基本プレイ無料オープンワールド大作『無限大ANANTA』はとにかく「物量」が規格外。いろんなゲームの“良いとこどり”が詰まった怪物級、試遊時間が全然足りない

注目を集めるオープンワールドRPG『無限大ANANTA』をTGS2025にて試遊したので、その内容を紹介する。

無限大ANANTA』 はNetEase Gamesが傘下スタジオのNaked Rainと共同開発する、基本プレイ無料のオープンワールドRPGだ。2023年に『Project Mugen(仮題)』として発表されて以来、大きな注目を集めている。

そうしたなか、NetEase Gamesは9月28日まで開催されていた「東京ゲームショウ2025(以下、TGS)」に本作のブースを出展。世界初となる試遊台も設置され、本作のゲームプレイの一端を体験することができた。本稿ではゲームプレイの感触や印象についてお伝えする。

まずは本作の概要について説明しておこう。『無限大ANANTA』は基本プレイ無料のオープンワールドRPGだ。舞台となるのは新啓(しんけい)という現代的な都市。この世界には「カオス」と呼ばれる奇妙な存在がおり、日々やっかいごとを引き起こしている。プレイヤーはカオス対策局の新任のキャプテンとして、風変わりな仲間たちとともにチームを結成。もめ事を解決しつつ、大都市での生活を楽しむ。


さっそくバトル

今回の試遊プレイは2部構成となっており、前半部分では本作のストーリーミッションの一部を体験。後半部分では、実際に街を自由に探索できるという構成になっていた。試遊を始めると主人公のキャプテンがギャング団らしき敵に囲まれており、さっそく戦いになる。

バトルでは格闘を中心とした戦いが繰り広げられた。通常攻撃のほかカウンターシステムが用意されており、敵の攻撃に合わせてカウンターを入力することで反撃が可能。カウンター可能なタイミングにあわせてエフェクトが表示されるため、視覚的にタイミングが分かりやすく、判定の猶予も緩めである。

また通常攻撃やカウンターを繰り出すと敵の体力ゲージの下に別にあるゲージが溜まり、マックスになると敵が気絶。気絶状態の敵にはノックアウト攻撃を繰り出し、大ダメージを与えることができた。いわゆるバランスや体幹ゲージに近いシステムが用意されているようだ。試遊用ということもあるだろうがアクションの難易度は低めで、気分良く敵を蹴散らすことができている。


銃撃戦もあり

しばらく戦闘すると主人公の仲間が車で到着し、カーチェイスへ移行。助手席に座った主人公は銃を使い、TPSパートとなった。今回の試遊では銃を使うシーンはほかになかったため、銃をいつも使用できるシステムなのか、特別なシチュエーションでのみ使える武器なのかはわからなかった。格闘戦がなかなか作りこまれていたため、銃撃戦の位置づけが気になるところではある。

ちなみにTPSとしてはスムーズなエイムと射撃が可能で、こちらでも気分よく戦いを楽しめた。また今回はゲームパッドを使っての試遊だったが、強めのエイムアシストが効いており、敵を狙いづらいといったこともなかった。

あまたの車やトラックが吹き飛ぶ派手なアクションシーンが展開され、QTEも交えつつ、主人公らは追っ手を片付けることに成功した。ここまで、シーンの切り替え時に暗転やローディングがなく、ゲームプレイとカットシーンがシームレスに結合しているのが印象的だ。先述したゲームバランスも含めて、とにかくスムーズにプレイが進行していく印象。それでいて気絶状態のようなギミックも盛り込まれており、単調さは感じなかった。そうして一息ついたところで試遊のストーリーパートは終了し、街の散策パートへ移行した。


いろいろな移動手段

自由に動けるようになってまず最初に強い印象を受けたのが、本作の移動方法である。キャプテンと呼ばれる主人公は両腕を触手のように変形させる能力をもっており、それを壁などに引っ掛けることでスウィング移動をすることが可能。次々とスウィングしながら飛ぶことで、空中を高速で移動することができる。ほかのオープンワールドゲームでも類似のシステムはあるが、本作のそれも手触りよく仕上がっており、スピード感があって爽快だ。

またこの手のゲームでは半ばお約束となっているように、その辺りを走っている車を拝借して運転することも可能だった。ただ本作では他人の車に乗るのは犯罪ではなく、主人公らによる“徴発”というかたちになっている。本作の主人公チームは街の治安維持をおこなう、公権力側に立っていると思われる組織。主人公らによる行為が犯罪となって、警察に追われるといった要素はなさそうな様子だった。いわゆるクライムアクションとは趣きが異なる作品と言えそうだ。


キャラごとに異なるゲームプレイ

そして本作で操作できるのは主人公だけでなく、さまざまなキャラを切り替えることが可能。フリーローム中は常時スイッチして、街のどこかでそれぞれの生活を送っている別のキャラの視点に切り替えることが可能。またキャラはそれぞれ専用のアクションやアクティビティをもっており、たとえば先述の触手を使ったスウィングは主人公専用のアクションだ。今回の試遊では主人公のほかに、タフィーとリキというキャラクターが操作可能だったので、とりあえずタフィーに切り替えてみることに。

キャラをスイッチすると一度街を俯瞰で見下ろす視点になったあと、ズームインして別のキャラの視点に切り替わる。切り替え時が夜だったためか、普段は運送の仕事をしているというタフィーは自室でくつろいでいた。部屋はタフィーの個性が感じられるもので興味深いデザインだったが、部屋にこもっていても仕方がないので外出することに。

タフィーはスウィングができない代わりに、愛用のセグウェイバイクを呼び出して運転することが可能だった。主人公の操作時は空中を飛び回っていたため、正直に言うと地上の街に何が存在しているのかよく分かっていない。セグウェイバイクでしばらくあたりを走ると、映画館を発見。せっかくなので入ってみることに。


街の作り込みに驚く

タフィーが映画館のイスに座る演出の後、なんと実際にアニメのムービーが始まった。個人的に、暗転してキャラクターが映画の感想を一言いうといった程度の内容を予想していたので、これには驚かされた。試遊時間が限られていたこともあり、ムービー自体は冒頭の十数秒でスキップしてしまったため内容はほとんど確認できなかったが、本作の作り込みの片鱗が伺える体験だった。

映画館を出てまた少し走ると、今度は服屋を発見。入ってみると大量のコスチュームアイテムが表示された。本作ではキャラの洋服を自由に着せ替えることができるようだ。オープンワールドの大作ゲームではよく見る要素ではあるが、基本プレイ無料かつキャラの切り替えが可能なゲームで、キャラの服をパーツごとに選んで着せ替えられるのは珍しく感じる。

また地上を散策していると、本作の街の作り込みに驚かされる。建物はもちろん、企業の広告や道路標識までしっかり作りこまれており、生活感はかなりのものがある。舞台となる新啓の街は、ニューヨークなど欧米の大都市というよりは、新宿や渋谷などにかなり近い印象。道路が右側通行であることを除けば、東京の景観と言われても違和感がない。

もっと散策を続けたいところだが、すでに試遊時間がほとんど残っていない。最後に少しだけ、3人目のキャラであるリキに切り替えてみることに。リキの本業は警察に似た仕事をおこなう「巡察官」で、普段は街のパトロールなどをしているようだ。そんなリキの操作中は怪しい市民の職務質問をしたり、犯罪の取り締まりをしたりすることができるのだという。

しばらく車を走らせると、路地の奥でチンピラたちが女性を取り囲んでいるところを発見。車を降りると戦闘に発展した。おそらくリキを操作しているときは、こういったイベントで取り締まりをしていくことになるのだろう……といったところで試遊時間が終了になった。


既視感はあるがとにかくリッチ

今回の試遊では、本作の要素のごく一部を覗けたのみだ。ただ体験した範囲では、街の広さ・密度ともに非常にリッチな作品という印象を受けた。基本プレイ無料のRPGというよりは、大作オープンワールドゲームとして捉えるほうがよい作品といえるだろう。試遊するだけでもかなりの規模感が垣間見え、これがキャラガチャなしの基本プレイ無料作品として提供されるとは、にわかには信じがたいほどだ。

なお圧倒的な物量のなかには、ほかの作品で見たことがある要素も多く、斬新なゲームシステムが用意されているわけではない。しかし、各要素は手触りよく実装されており、これらもまた本作が備える物量を構成している。長く遊ぶことになる基本プレイ無料作品として、遊び心地のよさ、そして遊びのバリエーションの多さを追求している印象だ。

ただ今回の試遊では本作のカギとなっている存在「カオス」に遭遇せず、世界観の詳細などについては不明瞭な点が多かった。しかしちょっと皮肉屋の主人公を始め、キャラクターたちは陽気で魅力的。カットシーンはアクション満載で、大作オープンワールドゲームに期待するような内容はしっかりと用意されていそうである。単純に遊んでいて楽しく、リリースが待ち遠しくなる試遊体験だった。

ちなみにTGSの本作ブースには、等身大のキャラ人形を使った大きなオブジェが展示されていた。
コスプレイヤーたちもおり、ブース全体が終始多くの人で賑わっていた。

無限大ANANTA』 は現在開発中だ。基本プレイ無料作品としてリリース予定。

Akihiro Sakurai
Akihiro Sakurai

気になったゲームは色々遊びますが、放っておくと延々とストラテジーゲームをやっています。でも一番好きなのはテンポの速い3Dアクションです

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