常に金欠系ステルスアクション『スパイドロップス』紹介。貧乏スパイはつらいよ、「お財布」「経費」と相談しながら世知辛スパイ活動
筆者の印象を簡単に伝えると、本作は装備品の選定が非常に重要。しかしケチることも選択肢の一つとなる、リソース管理が重要なステルスゲームだと感じている。

レイニーフロッグは7月31日、Rainy Night Creationsが手がけるステルスアクションゲーム『スパイドロップス』を配信する。対応プラットフォームはPC(Steam)/Nintendo Switch。
『スパイドロップス』はステルスアクションゲームだ。PS世代をイメージしたというローポリゴンのグラフィックが特徴。本作の世界では、「ダイス・アップライジング」というテロ組織が世界的に活動。世界中をハッキングし人工衛星を無力化するなど、脅威をもたらしている。テロ対策チーム「スパイ・ドロップス」は主人公のリプリーを送り込み、対処を命じる。しかしリプリーは真相を追っていくうちに任務の目的に疑問を抱き、より大きな陰謀に巻き込まれていくことになる。
本作ではステージは原則ランダムで生成。自動で作成されるミッションを、リストの中から選んで出撃する形式となっている。今回弊誌は、そんな『スパイドロップス』を先行プレイする機会にめぐまれた。以下では筆者のプレイ感想をお伝えする。始めに筆者の印象を簡単に伝えると、本作は装備品の選定が非常に重要。しかしケチることも選択肢の一つとなる、リソース管理が重要なステルスゲームだと感じている。以下でより詳しくご紹介していこう。

最初のミッションは大赤字
ゲームプレイではテロ対策チームの工作員リプリーとして、さまざまな任務に挑んでいくことになる。チュートリアルとなるオープニングミッションを終えた筆者は、本格的にゲームを開始。小手調べとしてとりあえず最低難易度にあたる星1つのミッションに挑むことに。目的は、指定されたターゲットをC4で破壊することだ。
ミッションを選ぶと実際に任務を始める前に、持ち込む装備品を選ぶことができる。今回のブリーフィングによると、任務エリアは毒ガスで満ちており、ガスマスクが必須であるとのこと。またターゲットの破壊用にC4も必要になるという。特に逆らう理由もないので、とりあえずその二つを装備することに。

しかしこのゲームの装備品は原則有料、しかも任務ごとに使い捨てだ。この任務の報酬は200ドルだったが、ガスマスクに加えて、念のためC4を複数購入したことで、経費が185ドルもかかってしまった。ほぼ利益が出ない計算である。本当はピストルも買いたかったが、100ドルもするので手が出ない。世知辛い価格設定に嘆くが、希望の綱は「ノーキル・ノーアラート」である。任務でノーキルとノーアラートを達成することで、それぞれ追加報酬が振り込まれるのだそうだ。
潜入を始めると、説明通りガスが存在。しかしガスマスクのおかげで影響はないようだった。そしてさっそく、巡回している敵の兵士の姿を確認する。本作ではステルス攻撃を仕掛ける際に、敵をキルするか気絶させるか選ぶことが可能。もちろんノーキルを目指している筆者は、敵は殺さず気絶させていくことに。背後から接近して敵をノックアウトしながら、施設の奥へと進んでいく。

しかし途中でいきなりアラートが鳴り響く。どうやら、監視カメラの範囲に足を踏み入れてしまったようだ。敵兵士の視界しか警戒していなかった筆者のミスである。さっそくノーアラートは失敗だ。プレイヤーの存在に気が付き、銃を構えて向かってくる警備兵たち。走り回って逃げ隠れしつつ、隙をついて近接攻撃で敵を倒していく。ただ気絶させる暇がなく、何人かキルしてしまっている。ノーキルも失敗である。
敵から追われつつ基地の奥にたどり着き、破壊対象となるコンピューターを発見。C4を設置して起爆し、任務目標は達成した。しかし本作では目標を達成して終わりではなく、脱出までおこなう必要がある。来た道を逆走し、脱出地点となる任務開始地点に戻る筆者。なんとか目標は達成したが、クリーンな潜入とは程遠い結果になってしまった。
ボーナスは受け取れないことを理解しつつ、報酬画面を確認する筆者。しかしボーナスを受け取れないどころか、報酬ががっつり減額されていた。本作ではキルには罰金が付いてくるようで、200ドルが貰えるはずだったのに、振り込まれたのはたったの50ドル。任務の経費に185ドルかかっているので、大赤字である。あまりに世知辛い結果だ。

タダで便利な「ドリーム・キャッチャー」
本作では敵兵のキルは文字通り高くつくことがよく分かった。出来るだけノーキルで任務に臨むのが本作のポイントとなるようだ。また本作には、ドリーム・キャッチャーという無料のツールが支給されている。これは人間の脳を読み取ることができるという道具で、敵兵の近くで使用すると情報ポイントなどが得られる。ただドリーム・キャッチャーは死んだ人には使えないので、やはりキルにはリソース面でリスクがある。
しかしながら敵が気絶しているのは比較的短時間。一定時間後には目を覚ましてしまう。本作は任務目標を達成した後、任務開始地点に戻って脱出をする必要がある。来た道をほぼ必ず逆走することになるので、気絶から目覚めた敵とふたたび遭遇するリスクは高いといえる。実際ノーキルを目指すとノーアラートでクリアするのがなかなか難しく、悩ましいところだった。
それでもドリーム・キャッチャーで敵のスキャンを繰り返し、情報を集めながらミッションをこなす。するとストーリーが進行し、ドリーム・キャッチャーの新たな機能がアンロック。気絶した敵を長時間睡眠に陥れ、自力で復帰できなくさせるという追加能力を入手できた。実際使ってみると、キルのペナルティなく敵を永眠させているような感覚で、非常に便利である。気絶とキルのジレンマに悩んでいた筆者だが、気絶のデメリットがほとんど吹き飛ぶような能力が用意されていたことに驚かされた。
低難易度の任務なら順調にこなせるようになり、お金も貯まるようになってきた。そうすると有料の装備品も活用できるようになる。本作ではお金を投じて研究を進めることで、いろんな装備品が解禁される。たとえば監視カメラをハッキングして一定時間無効にできるツールや、対人センサーを完全にスルー出来るようになる装備品などが存在。任務に応じて使い分けることで、ミッションも有利に進めることができるのだ。

低難度ミッションにこうしたツールを投入すると赤字になる恐れがあるが、高難度ミッションは報酬が高い。投入する価値は十分ある。筆者は資金や情報を集め、研究を進めて装備品のラインナップを強化しながら、少しずつ高難度のミッションに挑んでいくことにしたのだった。

以上が筆者の先行プレイの感想だ。改めて印象をまとめると、PS時代のゲームをモチーフとしているという本作は、『METAL GEAR SOLID』の影響を強く感じさせる。アルテピアッツァがキャラクターデザインをしたという、アニメ調グラフィックの女性主人公というわかりやすい特徴もあるが、ステルスパート自体は比較的オーソドックスな作りだ。
そんななかで強く印象に残ったのが、本作の装備品の性能である。ゲームルールの一部を根本からひっくり返すような、強力な効果をもつものも少なくない。しかし装備品は使い捨てのため、ミッションの報酬に見合わない量を持ち込んでも赤字になってしまう。費用対効果を見極めつつ、ミッションに見合った装備を選定するのが本作の肝であり、面白みのあるところだと感じている。
『スパイドロップス』はPC(Steam)/Nintendo Switch向けに配信中だ。ゲーム内は日本語表示に対応している。