『鳴潮』『パニグレ』KURO GAMESが大本営で開催した「KURO FEST」の熱気がかなりすごかった。「ログイン画面」から始まり、怒涛のフローヴァ、そして猫(本社)
KURO GAMESが中国・広州の広交会展館D区にて8月9日・10日に開催したオフラインイベント「KURO FEST(クロフェス)」のレポート。

中国・広州の広交会展館D区にて8月9日・10日、KURO GAMESによるオフラインイベント「KURO FEST(クロフェス)」が開催された。当日の会場には、KURO GAMESの手掛ける『鳴潮』と『パニシング:グレイレイヴン』のに関するさまざまな展示やステージイベントなどが行われ、多くのファンが集結した。今回はそんなイベントに参加する機会をいただいたため、写真を交えながら当日の雰囲気をお伝えしたい。なお、この記事では、『鳴潮』の展示を中心としたイベントの模様をお届けする。
『鳴潮』は、オープンワールドのアクションRPGだ。基本プレイ無料タイトルとして2024年にサービスが開始され、継続的なバージョンアップによってメインストーリーやプレイアブルキャラクターなどが追加されてきた。今回が初めての開催となるKURO FESTでは、『鳴潮』の展示はサービス開始からVer2.5までを振り返るものとなっている。展示は作中に登場するエリアごとに分かれており、作中世界を現実で再現したような内容だ。眺めているうちにプレイしたときの記憶が自然と蘇ってきて、まるで第二の故郷のように感じられてくるイベントだった。

展示は『鳴潮』ログイン画面の再現からスタート
ここからは作中の時系列に沿って展示物を順番に見ていこう。まずは、『鳴潮』のログイン画面を再現した展示だ。ログイン画面はすべてのプレイヤーが見るものであり、「漂泊者」と呼ばれる主人公が佇んでいることでお馴染みのものとなっている。

ログイン画面は、過去の大災害によって荒廃した世界が舞台となる本作の雰囲気を象徴している。女性主人公が佇み、男性主人公が腰掛けている様子は物静かでありながらも、主人公たちがいる地形は歪んでおりどこか不安なものが漂う。そうした印象的な画面を展示の最初にもってくることは気が利いており、すべてのプレイヤーが繋がりを感じられるものだ。ログイン画面の展示を通過することで、『鳴潮』の世界に入っていくような感覚を得ることができた。


ログインを済ませたら、次は「今州(こんしゅう)」と呼ばれるエリアだ。プレイヤーが最初に訪れ、この地を導く「今汐(コンシ)」と呼ばれるキャラクターとの冒険が繰り広げられる場所である。 展示では今州のさまざまな名所が再現されているほか、作中で世界的に物流サービスを展開している「ブブ物流」も登場。ブブ物流が使用するという自動車を眺めていると、ブブ物流のナビゲーターとしてお馴染みのキャラクター「灯灯(トウトウ)」がやって来た。イベントの来場者に陽気に話しかけて快く写真撮影にも応じる彼女の姿は、まるで本当にゲームから灯灯が出てきたかのようだった。


名シーンを再現したピアノの生演奏を聴けるエリアも
今州のあとに向かうのは、「ブラックショア」を再現した展示エリアだ。初めのうちは謎に包まれているブラックショアは、エリア管理者の「ショアキーパー」と交流することでさまざまな謎が明らかになっていく場所だ。落ち着いた振る舞いが印象的なショアキーパーと主人公による描写の数々は、メインストーリー序盤の見どころの1つである。
ブラックショアの落ち着いた雰囲気は展示でも再現されている。ブラックショアの展示でとりわけ興味を惹かれたのは、ショアキーパーによるピアノの生演奏だ。展示会場にピアノが持ち込まれているというだけでもイベントスケールの壮大さがうかがい知れるが、それを実際に演奏して聴かせてくれるのには驚いた。完成度の高いショアキーパーの衣装をまとった演奏者によるメインストーリー楽曲「Astrum Unicum / Stars, Rebirth, and You」には大きな感銘を受け、来てよかったと思わされるばかりであった。

極めて質の高いコスプレも、今回のイベントの魅力をより際立たせていたように思う。ビジュアルがキャラクターに似ていることはもちろん、コスプレイヤー各人の振る舞いの随所からゲームへの確かな知識が伝わってきた。たとえば、ショアキーパーがピアノを演奏するときのツバキの気遣いといったような部分だ。
ツバキは自由奔放なキャラクターでありながらも、彼女が所属するブラックショアを率いるショアキーパーには一定の敬意を払っている。ショアキーパーが来るまでは椅子にくつろいでいたツバキだが、ショアキーパーがやって来るとすぐに席を譲り、お辞儀をして去っていった。こうしたツバキの振る舞いはゲームで実際にありそうだ。そうしたキャラクターの解釈がプレイヤーと一致することで、展示は確かな説得力を持っているのだ。

着ぐるみキャラとフローヴァに会えて大満足
展示エリアを巡って強く感じたのは、KURO GAMESがとにかく来場者を喜ばせようとしているところだ。おもてなしの心があらわれているといってもいいかもしれない。キャラ解釈が完璧なコスプレイヤーが素晴らしいと上述したが、実はまた別のベクトルでファンを楽しませるコンパニオンも存在する。
ツバキの着ぐるみはその代表的な存在である。KURO GAMESのイベントで会えるツバキの着ぐるみは、日本の「ふなっしー」や「くまモン」のようなアグレッシブさで独自のキャラクター性を築き上げており、ファンを楽しませる目玉的存在になっている。今回のイベントでもその例に漏れず、フレンドリーでありつつ、作中の描写を超えるほど自由気ままに振る舞っていた。その求心力は、来場者の近くを通りかかると歓声があがるほど。筆者も近くからツバキの着ぐるみの振る舞いを観察してみたかったが、あまりの人気ぶりに断念せざるを得なかった。写真を撮る暇もないほど会場にはファンが殺到しており 、ツバキは縦横無尽に駆けずり回っていたのだ。

そうした筆者を見かねてか、カルテジアの着ぐるみがファンサービスを行ってくれた。体当たりからの握手をされ、最後に肩を叩かれた。きっと活を入れてくれたのだろう。着ぐるみの方から積極的に交流を試みてくれるのはうれしいというほかない。デフォルメされたキャラクターはさすがに作中のキャラクターの性格とは乖離があるかもしれないが、祭りに来た人を励ましたり、暴走気味な行動を取ったりする様子はとても微笑ましい。

カルテジアのコスプレで圧巻だったのが、必殺技状態に変化する凛々しい彼女を見ることができたことだ。ありえないことかもしれないが、カルテジアのさまざまな形態を見比べられるのは最高だ。真剣にキャラクターになりきっているコスプレを見ることもできれば、ゆるキャラ風の着ぐるみと触れ合って和やかな気持ちになることもでき、大満足のひとときだった。

フローヴァのリアル「幽冥の忘憂曲」に感動
Ver2.0からメインストーリーの舞台となっているリナシータからは、「ラグーナ」と「セブン・ヒルズ」の展示が存在した。ラグーナエリアには『鳴潮』の各バージョンにおけるキービジュアルが展示されているほか、『鳴潮』の関連資料が展示されていた。ゲーム制作の参考にするために作られたというキャラクターのモチーフ武器のレプリカは、これまで門外不出とされてきたものだ。これが見られただけでもラッキーだったといえるだろう。
筆者はとりわけ、フローヴァが使うバイオリン風の武器「幽冥の忘憂曲」に注目した。赤く塗られたバイオリンは異端のものかもしれないが、彼女が歩み続けている人生を考えるとこれはまさにフローヴァだけのバイオリンだ。

KURO GAMESによると、フローヴァのバイオリンをはじめとした武器のレプリカは今回初めてユーザー向けに公開したが、イベント参加者は各々自分が思い入れのあるキャラクターの武器を長時間にわたって眺めているそうだ。それは筆者も例外ではない。なぜなら、筆者はVer2.5でフローヴァに惚れ込んでしまったからだ。美しい容姿、上品で優雅な振る舞い、そして狂気。悪女といっても過言ではないフローヴァだが、筆者の心は彼女にもって行かれてしまっている。
そんなフローヴァからの挑戦を受けるブースイベントが存在したため、早速挑戦してみた。足元に流れる次の攻撃を予測して、それを回避するというミニゲームだった。最後は結構厳しい攻撃にさらされるのだが、クリアできたのは筆者が若かりし頃に『Dance Dance Revolution』シリーズに勤しんでいたからかもしれない。

公式イベントなのに同人グッズ物販も存在
セブン・ヒルズの展示で印象的だったのは、ファンによる二次創作物が公式のブースに展示されていたことだ。ファンがゲームをもとにして二次創作物を作るのはよくあることだが、それが公式の展示物といっしょに並べられているのは驚きだ。少しだけファンによる二次創作物をチェックすることができたが、クオリティが高いものが数多くあった。個人で作るには大変な労力が必要であろうショートアニメも数十本ほど存在し、『鳴潮』ファンの熱意がうかがい知れる。

KURO FESTの趣旨としてはKURO GAMES、ファン、さらにはコスプレイヤーや二次創作物のクリエイターが一同に介する祭りだったといえよう。『鳴潮』の展示を見に来た人すべてがなんらかの思いを『鳴潮』に抱いている同志であり、初めて異国の地を踏む筆者にとっても、まるで実家のような親しみを感じる場所だった。
KURO GAMES公式グッズを紹介する展示も存在し、開場期間中はずっと賑わっていたように思う。公式グッズだけでなく、同人グッズの販売も盛況を博していた。公式グッズの売り場面積を凌駕する形で、同人グッズのショップも存在感を放っていた。あまりの混み具合だったため筆者は何も買うことができなかったが、同人グッズにもファンから作品への熱意が込められていたことは想像に難くない。
開催期間中も展示にどんどん手を入れられていくのが中国式のようで、既に見た展示を再訪しても、何度でもカメラを構えたくなった。スカーとフローヴァといった主人公に因縁の深いキャラクターのツーショットは外すことができないし、ガルブレーナや千咲(ちさ)といった未実装のキャラクターのコスプレイヤーも登場するのは、ファンサービスというほかないだろう。


KURO GAMES本社でかわいい猫社員がお出迎え(おまけ)
KURO FESTにいくらでも浸っていたかったが、KURO GAMESから本社の見学に来ないかと誘っていただいたので、そちらにも連れて行っていただいた。イベント会場からKURO GAMES本社はタクシーで10分ほどの距離で、この近さによってKURO FESTのクオリティが実現できたのだとしみじみ思った。
KURO GAMESのオフィスは整理整頓されており、訪問日は会社の休日だったこともありフロアは静かなものだった。そこで外部からの訪問者を迎えてくれたのは、KURO GAMESが会社で飼っている猫たちだ。なんと3匹もの猫が飼われており、KURO GAMES社員が交代で世話をしているそうだ。世話をしているといっても、猫好きの多いKURO GAMES社員にとっては猫と触れ合うのは素晴らしい息抜きになるらしい。モフモフとした猫の毛並みは人肌に心地よく、開発者のストレスを軽減しているのだろうと感じた。まったく、うらやましい限りである。


KURO GAMESのオフィスの入り口には同社のロゴマークがあしらわれており、その近くの棚にはグッズのほか、優れたゲームの受賞タイトルとして『鳴潮』が勝ち取った賞状が並べられている。最近の『鳴潮』の勢いからすると今後は棚が溢れかえってしまうことも考えられるだろう。嬉しい悲鳴である。初の自社大型フェスを盛大に開催したKURO GAMESの今後の発展を願うばかりだ。
総評
「KURO FEST」は、今回が初めての開催とは思えないほど充実しており、プレイヤーが『鳴潮』の世界に浸ることができる工夫が凝らされていた。ゲームのストーリー順に回る展示はプレイヤーの記憶と深く結びついており、1人のファンに過ぎない自分にとっても、ここがかけがえのない自分のホームであるかのように感じられた。
筆者は外国人としてKURO FESTに参加したが、中国の現地の方から積極的に話かけられてうれしかった。拙い英語と翻訳アプリによる国際交流は完璧とはいえないが、『鳴潮』を好きだという1点で通じあえたと思う。そうした意味ではKURO FESTは『鳴潮』ファンによる桃源郷であり、故郷ともいえるかもしれない。

もし、また次回のKURO FESTがあるならばぜひ参加したいし、もっと現地のファンと交流してみたいところだ。そうした日が実現するまでは『鳴潮』をプレイして思い出を育んでいきたい。
『鳴潮』は、PS5/iOS/Android/PC(Windows/Steam/Epic Gamesストア)向けに基本プレイ無料で配信中だ。