「遊べるマンガ」を謳う基本プレイ無料RPG『unVEIL the world』は、本当になにからなにまでマンガっぽかった。熱血主人公の冒険を応援して少年マンガ気分を味わった試遊感想
『unVEIL the world –アンベイル ザ ワールド–』は集英社ゲームズとNetEase Gamesが共同開発する、基本プレイ無料のRPGだ。iOS/Android向けに、10月16日に配信予定。

『unVEIL the world –アンベイル ザ ワールド–』は集英社ゲームズとNetEase Gamesが共同開発する、基本プレイ無料のRPGだ。iOS/Android向けに、10月16日に配信予定。
本作は「漫画を読むように遊べる冒険」と謳われており、随所に漫画的な演出が盛り込まれているのが特徴だ。メインキャラクターデザインは「約束のネバーランド」の作画などで知られる漫画家・イラストレーターの出水ぽすか氏が手がけている。今回開催された「東京ゲームショウ 2025(以下、TGS)」にて本作を試遊体験してきたため、ゲームプレイの感触や印象をお伝えする。

試遊プレイの内容の前に、まず本作の世界観を説明しておこう。『unVEIL the world』の舞台となるのは、荒涼とした砂漠が広がる世界だ。中心には異世界につながる巨大な塔がそびえ立ち、頂上には「エデン」と呼ばれる楽園が存在しているという伝説がある。主人公のラジはそんなエデンへの到達を夢見る少年である。
ムービーがすでにマンガっぽい
試遊プレイは、まず主人公のラジとヒロインのユタが塔に挑むムービーから始まった。ラジは「伝説のオレは不可能を成し遂げる!」などと豪語する熱血少年。元気いっぱいで向こう見ずで、まさに少年マンガの主人公といった感じだ。一方、ヒロインのユタは見た目は儚げだが、落ちそうになったラジを片手で支えるなど、意外とパワフル。グラフィックは鮮やかな色彩のなかにも透明感があり、キャッチーな印象だ。

本作らしい表現として、ムービー中でもコマ割りのように画面が分割されたり、描き文字がところどころに挿入されたりしている。セリフも吹き出しのように描写されるシーンがあったりと、いわゆるマンガ表現が頻繁に登場。ゲームの冒頭というより、少年マンガの第一話を読んでいるような印象すらある。

スキルカードを合成しながら戦うターンバトル
ムービーが終わると、塔の探索パートに移行した。3Dで構築されているマップを自由にキャラを動かして探索できるようだ。塔の内部には小さな機械がたくさん住んでいて、逃げ惑うものもいるが、ときにラジたちに襲いかかってくる個体も。ラジは簡単に機械を蹴散らすが、しばらく進むと大型のカマキリのような機械が出現。いよいよバトルとなる。
本作の戦闘はカードバトルとなっており、ターンの初めにパーティーキャラに応じたスキルカードが配られる。同じ種類のカードは合成し、上位のスキルに進化させることが可能。たとえばラジのスキルカードはレベル1では単体攻撃だが、2枚のカードを合成させてレベル2にすると範囲攻撃に。ヒロインのユタのレベル1スキルは攻撃技だが、レベル2では味方を回復する技になる。

ひとまず手持ちのカードを融合させ、ラジの範囲攻撃を軸に攻撃を仕掛けてみる。するとザコ敵の機械は一掃できたものの、カマキリ型の機械にはダメージが入っていない。そしてカマキリ型の機械の反撃を受け、ラジは一発で瀕死の状態に。どうも今のラジたちの力では対抗できない強さのようだ。ムービーが挿入され、ストーリーの流れとして逃走することに。
ムービーを交えてカマキリから無事逃走すると、ふたたび塔の探索パートに。道中にはところどころ宝箱が置いてあり、拾うとリソースがいろいろと入手できた。資源はいろんな種類があるが、おそらくキャラや装備の強化などに使えると思われる。このあたりは基本プレイ無料のRPGではお馴染みの要素だろう。

短い試遊時間で宝箱の中身を活用する機会はないことはわかっているが、強欲な筆者は寄り道してついつい拾ってしまう。正式版でもこうして、塔を探索しつつお宝を探していくことになるのだろう。そうこうしているうちに、ラジたちはカマキリに追いつかれてしまい、絶体絶命のピンチを迎える。
王道のど真ん中を行く熱い展開
するとムービーとなり、ラジの回想シーンが展開される。どうやら楽園「エデン」の存在を信じている人はほとんどおらず、エデンを夢見るラジは周囲にバカにされながら生きてきた様子。しかしヒロインのユタを始め、少数の人たちはラジの夢を信じて応援し、それがラジの糧となってきたようだ。記憶のなかの仲間の声に勇気づけられ、奮起したラジは「アンベイル!」の決め台詞ととも、ライズギアと呼ばれるアイテムを起動。女性の戦士を召喚した。

説明によると、ライズギアはスマホに似た形状のデバイスで、異界から「アウラス」と呼ばれる戦士を召喚できるのだとか。ピンチに直面した主人公が覚醒して逆転という、少年マンガの王道展開だ。正直に言うと、童心を腐らせつつある筆者は真正面な流れに気恥ずかしさも少し感じたが、胸が熱くなったことも否定できない。
ふたたび戦闘となり、先ほどより詳しく戦闘システムの解説が表示された。強力な敵はシールドを貼っていることがあり、スキルでシールドを破壊すれば大ダメージを与えられるのだという。また敵の次の行動は画面に表示されるため、こちらも上手く対処する必要があるのだとか。使わなかったスキルカードは次のターンに持ち越せるため、強力なカードは使うタイミングが重要になるようだ。
ちなみに、召喚された女性戦士はアレクサンドラという名前らしい。ともかくスキルカードで攻撃していくと、あっという間にザコ敵を一掃。さらに奥義ゲージなるものが貯まり、奥義を発動したことでカマキリらのシールドも破壊し、撃破することができた。どうやらアレクサンドラを始め、召喚される戦士たちは強い力を有しているようだ。立ちふさがる敵も倒し、いよいよ本格的に冒険が始まる……といったところで、今回の試遊の終了時間となった。

キャラ・ストーリー・演出、すべてがマンガ的
プレイして感じたのは、本作は非常に“マンガ的”であるということだった。それはムービー中など各所にマンガ的な演出が挿入されるというだけでなく、キャラ造形や物語の展開からも感じられるものだ。特に主人公のラジは、昨今ではめずらしいとすら感じるほどの、清々しい熱血主人公。本作はもちろんゲームだが、試遊体験を終えた後の感覚は、むしろ少年マンガの第一話を読み終えた後に近かった。ちょうどよいところで終わり、続きが気になるというのも週刊マンガと同じである。
今回試遊体験した範囲はムービーパートが多く、本作のバトルの戦略性の深いところまではわからなかった。体験できなかった要素もたくさんあるようで、おそらく製品版ではさらなる駆け引きに富んだバトルが展開されるのだろう。また集英社ゲームズの説明によると、本作のストーリーは「連載マンガのように」徐々に展開されるという。リリース後の展開も楽しみになる試遊体験だった。

ちなみにブースには出水ぽすか氏のサイン色紙も展示されていた
『unVEIL the world –アンベイル ザ ワールド–』はiOS/Android向けに、10月16日に基本プレイ無料で配信予定だ。