間にした狩人たちだ。狩人は人間よりも背が小さいが、複数人を仲間にすることが可能。野営地の防衛設備に配置することで、敵が近づいてくると自動で迎撃してくれる。
狩人たちは弓矢のようなもので攻撃してくれるため、仲間にすればするほど殲滅力の向上につながる。物見台のような施設を野営地に設置すれば、狩人たちは高所からモンスターを攻撃することも可能だ。バリケードでモンスターを足止めし、そばに立てた物見台の上から弓矢で射抜いていく狩人たちはとても頼もしかった。狩人と協力して灯火を守り抜き、次の日を迎えることができたときはサバイバルを生き残った実感があった。2Dのタワーディフェンスとして本作を捉えたときの難易度はかなり高いが、そのストイックなゲームプレイには独自の魅力が存在する。
豊富なカスタマイズによって主人公を強化
東京ゲームショウ2025の試遊内容は、ひたすら長い日数の生き残りを目指すストイックなものだった。製品版では主人公や世界に関するストーリーが登場するとのことなので、そのあたりをプレイできればポストアポカリプスの世界観により深く浸ることができるだろう。
ひたすらタワーディフェンスをやるだけではなく、繰り返しプレイすることで主人公や防衛設備を強化していく成長要素も本作の大きな魅力となっている。主人公はステージをクリアすることで新たな武器やスキルを入手可能となるほか、野営地の防衛設備のアップグレードをすることも可能。試遊ではアップグレード可能な要素をある程度確認することができたが、かなり豊富なカスタマイズがあることが見て取れた。攻撃力が向上するスキルはもちろん、主人公の移動速度が上がるスキルはタワーディフェンスの要素の強い本作では有用になるだろう。

滅びゆく世界で旅する主人公にずっとずっとついてきてくれる犬が作中に登場する。人懐っこい犬は廃墟となった世界における数少ない癒しだったが、製品版では主人公の戦いを助ける相棒としての頼もしい存在になるという。製品版では犬が地中に埋もれた物資を嗅ぎ分けて、それを掘り起こすこともできるようになるそうだ。

『The Ember Guardian』はPC(Steam)向けに開発中。試遊版で確認できた内容は以上だったが、製品版では建築物や「焔の子」の他の職業も追加されるとのこと。Steamストアページでは体験版が配信されており、そちらの最新アップデートでは日本語ローカライズも追加されている。本作に興味がある場合は体験版をチェックしてほしい。