物理演算ロボ工作アクション『オモチム』で作り上げる自分だけの“だいぶ変な正解”。試して失敗、直して失敗、加速する魔改造サンドボックス

『ʘmʘchim(オモチム)』を試遊してみると、いつしかロボットの改造に夢中になっていた。

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アソビズムが開発中の『ʘmʘchim(オモチム)』は、ロボットを組み立て、改造し、プログラミングで動かすこともできるサンドボックスゲームだ。用意されたステージの攻略に加え、自分でステージを作る遊びも備えている。また、ゲームと並行して、プログラミングで動かせる実物のロボットも開発中だ。

今回弊誌は、東京ゲームショウ2026の会場で本作を試遊する機会を得た。概要を見た時点では、正直なところ「子ども向けの教育ゲーム」という印象だった。プログラミングに親しむ題材としては良さそうだが、大人がゲームとして遊んでも面白いのだろうか。

ところが、始めてみるといつしかロボットの改造に夢中になっていた。最初は「とりあえずクレヨンをくっつけてみよう」くらいの気持ちだったのに、やがてペンの長さや取り付け角度を細かく調整し始める。その後に触れた実機でも、命令を組み替えては何度も動きを試した。会場を見渡すと、ほかの試遊台でも、大人の来場者たちが無邪気な顔でロボットを動かしていた。

ちゃんと作ろうと身構えなくても、自分の思いつきが通る。そして一度うまくいくと、今度はもっと思いどおりに動かしたくなる。印象に残ったのは、自然と工夫を重ねたくなる、童心に返るような面白さだった。


とりあえず、くっつけてみればいい

今回遊んだのは、本作でできることを順番に体験するチュートリアル的なステージだ。プレイヤーはキャラクター「アミ」を操作し、乗り物であるオモチムとともに課題に挑んでいく。どちらも表面のつるりとしたブロック玩具のような姿で、ステージにはクレヨンやサイコロ、スティックのりなどが並ぶ。おもちゃサイズになって雑貨の間を進む、かわいらしい世界観が特徴だ。

序盤は「発明ドック」を使って道を作る。時間を止め、オブジェクトを配置し直せる機能で、段ボールを積んで足場にしたり、ボウリング玉を坂の上に置いて転がしたりする。時間を再開すると物理演算が働くため、配置できても狙いどおりになるとは限らない。積んだ段ボールは際どいバランスでぐらつき、ボウリング玉は転がり方が悪くて壁を崩しきれない。まず置いてみて、結果を見て直すという遊び方だ。

もっとも、この段階では課題が簡単で、少し単純すぎるようにも感じた。面白さが見えてきたのは、オモチムに乗り込み、「改造ドック」を使うようになってからだった。

改造ドックでは、オモチムに小物やパーツを取り付けられる。高いところにあるボタンを押したければ、ジョイントでクレヨンをつないで上へ伸ばす。サイコロをなぎ倒したければ、モーターにスティックのりを付けて回す。歯車やタイヤだけでなく、文房具までロボットの一部にできる。

物を自由にくっつけて仕掛けを作る『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の能力「ウルトラハンド」を、ロボット改造に使っているような感覚だ。ただし、最初から複雑な機構を考える必要はない。「あのボタンに届かないから、クレヨンでも付けてみるか」と試すと、それで押せてしまう。

飛んでくるサッカーボールを防ぐ課題では、前の課題で施した改造のまま、たまたま突破できた。新しい課題だからといって、律儀に作り直さなくてもよい。少なくとも序盤は、ざっくりした改造でも何とかなる場面が多かった。

ロボットを組み立てるというと、仕組みを理解して正しく組まなければならないものだと思っていた。しかし本作では、まず何かをくっつけて走らせてみればよい。それでうまくいくと、次は別の物も付けたくなる。この気軽さは大きい。いつしかきれいに作ることより、目の前の課題をどうにかすることに気持ちが向いていた。


「あと少し」を繰り返す、魔改造の楽しさ

そんな大まかな改造から一歩踏み込むきっかけになったのが、ステージ終盤のボス戦だった。ここでは3体のボスが登場し、それぞれ体に付いたバツ印の弱点を攻撃して倒していく。形や動き、弱点の位置が異なるため、それまで使っていた機体でそのまま勝てるとは限らない。

高い位置の弱点には、パーツを上に積んでモーターと歯車を取り付け、クレヨンを回転刃のようにして挑んだ。機械らしい部品と文房具を組み合わせるので、完成するロボットはどうしても珍妙な姿になる。パーツを組み合わせて攻城兵器を作る物理演算サンドボックス『Besiege』にも通じる、魔改造の楽しさだ。

とりわけ印象に残ったのが、両足に弱点を持つ力士型のボスである。クレヨンやペンを左右に伸ばした機体で挑んだものの、思うように弱点を突けない。届かなければもう一本継ぎ足し、位置が悪ければ取り付け直す。動かしては改造ドックへ戻り、また試した。

このあたりで、最初は気にしていなかった細かな調整が欲しくなってくる。もう少し長くしたい。先端をもう少し上に向けたい。ただ物が付いていればよかった段階から、狙った位置に付ける段階へと移ったのだ。

本作は、そうしたこだわりにも応えてくれる。パーツはX・Y・Zの各軸で移動・回転でき、操作画面はBlenderなどの3DCGソフトを思わせる。ウルトラハンドよりも一歩踏み込んで、位置や角度を詰めていける印象だった。

もっとも、操作のすべてが一目でわかるわけではない。大まかに物をくっつけるだけなら直感的に試せたが、細いペンを狙った位置に固定するような作業では、説明を受けて初めてわかったことも多い。今回は開発者のガイドがあったため進められたものの、ひとりでは戸惑いそうな場面もあった。製品版ではやりたいことが浮かんだとき、その実現方法をどう案内してくれるのかが気になるところだ。

そうして力士の足にあと少しでペンが届きそうになると、もう一度調整したくなる。長さや角度を変えながらペンを継ぎ足していくうちに、オモチムは長い脚を左右へ張り出したタカアシガニのような姿になっていた。

最後はその機体で旋回し、力士の足をペンでちくちく突いて撃破した。優雅さのかけらもない不格好なロボットでも、問題なく倒せてしまうのが面白い。予想し、試し、修正するというサイクルのテンポが良く、最初は子ども向けで簡単すぎるかと思っていた筆者も、いつしかすっかり本気になっていた。


「実物が指示通り動く」素朴な喜び

ゲーム内で「動かしては直す」を繰り返したあと、実物のロボットでも同じように試行錯誤することになった。本作ではゲーム内のオモチムをプログラミングで動かすことができ、同様の方法で実機も操作できる。今回の試遊では、ブース内に作られた特設コースでの実機操作を体験した。

用意されていたのは、ブロックで組まれた小型の車両型ロボットだ。まだ開発段階の試作機で、ゲーム内のオモチムとは外見が異なる。伸縮するアームとカメラが付いており、カメラの映像はプログラミング画面内にも表示されていた。

プログラミングは、教育用のビジュアルプログラミング言語「Scratch」のように、命令の書かれたブロックを組み合わせる方式だ。「前に20cm進む」「左に45度曲がる」「アームを伸ばす」といった命令を並べ、距離や角度の数値を変えて動きを作る。今回の目標は、曲がりくねったコースを進み、その先にある赤いポールをアームを用いて倒すことだった。

ロボット製作の経験がない筆者も、簡単な説明を受けて動かし始めることができた。ただ、最初からうまくはいかない。前進する距離を間違えて壁にぶつかり、旋回の角度が浅くて引っかかる。そのたびに数値を少し変えて、もう一度走らせてみる。

ゲームでペンの位置を直していたときと同じく、まず動きを見れば、変えたいところがわかる。難しい計算は必要ない。もっと手前で止めたい、もう少し大きく曲がらせたい。そうした目の前の修正を重ね、数回の試行でポールまでたどり着いた。

ところが、正面を向いてアームを伸ばすだけでは押す力が足りず、ポールを倒せなかった。そこでブロックの順序を入れ替え、旋回してからアームを伸ばすのではなく、先にアームを伸ばしてから旋回し、横からなぎ倒す方法に変更。無事にポールを倒すことができた。

組み替えたのは、ほんの少しだ。それでも、自分で考えた変更が目の前のロボットの動きに表れ、さっきまでできなかったことができるようになる。この瞬間が、思っていた以上にうれしかった。

ゲームでも実機でも、最初から正解を知っている必要はない。まず試したものを、自分の狙いに近づけていく。さらに実機では、その結果が現実世界で起きる。画面上のブロックを並べ替えるだけで、机の上のロボットの振る舞いが変わるのだ。壁に引っかかっていた機体が、自分の組んだ命令でコースを進み、目標を達成する。そこには、モノに命を吹き込んだような喜びもあった。会場で見かけた大人たちが、キラキラした目で実機の操作を楽しんでいた理由もわかった。


遊びたいから、考えてしまう

今回触れた範囲では、製品版にどれほどの課題が用意されるのか、ステージ制作でどこまで遊べるのかまではわからなかった。細かな改造操作を覚えるまでの導線も含め、ゲーム全体の手応えは今後確かめたいところだ。

ただ、「子ども向けの教育ゲームでは」と身構えていた筆者が、いつの間にか改造やプログラミングに熱中していたのは確かである。最初はざっくりした思いつきで試せて、それがうまくいくと、もっと自分の狙いどおりに動かしたくなる。そして、こだわり始めた先には細かく調整できる余地がある。この流れが気持ちよかった。

自由度の高いゲームは、最初から何もかも自分で考えるとなると難しく感じがちだ。しかし今回の試遊には、ボタンを押す、弱点を突く、ポールを倒すというわかりやすい目標があった。そのおかげで、「何を作ればいいのか」から悩まず、「どうすればできるか」に集中できたのだと思う。

本作は子どもがプログラミングに親しむ入口にもなりそうだが、大人の筆者も、思いつきを試しては改良する遊びにすっかり夢中になった。適当にくっつけても何とかなるし、こだわればその分だけ応えてくれる。『オモチム』には、「もう少しうまく動かしたい」と手を伸ばしたくなる、サンドボックスとしての面白さがあった。

『ʘmʘchim(オモチム)』はPC(Steam)向けに2027年発売予定。

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Yusuke Sonta
Yusuke Sonta

『Fallout 3』で海外ゲームに出会いました。自由度高めで世界観にどっぷり浸れるゲームを探して日々ウェイストランドをさまよっています。

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