『アナザーエデン ビギンズ』先行プレイ感想。「クラシックな古さ」は強みか弱点か、『アナデン』再構成の家庭用機向けターンベースRPG 

『アナザーエデン​​ ​時空を超える猫​​​』をベースとしたRPGが、「2026年のコンソール向け新作」として楽しめるのかに迫っていきたい。​ 

​​『アナザーエデン ビギンズ』は、​​​ライトフライヤースタジオが​​2026​年9月17日​​にNintendo Switch 2、Nintendo Switch、Steam向けにリリース予定のゲームだ。本作は同社が配信中の基本プレイ無料(アイテム課金制)スマートフォンRPG『アナザーエデン 時空を超える猫(以下、アナザーエデン)』をベースに再構成した作品だ。​ 

​​『アナザーエデン』は「ソーシャルゲームをやめてみた」というコンセプトを掲げたタイトルで、シングルプレイ無料・スタミナ制限なし・期間限定イベントの振り返りが可能といった、義務感を軽減する設計が特徴。『クロノ・トリガー』『クロノ・クロス』などのシナリオを手がけてきた加藤正人氏​​​がシナリオ・演出を手がけており​​​、ソーシャルゲームでありながら、自分のペースで遊べる据え置き型RPGを志向した作品である。​ 

​​ちなみに筆者は『アナザーエデン』を未プレイだ。というのも、もともとリリース1周年記念番組でNintendo Switch版の開発が予告されており、加藤正人氏のファンであった私は「それならコンソール版を待とう」と考えていたからだ。それから少し時間が経ってしまったが、ついに触れる機会が巡ってきた。​ 

​​『アナザーエデン ビギンズ』は、ソーシャルゲームの中で据え置きスタイルを志向していたタイトルが、今回ついに据え置きの土俵へと上がった作品とも言える。本稿では、2017年にリリースされ、いまではオールドスタイルに属する『アナザーエデン​​ ​時空を超える猫​​​』をベースとしたRPGが、「2026年のコンソール向け新作」として楽しめるのかに迫っていきたい。​ 

​​時間移動が紡ぐ普遍的ストーリー​ 

​​まずはストーリーについて紹介したい。主人公「アルド」と妹「フィーネ」は16年前、月影の森でバルオキー村の村長に拾われ養子となる。成長したアルドは警備隊として活躍していたが、王国建国祭の日に魔獣王​​が村を襲撃、フィーネがさらわれてしまう。妹を救出するため魔獣に戦いを挑むアルドだったが歯が立たず、絶体絶命の危機に陥ったとき謎の渦に巻き込まれ、800年後の未来に飛ばされてしまったというあらすじだ。​ 

​​試遊では序盤の一部や特定場面をピックアップしてプレイする形だったが、このように『アナザーエデン』は時間移動をテーマにしたシナリオが展開するのが特徴だ。これは加藤正人氏の代表作『クロノ・トリガー』と通じる構造で、同作は時間移動という概念を“ゲーム体験として定着させた”作品のひとつだ。当時は斬新だったユーザーも多い歴史改変という仕掛けも、いまではフィクションにおける王道として定着しているが、興味深いのは“王道”が陳腐化するどころか、現代においても有効な物語装置として機能し続けている点だ。​ 

​​『アナザーエデン』における時間移動もまた、過去・現在・未来を行き来することでキャラクターや世界の見え方を変化させ、物語に奥行きをもたらす役割であり、単なるギミックに留まらず、「選択が時を越えて影響を及ぼす」テーマそのものを支える中核的な要素を担っている。そうした意味で本作は『クロノ・トリガー』の体験を、現代的な文脈で再提示する試みかもしれない。​ 

​​また『アナザーエデン ビギンズ』は、『アナザーエデン』のベタ移植ではなく第1部全26章を加藤正人氏による解釈を加えて再構築。一度クリアした後には「ニューゲーム+」​​​で​​​​​新​​​たに登場する​​​キャラクター「ラミュ」を軸としたストーリーが展開し、10種類以上のマルチエンディングが存在。「出逢いクエスト」「キャラクタークエスト」「親密度クエスト」など、新たな掘り下げが各キャラクターに用意されているなど、既存プレイヤーにも新鮮な体験として構成されているようだ。​ 

​​チェインスキルがもたらす戦略の深化​ 

​​『アナザーエデン ビギンズ』のバトルはシンボルエンカウントを採用しており、フィールド上を移動しながら敵に衝突することで戦闘開始。システムはMPを消費しながら多様な効果のスキルを駆使するオーソドックスなコマンド選択型だが、個性的だと感じたのが「アナザーフォース」という要素だ。通常攻撃などで画面右上のゲージが上昇し一定ラインに達すると発動可能になるが、使用中は各キャラクターのスキルが打ち放題など、アクションゲームなどと比べ画面が静的になりがちなコマンド選択式RPGにおいて、動的なインパクトと爽快感を生み出していた。​

​​また新要素「チェインスキル」が、『アナザーエデン』における戦略を大きく拡充しているのも見逃せない点だ。各キャラクターには1つずつチェインスキルを装備可能だが、発動に必要な「CP」はスキルごとに設定された条件を満たすことで溜まっていく。さらに条件は本人だけでなくパーティーメンバーも影響しており、「〇属性で攻撃した時」にCPが蓄積する場合、同じ属性のキャラやスキルで揃えれば当然チェインは繋がりやすくなる。たとえば会心率アップ効果のスキルを持つキャラクターと、「会心が出た時」条件を同じパーティーに組み込めば、シナジーで一度に何回もチェインを繋げることも可能だ。​ 

​​​スマホ版の​​​『アナザーエデン』​​​​では、手持ちのキャラクターすなわちガチャの結果に応じて戦略を組み立てる側面が強いが、本作ではガチャが無いコンソール向けに再構成されたことで、プレイヤー自身の意思でキャラクターを選べる。パーティーを組み上げる楽しさがメインになっており、自由度とビルドの奥行きを象徴する要素こそがチェインスキルだろう。試遊ではチェインを2回程度しか繋げられなかったが、属性や条件の組み合わせでさらに継続できそうな手応えはあった。​

​​またアクションゲームと比較した場合、コマンド選択式RPGのバトルはシステムそのものが経年劣化しにくいジャンルだ。アクションゲームが操作感やレスポンスといったハードウェア性能や技術進歩の影響を強く受けるのに対し、コマンドRPGの面白さはスキルの組み合わせやリソース管理といった構造的な設計に依拠しているため、時間の経過によって古びにくい普遍的な形式と言えるだろう。​ 

​​約1時間の試遊を通して​ 

​​今回​​​は限られた時間での試遊のため、全体像を判断するには不十分である点は前提としておきたい。そのうえで、冒頭に提示した「2026年のコンソール向け新作として楽しめるのか」という問いに対しては、少なくとも否定的な印象は持たなかった。あくまで序盤の感触とシステムの片鱗に留まるが、それでも強く印象に残ったのは「古さ」がむしろ武器になっているのではないかという点だ。時間移動を軸にした王道ストーリーもコマンド選択式のバトルも、現代のトレンドから見れば斬新とは言えない。​ 

​​だが本作における古さは単なる時代遅れとしてではなく、むしろ設計の芯として機能している印象を受けた。ストーリーは王道だからこそプレイヤーが文脈を共有しやすく、バトルもチェインスキルのような新要素が加わることで、古典的なコマンドRPGの枠組みがアップデートされているなど、積み重ねられてきたフォーマットだからこその“オーソドックス”な安定感と強度があった。プレイを重ねていく上で「クラシックな構造が現代でも十分に機能する」という感覚がどこまで持続・深化するのかが、本作の真価を決めるだろうと思わせてくれた。​ 

​​​『アナザーエデン ビギンズ』は2026年​​​9月17日​​​​​、PC(​Steam​)/Nintendo Switch/Switch 2向けに発売予定だ。​​​​​なおコレクションボックス・通常版を予約・購入すると、お店ごとに店舗別特典が入手可能。またライトフライヤーストア専売で、限定BOXに各種特典が同梱された「スペシャルコレクションボックス」も数量限定で販売予定だ。​ 

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Yuuki Inoue
Yuuki Inoue

RPGとADVが好きなフリーのゲームライター。同人ノベルゲームは昔から追っているのでそこそこ詳しい。面白ければジャンル問わずなんでもプレイするのが信条。

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