基本プレイ無料『ドラゴンクエストスマッシュグロウ』先行プレイ感想。サバイバーローグライトに「仲間と転職」「着せ替え」などをまぜ、独自の立ち回りが必要なオートバトルゲームに

スクウェア・エニックスは10月14日、『ドラゴンクエストスマッシュグロウ』のクローズドβテストを開始した。対応プラットフォームはiOS/Androidで、基本プレイ無料で配信される見込み。

スクウェア・エニックスは10月14日、『ドラゴンクエストスマッシュグロウ』のクローズドβテストを開始した。対応プラットフォームはiOS/Androidで、基本プレイ無料で配信される見込み。

『ドラゴンクエストスマッシュグロウ』は、自動で攻撃がおこなわれるローグライトアクションRPGだ。プレイヤーはタッチ操作でキャラクターを動かし、モンスターの群れに対しては自動で攻撃。敵の攻撃をかわしつつ攻撃するとゲージが溜まり、必殺技のスマッシュで敵を一気に吹っ飛ばすことができる。また、「ほころび」と呼ばれるダンジョンではグロウ結晶を集めることで、ランダムな3択の「冒険スキル」を選択可能。毎回違った成長と戦略を楽しめる。

自動攻撃のゲームといえば『Vampire Survivors』(以下、ヴァンサバ)を代表とするサバイバーライクが思い浮かぶだろう。このジャンルでは敵を避けつつ経験値を集め、3択強化でランダムな成長というシステムが基本なので、概要だけ聞くと同じような印象を持つかもしれない。筆者自身そのような印象を持って本作のクローズドβテストをプレイしたところ、まったく異なる戦略が必要なゲームとなっていた。本稿ではインプレッションをお伝えしていく。

「立ち止まる」ことと「吹き飛ばす」ことが重要なバトル

本作では、常に変化する世界の亀裂「ほころび」が各所に発生しており、プレイヤーは傭兵団「竜の翼」の一員として、ほころびの奥にいるボス「ヌシ」を倒すことが目的となる。章ごとに10~20ほどのステージが用意されており、スタミナを消費してステージに挑んでいく。1ステージはほぼ一本道構成で、道中の広めのエリアではモンスターの群れが登場。エリア内の敵を殲滅することで先へと進めるようになる。成長度合いや難易度によるものの、おおむね1ステージ3分以内にクリア可能だ。

戦闘システムとしては、通常攻撃が自動でおこなわれることが特徴。プレイヤーの装備する武器種によって攻撃範囲が円で表示されており、円の中に敵がいれば攻撃する。ただし、既存のヴァンサバ系との大きな違いとして、攻撃するには「立ち止まる」必要があり、通常攻撃の3連目にはフィニッシュ技が発生。フィニッシュ技は通常の5倍ほどのダメージを与えることができるため、逃げ回るのではなく被弾するリスクを負って「立ち止まる」ことが重要なのだ。この仕様により特にボス戦では緊張感のある駆け引きが楽しめる。

モンスターを倒すと「グロウ結晶」を落とし、殲滅すると自動的にすべて回収される。ヴァンサバ系のように集めまわる必要はないため、攻防に集中できるわけだ。グロウ結晶が一定量溜まるとステージ内のみのレベルアップ となる「グロウ」し、ランダムな3択の「冒険スキル」から一つを選択できる。冒険スキルは周囲を回転し続けるオーブを追加したり、フィニッシュ技に追撃や回復効果を付与したりなど多彩。本作では冒険スキルのレア度が一目で分かるよう色付けされているのも特徴で、レア度が高いスキルが出てくれば基本的にそれを選ぶこととなるだろう。何度も繰り返すステージ攻略をあまり悩まずサクサクと進行できるわけだ。

さらに、本作のバトルシステムの最大の特徴が必殺技である「スマッシュ」だ。通常攻撃を当てるとゲージが溜まり、スマッシュアイコンをタップすると必殺技が発動。必殺技は強力かつ広範囲であるのはもちろん、スマッシュで敵を倒せば通常よりも大量のグロウ結晶を入手できる。また、スマッシュで倒した敵は壁に何度もぶつかるほど転がり、時には画面手前まで3次元的にド派手に吹き飛んでいくので超爽快。ゲージはすぐに溜まるので、スライムのような弱い魔物の大群に対してもスマッシュを使うことで効率よくグロウできるうえに何度も爽快感を味わえるのだ。必殺技を温存するのではなく撃ちまくることが推奨される珍しいシステムとなっていた。とはいえ、通常攻撃で削ったうえで倒せるタイミングで発動したり、大量の敵を巻き込めるような位置取りをしたりといった戦略は求められる。

スマッシュとグロウにより何度も爽快に楽しめる本作だが、先へ進むと敵の攻撃が激しくなっていく。強力な攻撃予兆は範囲とタイミングが赤く表示されるものの、先述したように「立ち止まる」ことが重要なバトルなので、反応が遅れて大ダメージを食らうことも多々あった。また、壁に反射する全方位魔法なども多用してくるので、避けきれずに死んでしまうことは珍しくない。プレイヤー自身の攻撃エフェクトも激しいので、敵の攻撃予兆はもう少し表示優先度を上げてもいいように感じた。

そんな難しいバトルでは仲間の出番だ。ストーリーを進めると主人公含めた3人のパーティーで挑めるようになり、1人が力尽きても戦い続けることができるのだ。戦闘中にキャラクターはいつでも切り替えることができるので、力尽きる前に余裕を持って変更する方がいいだろう。また、仲間はそれぞれに職業を設定でき、たとえば僧侶は一定時間おきに回復してくれるといった能力も存在。敵には弱点となる武器種や属性もあるため、仲間の切り替えを駆使して有利に立ち回るのだ。ちなみに、パーティーそれぞれの装備によってステージ開始時に「いきなり冒険スキル」も付与される。出現する冒険スキルも変化するので、高難易度ステージではいろんな組み合わせを考えるのが楽しいのだ。

転職や属性などドラクエらしい成長要素

そんなローグライトな本作だが、ステージ内でのグロウよりもRPG的な成長要素の方が重視された作りとなっている。まずステージをクリアすると経験値を獲得し、レベルアップしてステータスが全体的に上昇する。レベルは仲間それぞれの職業別となっており、レベルを上げて獲得する能力には転職しても効果を発揮するものも存在。転職はいつでもできるとはいえ、一つの職業を最大レベルにするには膨大な経験値が必要となるため、一つに特化するのかバランス良く育てるのかが悩ましくも楽しいところだ。また、職業にはスキルツリーも用意されており、こちらは専用素材を消費してスキルパネルを獲得する形式となっている。

続いて、ドラクエおなじみの装備品だ。本作では武器と4部位の防具、2つのアクセサリを装備可能。装備品には属性などが設定されており、アクセサリを除く装備品はガチャで獲得して強化していく。装備品のレア度は3段階となっており、最高レア星3の提供割合は7%と比較的高く設定されているのは嬉しいところだ。とはいえ、武器と防具すべてが混ざったガチャとなっているため、狙った部位の装備品を獲得するのは大変そうである。5凸まで可能となっているので、装備部位ごとのガチャも別途用意されればありがたい。ちなみに見た目だけに反映される見た目装備機能のほか、仲間のキャラクリも制限なく自由におこなえるため、着せ替えを存分に楽しめるのは嬉しい仕様だ。

さらに、本作ではステージクリア時に倒したモンスターの「メモリ」をランダムで入手する。メモリを装備するとステータスが上がるほか、メモリにはそれぞれにランクとコストが設定されている。コスト上限は職業レベルを上げるほど増えていき、強力なメモリを装備できるようになっていく。さらに同じモンスター同じランクのメモリが3つあれば一つ上にランクアップ可能。最高Sランクのメモリは装備する以外に、スキルツリーにセットするという用途もあるため、最終強化するには膨大なメモリが必要となる。ステージによって登場するモンスターと入手できるメモリは異なるため、メモリ獲得のために序盤のステージにも周回する意味が生まれるエンドコンテンツにもなっている。

超ド派手なマルチや超高難易度クエスト

本作で用意されているコンテンツについても触れておこう。先述したようにストーリークエストはスタミナ制となっており、クリアするとハードモードが解禁される。また各ステージには規定時間以内にクリアするといったミッションが3つ設定されているため、すべてのステージでミッションをコンプリートすることが一つの目的となる。なお本作では完全オートモードがあるほか、1日5回までスキップする機能も用意されているので周回は快適におこなえる。

また、高難易度なチャレンジクエストにはスタミナではなく専用アイテムを消費して挑むことができる。敵の攻撃が苛烈なので攻撃パターンを覚えて回避することが前提の難易度であるほか、必殺技の使用回数制限やデバフが付与されることもある。単に強化しただけではクリアできず高度なプレイスキルが必要となるだろう。

最後に、定期的に開催されるイベントでは専用ストーリークエストが用意されるほか、オンラインの4人で挑むマルチクエストが存在。このマルチクエストが本作で最もド派手になっていた。開催されていたマルチクエストは城の防衛クエストとなっており、4人が一つのエリアで戦うこととなる。通常のクエストより大量の敵が出てくるため、1ウェーブしのぐと大量のグロウ結晶を獲得して4回ほど冒険スキルを選んでいく。これが5ウェーブ続くため、通常のソロクエストの2倍ほどの冒険スキルを獲得することになり、最終ウェーブでは通常攻撃ですら画面を埋め尽くすほどのド派手なエフェクトが発生するのだ。スマッシュを使わずとも爽快感が得られるため、是非とも体験してほしいバトルであった。

総じて本作は、ヴァンサバ系とは異なる戦略が楽しめるオートバトルアクションRPGとなっていた。操作としては攻撃不要で動かすだけながら、「立ち止まる」駆け引きと「吹き飛ばす」爽快感が両立。隙間時間にプレイするカジュアル層から高度なプレイスキルを求めるコア層まで幅広く満足できるよう設計されているように感じた。ドラクエらしい成長要素も豊富なので、何度も長く楽しむことができそうだ。

『ドラゴンクエストスマッシュグロウ』はiOS/Android向けに、2026年にグローバル同時リリース予定だ。

Haruki Maeda
Haruki Maeda

3DアクションRPGと犬をこよなく愛するPCゲーマー。『フォールガイズ』のようなわちゃわちゃ系も大好きです。

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