闘球3Dアクション『BAKUDO』は、「銃夢」からインスピレーションを受け、ドッジボールを軸にした異種混合スポーツアクションに。開発者に背景を訊いた
台湾の開発チームSAYIL GAMESが手がける、学園SF×ボールスポーツを掛け合わせた 闘球ボスバトルアクションゲームである。

集英社ゲームズより、『BAKUDO』が発売予定となっている。同作は台湾の開発チームSAYIL GAMESが手がける、学園SF×ボールスポーツを掛け合わせた 闘球ボスバトルアクションゲームである。公開されている動画では、ハイクオリティなグラフィックで激しいボールのやり取りが行われており、ゲームプレイが気になってくる。弊誌では、京都で7月18日から開催された「BitSummit the 13th」にて、SAYIL GAMESのArthur氏とTAKO氏にインタビューを実施。本作の目指す方向やこだわりなどを伺ってきたので、その内容をお届けしよう。
──まずは自己紹介をお願いします。
Arthur Huang 氏(以下、Arthur氏):
SAYIL GAMESのArthurです。本作のゲームディレクターを務めながら、ゲームデザインとアニメーションの制作を担当しています。
TAKO氏:
SAYIL GAMESのTAKOです。『BAKUDO』ではエフェクトとUI、UXの部分を担当しています。SAYIL GAMESは、大学時代に知り合った5人によって結成されたチームです。でも実は最初はみんな、バラバラのチームで作品を制作していたんです。卒業制作の展示会で出会って互いのプロジェクトを気に入り、そこから一緒にゲーム作りをすることになって、SAYIL GAMESを設立しました。

──『BAKUDO』について伺わせてください。どういったゲームなのでしょうか。
Arthur氏:
『BAKUDO』は、学園SFと球技スポーツを融合した3Dのボスバトルアクションゲーム です。闘球 を中心に回っている、架空の世界が舞台となっています。プレイヤーは主人公のユリアを操作してゲームの中でいろんなことを体験していきます。彼女は、球技のために設立された名門学院に入学して、その中で数多くの猛者たちと対決を繰り広げながら、自分の自身を証明していく。あるいは自分の信念を示して、戦うようなストーリーを展開してきます。
──本作の開発のきっかけについて教えてください。どういったところから開発スタートしたんでしょうか?
Arthur氏:
SAYIL GAMESのメンバーは、アクションゲーム制作が得意なメンバーが多いんです。なので、最初からその方向性でプロトタイプを作っていたのですが、プロトタイプを3ヶ月間で3つ作って全部ボツにしたりなど、あまり上手くいっていませんでした。色々試行錯誤を繰り返している中で、ある日「銃夢」という漫画で「モーターボール」という競技を見かけたんです。じゃあ自分たちもボールを使って人を殴るゲームを作ったら面白いんじゃないかと考えて、作り始めたことがきっかけです。
──『BAKUDO』は球技がテーマですが、現実のスポーツに例えると何が近いでしょうか。
Arthur氏:
もちろん現実世界に同じようなスポーツはないんですけれど、やっぱり一番近くて分かりやすいのはドッジボールです。どちらもボールを使って、立てなくなるまで殴るので(笑)ただ一つのスポーツに限定するのももったいないので、いろんなスポーツのルールを混ぜ合わせています。たとえばバレーボールのモーションも入っていますし、ボールを足で蹴る人も出てくるかもしれない。いろんな可能性があるような状態ですね。


──世界観を作り上げていくにあたって、なぜ学園モノになったのでしょうか。
TAKO氏:
学園モノにしたのは、テーマである球技と相性がいいからです。体育の授業や部活動など、誰でも学校で球技に関わったことがあるんじゃないかと思います。そうした共通体験があるから、直感的に世界観を分かってもらえるんじゃないかと考えて、学園モノにしました。そして、よりボールスポーツを世界観に融合させるような設定も作ってあります。
この世界は、文明自体がボールスポーツを中心にして回ってるんですよ。たとえば、現実世界で喧嘩をするというシチュエーションがあるとします。 でもこの世界だと喧嘩じゃなくて、ボールを使って試合をするんです。あとこの世界だと、誰でもボールを持ってでかけます。なので、ペットを連れ出すバッグのように、ボールを入れるためのバッグが開発されていたりとか、ボールに関するものがたくさん存在しています。
──誰もがボールを持ち歩いているのは、どこでボールを使った戦いが始まるか分からないから、そういうことに備えて持っているんでしょうか?
Arthur氏:
そうですね。開発コストの兼ね合いもあって、ゲームとしてそのまま表現する方がいいのかは色々議論しないといけないんですけれども、そういう可能性もあります(笑)
──アクションゲームとしては、どういったところにこだわって開発していますか。
Arthur氏:
3点あります。まずボスのデザインですね。私たちは、ボスのデザインではそれぞれの個性を重要視していて、どのボスにも明確なバックボーンと信念をもたせています。そしてボスたちの信念や個性をゲームプレイへ落とし込むことを心がけています。たとえば、球速の速いボスがいたり、ダンスするボスならボール が複雑な軌道を描いたりなどです。
続いて、プレイヤーの操作です。なめらかな操作性や応答性はプレイヤーから求められていますし、譲れないところでもあります。またプレイヤーがキャラクターを気持ちよく動かせることも重要ですね。気持ちよく操作できるからこそ戦闘に没頭できるので、操作の部分はかなり力を入れて調整しています。
最後に、ボールスポーツの戦闘である以上、普通の投球だけでは物足りないと思っています。なので、各ボスの特徴に合わせて技や球速をいろいろ調整しようと思っています。ボールスポーツは心理戦です。プレイヤーがボールを受けて撃つ瞬間には、ボスが何をしようとしているのか、手触りだけでなくて心理戦も感じてもらえるようにしたいと思っています。


──本作はアニメ調 のグラフィックですが、全体としてはカッコいい印象も受けます。UIやグラフィックでは、どういったところにこだわっていますか。
TAKO氏:
現実の球技スポーツの見せ方を、ゲームにも取り入れています。たとえばバスケットボールだと、選手入場時にモニターで選手の紹介があるじゃないですか。モニター上でカッコいいポーズを決めながら選手が入場してくると思うんです。そういった要素をゲームにも取り込んでいます。それとアメコミを意識している部分もありますね。アメコミでよく使われるドット柄や、フチの太いデザインなど、現実のデザインにアメコミの要素を取り入れることで、ゲーム内のものとしておかしくないデザインに仕上げています。
──最後に読者へ向けてメッセージをお願いします。
TAKO氏:
『BAKUDO』は1作目にも関わらず、発表後に 多くの方から熱烈な反応をいただき、感動しています。そうした期待に応えるべく、これからも頑張って開発を進めていきます。ゲーム内にはいろんなコンテンツや、楽しい特徴的なボスも登場予定なので、興味があればぜひこれからも注目してください。
Arthur氏:
完成までにはまだもう少し時間がかかりそうです。チームの規模はそんなに大きくないんですが、やっぱり達成したいことがまだまだあります。たとえば街中での普通の人との試合など、これからいろいろとやらないといけないことがあるような状態なので、発売時期ははっきりとは言えないのですが、引き続き頑張って開発していきたいと思っています。
──ありがとうございました。
『BAKUDO』はPC(Steam)向けに、日本語字幕対応で発売予定だ。
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