『ディシディア デュエルム ファイナルファンタジー』先行プレイ感想。情報量は多いが愛着も膨らむ、苦戦もキャラ愛で乗り越える新感覚・オールスターFF
本稿では、『ディシディア デュエルム ファイナルファンタジー』の先行プレイ感想をお届けする。本作は『FF』ファンの交流を深められるようなコンテンツも充実している。

スクウェア・エニックスは11月7日、『ディシディア デュエルム ファイナルファンタジー(DISSIDIA DUELLUM FINAL FANTASY)』のクローズドβテストを開始した。本作では、歴代の『ファイナルファンタジー(以下、FF)』シリーズのキャラクターたちが作品の垣根を越えて集結。現代の日本を舞台に、彼らの新たな戦いや日常が描かれる。
この度、そんな本作を先行してプレイする機会に恵まれた。その中で感じたのは、『ディシディア』シリーズの醍醐味ともいえるクロスオーバー、すなわち境界を越えた交流のさらなる発展である。キャラクター同士のやり取りやバトルをはじめとして、幅広い『FF』ファンがキャラ愛を広げ、深められるような設計が全体的に感じられた。なお、本稿の内容は現在開催中のクローズドβテスト前のプレイに基づくものであり、今後変更となる可能性があることに注意されたい。

直感的な操作、でも一筋縄ではいかないバトル
さっそくバトルを体験していく。本作のバトルは、3対3のチームに分かれて戦う「ボス討伐型チームバトル」だ。プレイヤーは10人の『FF』戦士たちの中から操作キャラを選択し、仲間と共に相手チームより先に巨大ボスを討伐することを目指す。本作では、キャラクターのロールとしてフロント/ロングレンジ/スピード/サポートの4種類が存在。それぞれの戦闘スタイルに合わせた立ち回りが、勝敗に大きく影響する。
最初に選択したのは、初代『FF』を代表するウォーリア オブ ライト。味方の支援を得意としながら、高い耐久力も有するサポートキャラだ。持ち前の耐久力を活かすため、バトルが始まるやいなや前線へと駆け出した。

バトルの基本は、「ブレイブ」を集めることだ。ブレイブは、フィールド上に点在する汚染されたクリスタルを、周囲のモンスターを倒して浄化することで獲得できる。また、相手チームのプレイヤーを倒すことでも入手可能。ブレイブが9999まで貯まると「ブレイブバースト」を発動でき、これによって初めてボス敵への攻撃が可能となる。
バトルでは、キャラクターの射程範囲に敵が入ると自動で攻撃がおこなわれる。加えて、デッキに編成した5つのアビリティをフリック入力で発動させて、強力な技を繰り出すことが可能だ。本作は指一本で移動も攻撃もできるよう設計されており、片手でも快適に操作できた。

しかし、実際にアビリティを使いこなすのは難しい。アビリティには攻撃スキルやバフなどさまざまな種類があるが、それらを使うタイミングが重要なのだ。各アビリティにはクールタイムが設定されており、強力な技ほど再使用できるまでの時間が長い。そのため、ボスの前でブレイブバーストしたのはいいものの、使える攻撃アビリティがなく呆然とする場面もあった。アビリティの扱いに苦戦し、思うように立ち回れなかった初戦ではあったが、チームメンバーのおかげでなんとか試合には勝つことができた。
そしてバトル後、自分が「キャラクターアクション」を一度も使用していなかったことに気づく。本作では、各キャラクターは長押しでキャラクターアクションという固有のアクションをとることが可能。たとえばウォーリア オブ ライトの場合、味方全員の被ダメージを15%軽減する効果をもっている。にもかかわらず、それをまったく使っていなかったのだ。その試合での不甲斐なさに、なんとも申し訳ない気持ちになってしまった。
気持ちを切り替えて、次の試合では『FF7』主人公・クラウドを選択。近接攻撃を得意とするフロントキャラである。キャラクターアクションは、遠距離から突進して連続攻撃を繰り出すというものだ。次こそはキャラクターアクションの存在を忘れないよう、気合を入れて試合に挑んだ。

ところが今度は相手プレイヤーのキルに集中しすぎて、ボスへの攻撃がおろそかになってしまった。つい攻撃スキルを使いたくなり、相手プレイヤーを撃破しようと動いていたが、本来の目標はボス討伐である。本作のバトルでは、より早くボスのHPを0にしたチームが勝利となるが、時間内にボスを倒せなければ両チーム敗北となってしまう。相手プレイヤーとの交戦ばかりに気を取られてはいけないのだ。
その一方で、味方が粘り強くボスに攻撃していてくれたおかげで、今回も試合には勝利。役割分担がはっきりしていることも、戦略の一つとして有効なのかもしれないと感じた。
すべてのロールを一通り体験した中で、特に楽しかったのは、スピードキャラのライトニングだ。キャラクターアクションとして高速ダッシュが可能であり、そこから素早い周囲攻撃を繰り出せるのが特徴である。移動速度が速いので、フィールドを縦横無尽に駆け回りながら敵に攻撃を仕掛け、クリスタル浄化をして回った。そのためブレイブが貯まるのも速く、ボスへの攻撃もコンスタントにおこなうことができた。今回はプレイ中に味方の役に立てている実感があり、結果も勝利と大満足。リザルト画面を見ると、ボスへのダメージ量もブレイブ獲得量も、なんと自分が1位になっていた。バトル数回目にして、この結果は非常にうれしいものだった。自分に合うキャラクターが見つかったと感じた。

その後、自分には機動力の高いキャラが向いている気がしたので、同じく高速移動が可能なジタンを選択して最後の試合に挑んだ。しかし、同じスピードキャラでも戦い方はまったく異なることがわかった。ジタンは相手プレイヤーを倒さなくてもブレイブを奪える、いわば相手の妨害に特化したキャラクターだったのだ。ロールが同じでも求められる動きはキャラクターごとに違うため、まずは手に入ったキャラで色々と試してみるのがよさそうである。操作しやすいキャラを選択するもよし、お気に入りのキャラを使い続けるもよし。自分好みのプレイスタイルでバトルを楽しめる。
本作の開発に携わるNHN PlayArtは、『#コンパス 戦闘摂理解析システム(以下、#コンパス)』などの人気モバイル向けタイトルを手がけてきたことでも知られる。『#コンパス』は、相手プレイヤーと交戦しながら拠点を奪い合う陣取りゲームだ。筆者自身も『#コンパス』のプレイヤーであり、チュートリアルをプレイした時点では、本作のゲームシステムにもどこか馴染みがあるように感じられた。だが実際バトルに挑んでみると、思ったより操作が難しいと感じた。
とりわけ手強かったのは、アクションの対象が多いことだ。本作では、相手プレイヤーだけでなく雑魚モンスターにも攻撃しつつ、クリスタルを制圧し、最終的にはボスを討伐する必要がある。またアビリティの数も5つと多いため、それぞれの管理にも注意を払わなければならない。本作のバトルは、ボス出現からリアルタイムでわずか6分という制限時間の中で展開される。その時間内に、これらすべての要素をこなさなくてはいけない。フィールドは決して広くはないが、味方や敵の動きを見ながら臨機応変に立ち回るのは簡単なことではない。操作に慣れないうちは、すべきことの多さに処理が追いつかず、達成感を得られないまま試合が終わってしまうこともあった。

しかしプレイを重ねるうちに、アビリティやキャラクターアクションの使い方、キャラごとの立ち回りのコツなどが徐々にわかってくる。すると、バトル中の手応えにもリザルト画面にも、成長が如実にあらわれるのだ。リザルト画面ではプレイヤーの活躍ぶりがポイントとして可視化されるので、他のプレイヤーとも比較しつつ、対戦を繰り返すたびに自分が上達している実感を得ることができる。
本作は、従来の『ディシディア』シリーズとはまったく異なるバトルシステムを特徴としている。そのため、最初はなかなか操作に慣れないと感じるプレイヤーもいるかもしれない。しかし、愛着のあるキャラクターで何度でもバトルに挑戦でき、操作の上達も実感しやすいので、思わずもう一戦、もう一戦とプレイを重ねてしまう。そうして腕を磨いていく中で、自分の好きなキャラクターで大活躍できたときの喜びは格別である。
試合が終わると、リザルト画面では「いいね」やフォロー機能のほか、スタンプでの交流もできる。熱戦の余韻に浸りながら、気づけば全員に「いいね」を送っていた。
「好き」と「好き」が交じり合う空間
本作ではバトルだけでなく、プレイヤー同士の交流を深められるコンテンツも充実している。そのひとつがチャット機能だ。チャットページには全世界のプレイヤーが参加でき、SNSのように文章やスタンプを送信してやり取りすることが可能。さらにゲーム内アカウントを実際のXアカウントと連携させることもでき、バトル後も戦友たちと交流を続けられる。
また、プロフィール設定も細かくカスタマイズ可能だ。好きな『FF』作品やキャラクターなどのタグを最大8つまで登録でき、共通のタグを通じて趣味嗜好の近いプレイヤーとつながれるマッチング機能も備えている。ゲーム内で自分の「好き」をアピールするだけでなく、同じ作品やキャラクターへの想いを自由に語り合える場が設けられているのだ。もちろん、異なる世代や別の作品を推すプレイヤーとの交流もできるため、愛を深めるだけでなく、広げていける場となっている。

さらに本作では、「FINE」という『FF』キャラクター同士によるチャットも収録されている。歴代の『FF』戦士たちの日常を描いたショートエピソードを、グループチャット形式で見ることができるのだ。彼らの会話シーンの中に、「既読2」などと表示されている様子はなんだかシュールで面白い。現代の日本を舞台にしているからこそできる、ユーモラスな演出だといえるだろう。このように、キャラクターたちの新たな一面を垣間見られるコンテンツも用意されている。
「クロスオーバー」シリーズの新たな到達点
本作は『ディシディア』シリーズのアクションゲームでありながら、片手操作で直感的にキャラを動かし、他プレイヤーとリアルタイムでチームバトルを繰り広げるという新しいゲーム体験を実現している。それは、キャラクターへの愛によってプレイヤーを引き込み、熱中させるバトルであるように感じた。さらに、そうしたキャラ愛を広げるとともに深められる交流機能やストーリーの充実も魅力のひとつ。一方で操作は難しく覚えることは多い。『#コンパス』履修者の自分でもそう思ったのでなおさらだ。
これらの要素が、境界を越えたつながりをいっそう豊かに感じさせてくれる。『ディシディア』シリーズの醍醐味であるクロスオーバーを、キャラクター同士、プレイヤー同士、そしてキャラクターとプレイヤーとの間で多層的に展開し、それらを一つの作品として見事に融合させていると感じた。なお、公式PVでは次なる歴代『FF』戦士の登場を示唆する映像も確認でき、今後の展開にも期待が高まる。
『ディシディア デュエルム ファイナルファンタジー(DISSIDIA DUELLUM FINAL FANTASY)』はiOS/Android向けに、基本プレイ無料で2026年に配信予定だ。
※掲載されている情報はCBTに先駆け実施されたテストプレイ会時点の内容となり、今後変更となる場合がございます。
© SQUARE ENIX/NHN PlayArt
CHARACTER DESIGN: MIKI YAMASHITA / TETSUYA NOMURA




