自由でリアルなライフシム『inZOI』にはキャラの死に方が「約16種類」もある。遊び方や細かい情報もどっさり明かされた公式放送まとめ

KRAFTONは3月19日、3月28日に早期アクセス配信を控える『inZOI』のゲーム内容を紹介する番組「inZOI Online Showcase」を配信した。本稿では発表内容に基づき、『inZOI』のゲーム内容を抜粋してお届けする。
『inZOI』は、Unreal Engine 5による精細なグラフィックが特徴のライフシミュレーションゲームだ。「ZOI」と呼ばれるキャラクターを作成し、神の視点となってそのキャラクターたちの人生に関与していく。本作では、街のすべてのキャラクターが自分の自由意志で行動するという。キャラクターはNPCも含め仕事やレジャーなどを通して、街中で生活している。そして人々の間にトレンドやゴシップなどがあり、病気や事故など多彩なイベントも発生。プレイヤーが関与していなくともキャラクターどうしが相互に影響を及ぼすそうだ。
番組に登場したのは、本作のプロデューサー兼ディレクターを務めるキム・ヒョンジュン氏。同氏は、『inZOI』で建築できるものと同じ見た目で作られているというカフェ風の空間で配信を開始。かたわらに置いてある本も本作に実際に登場するものだという。
もともとキム氏は『The Sims』といったライフシムが好きで、息子ともプレイするほどだったそうだ。同氏によると、ある時息子に最新グラフィックのライフシムはないのかと聞かれたことが『inZOI』開発のきっかけになったという。そこから、いろいろな人生を見守ることで人の活力になるような、世界にとって有益なジャンルである「ライフシム」を自分でも作りたいという想いのもと、本作のプロジェクトが発足したようだ。
次にキム氏は本作の設定を紹介。本作でプレイヤーは「AR Company」という会社の社員として、この街に住むキャラクター「ZOI」たちの人生を創造する“クリエイター”となる。キャラクターたちの人生を導く存在として見守り、時には介入していく、というのが本作のストーリーだ。今回のショーケースも、「AR Company」の企業説明会のような設定でおこなわれた。

そして、本題となる本作のゲーム内容紹介が始まった。本稿では発表内容にならい、「都市環境」「クリエイティブツール」「人間関係」の3つのカテゴリでゲーム内容を紹介する。
多彩な顔を見せる都市環境
まず紹介されたのは都市環境についてだ。本作の舞台となる都市「Dowon」では四季があり、春には花が、秋には紅葉が楽しめる。またクリスマスといった季節ごとのイベントも存在しているようだ。そしてキャラクターもその影響を受ける。たとえば冬に薄着をすると風邪をひいたり、最悪の場合死んでしまうこともある。映像からは季節に沿わない服装を着て暑がる、寒がるといった状況に合わせたモーションも確認できた。
また都市環境はキャラクターと同じくカスタマイズが可能。街の看板のデザインや植物の種類、そして街の景観の汚れ具合なども変更できる。街にはさまざまなアクティビティがあり、映像からはコンビニ、カラオケ、ネットカフェといった店の存在も確認できた。都市のすみずみで楽しい体験ができるという。
そして都市に住む人々も多様で、街ゆく人と会話をしたり、仲良くなったり、逆に喧嘩したりすることもできる。時には物乞いをすることもできるという。またキャラクターの集めたコレクションや創作物を露店で販売したり、中古の家具を売ることもできる。キャラクターはただの背景ではなく、友人、客、喧嘩相手といったさまざまなかかわり方ができるようだ。

自由なクリエイト要素
つづいて紹介されたのは、ゲーム内で使えるクリエイティブツールについてだ。本作では誰もが簡単に創作できるツールを目指して開発がおこなわれているという。たとえばゲーム内メニューからPC内の画像を取り込むことで、簡単に3Dオブジェクトを作成できる。これは過去にも家の装飾として設置できることが伝えられていた(関連記事)。今回の配信では、取り込んだオブジェクトは家の装飾だけでなく、アクセサリーや着ぐるみとしてキャラクターが身につけられることが明かされた。また“サンドバッグを任意の人の形に変更する”など、ゲーム内の家具を好きなオブジェクトの見た目に変更することも可能。家具によっては専用のモーションが用意されているので、考え方次第でいろいろなものが作れそうだ。
そして作成できるのはオブジェクトだけではない。画像からキャラクターのポーズを取り込んだり、動画からモーションを取り込み、キャラクターの動きに反映させたりすることもできるようになっている。ポーズは微調整が可能なので、こちらもこだわれるポイントになっているだろう。また実験的ながら、プレイヤーの表情と動きを読み取ってリアルタイムにキャラクターを動かす機能も実装されている。キム氏によるとWebカメラとiPhoneのカメラを組み合わせて実現しているとのことで、詳しい仕組みは現時点で不明ながら、興味深い機能となっている。

人間関係と相性
最後に紹介されたのは、人間関係についてだ。『inZOI』ではキャラクターの性格を設定することができ、それによってキャラクター同士の相性が自動的に決まる。相性によって関係を築く難易度が変わるようだ。そして本作では結婚、出産し家庭を持つこともできる。子どもと親の関係は、その後の子どもの人間関係にも影響を及ぼすという。また、本作の世界には独自のSNSがあり、プレイヤーの行動に称賛や批判が集まることもあるようだ。とはいえキム氏によれば、プレイヤーはあまり真面目になる必要はなく、時には大声で怒ったり、路上で弾き語りをしたりといった、現実とは違う“大胆で多様な”生き方に挑戦してみてほしいと語っている。
そしてキム氏は開発中・調整中の要素を紹介。家族写真や「鏡」の実装にくわえ、前述のモーションキャプチャーや自動車の運転の改善、30階を超える高層住宅の建築機能の最適化など、今後開発が予定されている数々の要素が公開された。またローカライズに関しては対応が遅れてしまっているようで、これから改善を図っていくとした。なお詳細は不明ながら、早期アクセスビルドには設定言語の翻訳完了部分の割合が表示されるとのこと。

そうしたゲーム内容の紹介につづいて、キム氏は先日配信が発表された本作のデモ版『inZOI: Creative Studio』の内容を紹介。こちらでは既報の通り、キャラクターメイキングと建築が体験できる(関連記事)。キャラクターメイキングでは、昨年8月に配信されたデモ版『inZOI: Character Studio』から進化したポイントが紹介された。まず装飾品として、腕時計・指輪・ブレスレットなどが追加。また好きなパーツを組み合わせて服を作成する機能も、昨年のデモ版よりバリエーション豊かなものが作成できるという。
そして建築モードでは、『inZOI』本編と同じ全ての機能が体験できる。家の構造からフェンスの模様まで細かく設定でき、はしごや階段を設置することで高層住宅を建てることもできる。また前述のAIを活用したクリエイティブツールも使用できるようだ。そして作成したキャラクターや住宅は「Canvas」という専用プラットフォームにアップロード可能。他のユーザーと共有ができるほか、本編に引き継ぐこともできるとのことだ。
さらにキム氏は本作の価格を発表。39.99ドルとなり、日本円の価格は不明ながら正式リリースまでのアップデートやDLCは無償で提供するとのことだ。つづけて同氏は本作のロードマップを公開。5月にはMod対応、8月には「幽霊」システムの実装など、3か月単位でのアップデートを予定しているという。

Q&Aではさらに細かい内容も明らかに
つづいてアシスタントのジョエル氏を交えて、プレイテストに参加したクリエイターやユーザー、視聴者から集められた質問に回答するQ&Aセッションが開始。ここでは抜粋して紹介する。
まず睡眠に関しては、以前のバージョンをプレイテストしたユーザーから睡眠時間が長いという声が寄せられた。これに関してキム氏は、睡眠のスキップはゲームの特性を考えると実装は難しいとしたものの、アップデートにより家族全員が眠ればゲームスピードを30倍に変更できる機能を実装したと回答した。なお、もともと本作では1~5倍にゲームスピードを変更できるオプションが用意されているとのこと。また、過去にはキャラクターが夢を見るシステムがあるとも報じられていた。現在も存在している仕様かは不明なものの、こちらも睡眠時の待機時間のアクティビティとして用意されたものかもしれない(関連記事)。
また別の質問に答えるかたちでキム氏は、車の運転機能の実装にあたって交通システムの構築に大きな苦労があったと明かした。都市では300台の車が走っているため、渋滞が起こらないように信号などのシステムを構築するのが大変だったという。それもあってか、車の運転機能はデフォルトでは自動運転になっているものの、設定を変更することで手動での運転も可能だそうだ。
またプレイテストでマップの風景や探索を楽しんだというユーザーからは、マップの隠し要素やイースターエッグの有無を聞く質問が寄せられた。キム氏は舞台となる街「Dowon」に“自身の家”が隠されていると前置きしつつ、マップのところどころに珍しい「カード」などのコレクションアイテムや、看板などにイースターエッグも隠されていると答えた。マップを探索し、隠し要素を見つけるといった楽しみ方もできるようだ。
そして別の質問への回答では、本作のキャラの「死に方」があわせて16パターンほどがあるという興味深い情報も明かされた。交通事故のほか、バスルームで足を滑らせて転んで死んだり、古くなった食べ物のせいで死んだり、家電の修理に失敗して死ぬことも低確率ながらあるという。
ほかにもショーケース内では、マルチプレイの今後の展望や、刑務所と「脱走」のシステム、職業としての「アイドル」の実装予定など、興味深いさまざまな質問と回答を見ることができる。気になる人は『inZOI』の詳しいゲーム紹介と合わせて、ライブ配信のアーカイブを確認してみるのもいいだろう。

なおショーケースの中でキム氏は、『inZOI』に集まった注目が、開発の大きな手助けになったと感謝を述べた。しかし大きな期待がプレッシャーとなることもあったという。クオリティアップのため、早期アクセス自体を見送るという選択肢もよぎったようだ。ただファンの声に耳を傾け、より良いゲームにしていくために、やはり早期アクセスの形式にすることを決断。配信映像では「To become the best life simulation game in the world(世界最高のライフシミュレーションゲームになるために)」という表明も見られ、入念にブラッシュアップしながら開発が進められる方針もうかがえた。
今回の配信では改めて本作の内容が確認できるとともに、要所要所で挟まれる映像からは、さまざまな要素が以前より改良されている印象を受けた。早期アクセスのフィードバックにより、本作がどのような進化を遂げていくのか期待したい。ちなみに本作のキャラクターメイキングと建築要素を一足早く試せる期間限定の体験版『inZOI: Creative Studio』が、3月23日より配信予定。本日3月20日正午からは各配信プラットフォームで体験版のアクセスキーを入手できるDropsイベントもおこなわれる(関連記事)。気になる人は一足先に本作の一部要素の仕上がりを体験してみるのもいいだろう。
『inZOI』はPC(Steam)向けに3月28日、早期アクセス配信開始予定だ。価格は39.99ドルとなり、本稿執筆時点では日本版の価格は不明だ。なお、早期アクセス配信開始時点で日本語表示にも対応予定。