新作MMOSLG『信長の野望 天下への道』は「戦国大名家というチーム」で遊ぶ本格戦略MMOだった。“初心者やコミュニケーションのしんどさ緩和”のこだわりなど、いろいろ体験レポート

『信長の野望 天下への道』のメディア向け説明会で得られた情報を基に、戦略性の深さと遊びやすさを両立した本作の紹介と所感をお届けする。

グラビティゲームアライズは2025年内に、『信長の野望 天下への道』を基本プレイ無料タイトルとしてリリース予定だ。弊誌は今回、リリースに先立っておこなわれた本作のメディア向け説明会に参加する機会に恵まれた。本稿では説明会で得られた情報を基に、戦略性の深さと遊びやすさを両立した本作の紹介と所感をお届けする。

なお、本稿にて使用している画像は開発中のものであり、正式サービス開始時の仕様とは異なる場合があることは留意されたい。

写真左からディレクターの福地友哲氏、プロジェクトマネージャーの井上大佑氏


信長の野望 天下への道』は、コーエーテクモゲームスから『信長の野望·天道』の正式ライセンスを受けてKingnet、テンダゲームスが開発中のMMO歴史戦略シミュレーションゲームだ。日本各地の戦国大名に仕える領主として自勢力を発展させながら、敵対勢力との戦闘や政治的駆け引きを勝ち抜き天下布武を目指す。


「霧」と「道」システムで、次の目標がわかりやすく

本作では、自領土の内政や戦力の管理育成といった要素に加えて、MMOの名に恥じない勢力間の大規模な戦闘や政治的駆け引きが展開される。シーズン制で展開され、内政で力を蓄えたのちに、最重要拠点を巡ってほかのプレイヤーと攻城戦を繰り広げ、戦果をあげて支配値を獲得。多くの城を占拠して支配値を高め、最大勢力を目指すという流れだ。一見すると複雑なゲームという印象を受けるが、実際にはプレイヤーを導く工夫が各所に施されており、次の目標がわかりやすくなっている。その最たる例が、「霧」と「道」システムだ。

本作の舞台となるのは文字通り日本そのもの。広大なマップで繰り広げられる戦闘や内政が楽しめるが、何から手を付けていいかわからないことも初心者には起こりうる。本作では「霧」システムのおかげで、その点がかなり取っつきやすくなっているだろう。本作では、自分の領土からある程度以上離れるとマップ上に霧が発生する。このシステムのおかげで、先のことに悩まされず今見えている範囲に集中するだけでゲームを進めていくことができる。

「道」システムも、行動の指標をわかりやすく示してくれるシステムだ。城や関所といった重要なオブジェクトに武将を派遣する際は、当然道に沿って行軍することになる。本作ではこの道そのものが戦略の舞台となっており、プレイヤー同士の駆け引きが直感的に理解できる。具体的には、道を確保した勢力は道沿いの築城地に「付城」や「支城」を建築でき、戦略上重要となる地点を守りやすくなる。そしてシーズン1では最重要拠点が二条御所であり周辺は激戦区となりやすいが、攻め落とせればシーズンの勝利に大きく近づく。攻め込む際には、リスクとリターンを天秤にかけて二条御所の近辺を狙うか遠くを狙うかを決める必要もあるだろう。


「争覇地域」と「不可侵地域」の区分けが生むメリハリと、初心者の遊びやすさ

まさに戦国の世さながらの国取り合戦が繰り広げられる本作だが、常に戦いと隣り合わせというわけではない。本作のマップは「争覇地域」と「不可侵地域」のふたつに分けられており、先述した最重要拠点を巡る領地の奪い合いなどのGvG要素は争覇地域でしか発生しないためだ。

本作ではこのシステムのおかげで、不可侵地域でじっくりと育成した戦力を争覇地域で存分に戦わせる、といったメリハリの利いたゲームプレイが楽しめる。また、ゲームを開始したばかりの初心者がいきなり熟練者同士の戦いに巻き込まれないことも見逃せないメリットだ。


ただ協力するだけじゃない、同勢力内での競い合い

本作はシーズン制を採用しており、所属する勢力はシーズンごとに変更可能。シーズン1時点では織田・上杉・武田・尼子・長宗我部・毛利の6つの大名家から所属勢力を選べる。所属勢力を選び、領地を広げることで「支配値」を稼ぎ、勢力役職入りを目指すことになる。各勢力のリーダーにあたる勢力役職の内訳は筆頭家老が1人、取次が1人、家老が3人の計5人。勢力役職は勢力全体の方針決めや作戦立案を担当することになる。力のあるプレイヤーには、「勢力全体の最終的な意思決定の権利」が与えられるため、責任重大だ。

勢力役職が決まってしばらく経つと争覇地域が解放され、各勢力との交戦が始まる。家老の座を巡り争ってきたことは一度忘れ、勝利のため一致団結していこう。シーズン1においては二条御所がもっとも重要なオブジェクトとなっており、周辺では激しい戦闘が予想される。二条御所の占拠を目指し争うもよし、警戒の薄手なほかの拠点を根こそぎ確保してしまうもよし、状況に応じた戦略が求められる。なお、6勢力のスタート地点はすべて争覇地域外であり、加えて二条御所までの距離も同じになるよう設定されているため、所属する勢力による地理的な有利不利は存在しない。


コミュニケーション機能が、多彩な戦略を支える

本作の戦いは、PvPではなくGvG(対勢力戦)で展開する。求められるのは突出した個人の戦力ではなく、ひとつの戦略のもとに勢力が一丸となることだ。たとえば、守りの堅牢な城を落としたいとする。腕に自信のあるプレイヤーがひとりで攻め込んでも軽くあしらわれてしまうだろうが、あらかじめ決めておいた期日に一斉に攻め込めば落とすことも可能になる。

ほかにも勢力全体に影響するバフである「政策」の選択や、ほかの勢力と合意の上で停戦し一強の勢力に対抗するための「同盟」など、勢力全体での意思の統一が必要になる場面は多く存在する。歴史の分岐点に立たされた戦国武将たちがそうであったように、ときには慎重な、ときには大胆な決断が求められることになる。

注目すべきは、こういった話し合いがすべてゲーム内のコミュニケーション機能で完結するということ。さらには単なるチャット機能に留まらず、攻城戦の日程調整機能や戦闘前の点呼機能といった、本作を遊ぶ上で大きな助けとなる機能も用意されている。これには本作のディレクターである福地氏のプレイヤー経験が活かされており、特に軍団幹部プレイヤーの負担を減らすことで長く楽しんでもらえるゲームを目指しているそうだ。


武将も人材、適材適所が大事

本作には多彩な武将たちももちろん登場。武将は割り振られたステータスによって各分野に得意不得意をもつことに加えて、キャラクタースキルにあたる「戦法」によるカスタマイズも可能。さらにはそれらの武将を組み合わせることによるシナジーも存在するため、その組み合わせは無限大だ。

なお、本作には武将構成を他プレイヤーと共有する機能も存在。たったの数タップでチャットにオススメの構成を書き込むことが可能だ。この機能を実際に試してみたところ、スクリーンショットを撮ってチャット用アプリを開いて……という手間を解消してくれる、非常に手触りの良い機能だった。


見た目よりもずっと遊びやすかった『信長の野望 天下への道』

ひとつの目的のために人が集まり、競争のなかで立場の違いが生じつつも、団結して敵対する勢力と争う。MMOにおけるギルドも戦国武将の勢力も、組織の行く末を案じながら運営されていくという意味では近いものがあるのかもしれない。そのふたつが自然な形で融合しており、人を使う側にも使われる側にもなれる本作は、生身の人間が集って展開される「組織としての戦国大名家」体験ゲームであると感じた。MMOSLGならではの体験を得られるだろう。

また、初心者に対する誘導とスムーズなコミュニケーション機能も本作の特徴で、初めてMMOSLGに触れる人とじっくりとやり込みたい人の両方にオススメできる。なおリリースに向けてはチュートリアル面の強化が予定されていることに加え、PvP機能の実装も現在検討中とのことだ。初心者がより入門しやすく、そして熟練者にとってはさらに歯ごたえのある戦国体験が可能となるだろう。リリースに向けた続報にも注目したい。

信長の野望 天下への道』はiOS/Android向けに、基本プレイ無料で2025年内に配信予定だ。

Daijiro Akiyama
Daijiro Akiyama

ゲームをすることと、ゲームの話をしたり聞いたりすることが同じぐらい大好きです。

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