『南極計画』はペンギンで暖をとる極寒サバイバル、『Finding Polka』は“全部手描き”の犬探しゲーム。あの「パルコ」はPARCO GAMESでゲームにどう関わるのか、インタビュー&試遊レポート
「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2026」で、PARCO GAMESのパブリッシングタイトルを試遊してきた。

パブリッシング事業も手掛けるゲームレーベル・PARCO GAMESは、3月20日と21日に開催されたインディーゲームイベント「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2026」(以下、TIGS2026)にて『南極計画』『Finding Polka』『Constance』『The Berlin Apartment』を出展した。『南極計画』『Constance』『The Berlin Apartment』は、3月27日午前2時まで、Steamにて最大50%オフのセールも実施中している。
『南極計画』『Finding Polka』は、見た目もジャンルもかなり異なるゲームだ。ひとつは極寒の南極を進むサバイバルゲームで、もうひとつは幼い頃に飼っていた犬「ポルカ」を探して街を歩くウォーキングシミュレーター。並べてみると共通点は少なそうに見える。
しかし実際に触れてみると、どちらも印象に残ったのは「前に進む」感触だった。『南極計画』では、限られたリソース、容赦なく牙をむいてくる自然によって、踏み出す一歩がずっしりと重い。対する『Finding Polka』は、ついつい探索したくなる軽やかさが特徴的。一歩ごとに命を削られる南極サバイバルと、寄り道が楽しい街歩き。両作はまったく違う方向から、探索の面白さを感じさせる作品だった。

今回弊誌はTIGS2026にて、『南極計画』と『Finding Polka』を試遊する機会に恵まれた。またその後、PARCO GAMESのマネジャーを務める福井隆氏にお話を伺うことができたため、試遊の感想とともにインタビューの模様を紹介したい。
『南極計画』は一歩が重い極寒のサバイバル
『南極計画』は、気候変動や戦争の影響で人類が滅亡の危機に瀕した、900年後の南極を舞台とするサバイバルアドベンチャーゲームだ。南極点から発せられた謎のシグナルを追い、ひとりの子どもが極限環境の中を旅していく。マップの探索やクラフト、野生動物との関わりを通じて、過酷な大地を生き延びながら人類の未来にまつわる真相へ迫っていく。
『南極計画』を触ってまず印象的だったのは、ローポリ寄りの見た目から受ける柔らかな印象に対して、ゲームプレイはかなり容赦がないことだ。氷壁に囲まれた閉塞感のある風景は美しく、臨場感のある音で南極らしい孤独が演出されている。しかし、景色に見とれている余裕はあまりない。歩くだけでバックパックの燃料はぐんぐん減っていき、回復アイテムを使おうとする間も時間は止まらない。プレイ中は常にじわじわと追い立てられるような焦りがつきまとう。

序盤のステージ構成は一本道に近くシンプルなものの、わずかな寄り道がピンチを招くこともあり、限られたリソースをどこで使い、どこへ向かうかを考えさせられる。物資が乏しいからこそ、一歩一歩の判断が重い。どこに進むべきか説明不足に感じる瞬間もあるが、そのぶん自分の足で南極を探っている感覚は強く、手探りの心細さがそのまま没入感につながっていた。
なお今回の試遊は、3月6日に実施されたバージョン1.2アップデートが反映されたものとなっている。ステージ内にセーブポイントが設置され、吹雪の頻度なども調整されたことで、序盤から中盤にかけての難易度が緩和されている。セーブポイントの追加は特に大きく、生き延びることに必死だった状態から、少し立ち止まって風景を味わう余裕が生まれていた。もともと備わっていた幻想的な景色の魅力が、より伝わりやすくなった印象だ。

難易度についても、理不尽に死んで覚えるタイプの厳しさではなく、ピンチには見舞われるがなんとか凌げる程度になっている。今回の試遊では一度もゲームオーバーにならずに進めることができ、過酷さを保ちながら遊びやすい方向へ調整されていた。
孤独な旅路で出会うペンギンが、とにかくあたたかい
そんな『南極計画』の中で、ひときわ強く記憶に残ったのがペンギンの存在だ。ステージ途中で1匹のペンギンと出会うことになるが、孤独感が強調される旅路の中で、生きた動物に出会えること自体が想像以上に嬉しい。しかも魚をあげると抱きかかえることができ、体温で温まれる。サバイバルゲームで“ペンギンで暖をとる”というのは一見シュールだが、実際はかなり心強い。

ペンギンは単なるかわいらしさのための存在ではなく、厳しい世界の中でほっとできる要素として機能していた。本編ではほかの動物も登場するようで、そうした出会いが旅を続ける動機にもなりそうだ。
試遊ではホログラムによるストーリーテリングがやや抽象的で、状況をつかみにくい場面もあった。それでも、厳しい環境を進む緊張感と、そこで出会う動物との触れ合いが生む安心感の組み合わせは、独特の満足感をもたらしていた。
手描きの描き込みが驚異的な『Finding Polka』
一方の『Finding Polka』は、幼い頃に飼っていた犬「ポルカ」にそっくりな犬を街で見かけた主人公フレンディが、愛犬ジャズとともにその姿を追いかけるウォーキングシミュレーターだ。素朴なイラストで描かれた世界を歩きながら、ユーモアのある住民たちと出会い、言葉を使わないやり取りやハイタッチを通じて交流していく。
本作でまず目を引くのは、すべてボールペンの手描きで構成されたアートスタイルだ。淡い黄色と黒を基調にした色使いはシンプルだが、街に出た瞬間の情報量には驚かされる。キャラクターはよく動き、画面のあちこちに細かな描き込みがある。ポップで親しみやすい見た目ながら、その作り込みには執念すら感じた。

ゲームとしては、コミカルに動き回るポルカの姿を追っていくのが基本になる。フィールドは名作絵本「ウォーリーをさがせ!」に影響を受けているそうで、常にどこかで何かが起きている。ズームして細部を見ることもでき、街を眺めているだけでも楽しい。明るい音楽も相まって、歩くこと自体が気持ちいい。
なかでも印象に残ったのは、寄り道の楽しさだ。たとえば水を欲しがっている人に別の場所で手に入れた水を渡すと、ハイタッチして仲良くなれる。これは進行に必須の要素ではないが、手と手が触れ合うアニメーションは心地よく、自然とあちこちに立ち寄りたくなる。気づけばポルカを追うこと以上に、この街をもっと歩きたいと思わされていた。

今回は短時間の試遊だったため、ゲームプレイ全体の手応えを判断することは難しかった。ただのんびりした空気感と圧倒的な手描き表現は、それだけでも十分に強いインパクトを残していた。
PARCOの強みを生かし、二人三脚でサポートする
試遊を通じて気になったのは、こうした個性の強い2作にPARCO GAMESがどう関わっているのかという点だ。今回、株式会社パルコのゲーム事業開発部(PARCO GAMES)のマネジャーを務める福井隆氏に話を聞くことができたので、その模様も紹介したい。
——『南極計画』リリース後の反響はどうでしたか。
福井隆氏(以下、福井氏):
プレイしていただいた方からは、「あの柔らかい見た目で気になって買ったけど、やってみたら難しくてできなかった」といったお声をいただくこともありました。ただそうしたシビアなゲーム性にしたいというのが根幹にあったので、これは制作段階からある程度想定していた部分でもあります。
とはいえ本作のビジュアルや雰囲気が好きだと言ってくれるお客様に応えたいという想いもあり、先日のバージョン1.2アップデートではステージ途中でのセーブ機能を追加しました。これはお客様からのフィードバックを受けて改善した部分ですね。表現したいところと遊びやすさの間でせめぎ合いながら開発者と調整を進めています。

——パブリッシャーとして、『南極計画』のどういった部分に可能性を感じていましたか。
福井氏:
開発者のm.hayashiさんが話していたのが、そもそも南極を舞台にしたゲームはそんなにないよね、ということでした。クリエイターとしてのこだわりだけではなく、南極を舞台にしたら少し目立つんじゃないかというマーケティング目線も入っている。すごくいいバランスで題材を選んでいるなと思いました。
僕らもインディーゲームに携わる前は、この業界って好きなものを突き詰めて作っている人たちが中心で、それが魅力なのかなと思っていたんです。でも実際に話を聞いてみると、きちんとマーケティングの目線を持っている方も多い。それは発見であり面白いところでしたね。
マーケティング目線がまったくない方だと、こちらの提案が伝わりにくいこともあります。ただ、『南極計画』のm.hayashiさんはクリエイティビティとマーケティングの両方をいいバランスで持っていたので、今回のアップデートや今後の展開についても建設的に話ができました。
——『南極計画』の今後について予定していることはありますか。
福井氏:
直近のバージョン1.2のようなバランス調整は引き続き進めていきますが、今後はバージョン2.0として、さらにライトに遊べる新モードの追加も予定しています。現在のハードな難易度のモードは残しつつ、難しくてやめてしまった方にも最後まで楽しんでいただけるような選択肢を用意したいと考えています。

——ありがとうございます。一方の『Finding Polka』はどのようなゲームなのでしょうか。
福井氏:
いわゆるウォーキングシムで、イベントを発見したり、困っているキャラクターを助けたりもできますし、無視してポルカだけを追っていくということもできます。ただ途中でいろんなところに寄り道しながらキャラクターを助けて友達になって、というのを繰り返していくとちょっとお話が変化していくなど、分岐の要素もあります。なので何回も繰り返し遊べる内容になっているかなと。
今回の試遊は短いですが、春を目途に30〜40分ぐらい遊べるちゃんとしたデモを公開する予定です。正式リリースは夏を予定していまして、全13ステージ、4〜5時間ほどのボリュームになります。

——試遊では、最初に街に出た時の描き込みの細かさや、文字が登場しない点が印象的でした。
福井氏:
ありがとうございます。描き込みもそうですが、アニメーションもPCで加工して動かしてもいいところを、パラパラ漫画みたいに全部手で描いているんですよね。原画も大量にあって、まだ出てくるかわからないキャラクターまでしっかり作られている。見た目はポップで可愛らしいのにやっていることは狂気的です。
文字や言語に関しては一切出てこない仕様になっています。唯一主人公のフレンディが犬の名前を呼ぶんですが、実はあれも入れるかどうかとても迷いました。ただどうしても冒頭に何をしているのか伝わりづらいなということで、開発者の熊沢さんと相談してそれだけは入れることにしました。

——『南極計画』のアップデートや『Finding Polka』のナラティヴ表現など、制作にもしっかり関わっているんですね。
福井氏:
そうですね、プレイテストはもちろん、たとえばDLCが出る場合の金銭的な支援などとか、幅広くサポートしています。
『南極計画』も『Finding Polka』も流行り廃りがないというか、数年後に見た時に古いと感じないゲームなんですよね。今は長期的に売れるものも多いですが、我々が扱うタイトルは特にそういう空気があると思っていて。なのでクリエイターさんが継続して開発したい、良くしていきたいという気持ちに我々もきちんと寄り添っていきたいなと思っています。
——パブリッシング作品はいずれもジャンルこそ違いますが、ストーリー主導の作品が多く、どこか統一感を感じます。PARCO GAMESとしてこういう作品を応援したいという基準はあるのでしょうか。
福井氏:
ジャンルもそうですしテイストもそうですが、僕らは明確な基準を持ってお声がけしているわけではないんです。チームで話し合う中で結果的に似た方向に定まっているのかもしれませんが、そこはあえてはっきり言語化しなくてもいいのかなと思っています。
ただひとつ言えるのは、我々パルコは店舗を持っていて、実際の場所を使うことでゲームを別のメディアやエンターテインメントに昇華できる。それが他のパブリッシャーさんにはない強みだと思っています。なのでそこを生かせる作品かどうかというのは大事なところですね。
たとえば「こういうグッズがつくれたらいいな」とか、「このキャラクターとコラボしたら面白いな」とか、そういうのがゲームに触れた時にふっと思いつくような、想像が広がるようなものかどうか、というのはひとつの基準にしています。
——ありがとうございました。

一歩の重みが異なる、個性の強い2作
『南極計画』は、限られたリソースと厳しい寒さによって、一歩ごとの重みを強く意識させる作品だった。そのぶん、景色の美しさや動物との出会いが沁みる。『Finding Polka』は対照的に、歩くこと自体が気持ちよく、寄り道や交流が楽しい。見た目も手触りもまったく異なる両作だが、どちらも「歩くこと」に独自の感情を与えてくれる作品だった。
そしてインタビューからは、PARCO GAMESが作品の個性を見出して終わりではなく、その魅力をどう伸ばし、どう長く届けていくかまで見据えて関わっていることもうかがえた。『南極計画』の難易度調整にしても、『Finding Polka』の表現方法にしても、尖った部分を削るのではなく、魅力がきちんと伝わる形へ整えようとする姿勢が印象的だ。実店舗を持つパルコならではの強みも含め、今後PARCO GAMESが打ち出す作品がどう広がっていくのかにも注目したい。
『南極計画』はPC(Steam)向けに発売中。日本時間の3月27日午前2時までは、50%オフとなる税込1400円で購入できるセールも開催中だ。そして『Finding Polka』はPC(Steam)向けに2026年発売予定。なお、『Constance』『The Berlin Apartment』についても、Steamにてセールが実施されている。
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