泡協力シューターアクション『ポッピュコム』先行プレイ感想。『アークナイツ』だけじゃない、Hypergryphの「引き出し」

『ポッピュコム』先行プレイ感想。Hypergryphの泡協力シューター。2人の協力プレイでステージを攻略していくゲームだ。

『エクスアストリス』の発売など、『アークナイツ』だけではない、という姿勢を示し続けているHypergryph。現在開発中の『ポッピュコム』もまた、その姿勢を体現する作品の1つだ。このたび東京ゲームショウ2024にて同作を試遊する機会に恵まれたため、その模様をお届けしよう。


『ポッピュコム』は3Dアクションアドベンチャーであり、2人の協力プレイでステージを攻略していくゲームとなっている。対応プラットフォームはPC/PlayStation 5/PlayStation 4だ。

今回の試遊では、初心者向けステージ2本と、ボス戦を体験。筆者は一人で試遊に来たため、現地のスタッフさんといっしょにプレイすることとなったが、初対面の人同士でも、プレイ後には笑い会えるような、楽しいコミュニケーションが自然と生まれるゲームであった。その上で本作の特徴となるのは「色」を用いたギミックである。『ぷよぷよ』に代表される落ち物パズルのシステムであったり、自機の色を切り替えて攻略する『斑鳩』のシステムなどからの影響が感じられる内容となっている。

たとえば、本作にはプレイヤーの色と同じ色をした敵が出現する。これを自身が持つ銃で撃退しながらステージを進んでいく。赤色の敵は赤色のプレイヤーが倒し、青色の敵は青色のプレイヤーが倒す。なかには弾を当てると、攻撃してくる頭が増え、3つまで同じ色の頭を増やすと倒せるというギミックを持った敵が登場する。最初から違う色の頭を複数持った敵も出現する。つまり、擬似的な落ち物パズルである。2人で協力しながら効率よく弾を当てないと、頭が中途半端に増え、敵が強力になってしまう。

また、いくらか攻撃を当て続けないと、弱点となる色が分からない敵が登場したり、落ち物パズルの要領で、消えないように色を並べて足場を作るというギミックもあった。銃で的あてをする、というシンプルな遊びながら、パズルの要素を組み込むことで、自然とコミュニケーションが生まれるようにもなっている。ルールが単純なため、意思疎通でつまずくこともないだろう。

ポップな色合いが画面の中で広がるビジュアルは、プレイ中、視界に入り込むだけでも気分が昂揚して止まない。プレイ中ミスをしてリトライすることになっても、特にペナルティが無いというのもゲーム初心者にとっては嬉しい。ベースがシンプルゆえの遊びやすさとコミュニケーションの面白さ、そしてわかりやすい華やかさが作品中に同居しており、万人受け、なかでもゲームにあまり親しみのないユーザーに向けて作られていることがよく分かる。


試遊を開始してから、サクサクと1stステージをクリアし、2ndステージへ進む筆者。ここでも新たなギミックが登場した。「盾」と「足場」である。プレイヤーは自身と同じ色をした壁を前方に展開し、同じ色の攻撃を無効化できる。壁を上に掲げれば足場となり、攻撃を無効化しつつ、パートナーを上に乗せることが可能だ。2ndステージではレーザーを駆使した即死トラップが張り巡らされており、互いに壁や足場を展開しながら、ステージを攻略していくという内容になっている。

ちなみに、本作はプレイヤーの色を切り替える機能が備わっており、試遊時点では、2人のプレイヤー合わせて計4色存在していた。ゆえに、自分の色を切り替えてパートナーをサポートするのか、素直にパートナーのサポートを受けるのかという状況判断が必要となっている。ちょっとした脳トレ要素であり、コントローラー入力のシンプルさを維持しながら、プレイヤーを悩ませ、コミュニケーションを促す良い工夫である。


この色変えと、足場、盾のシステムは、またしてもシンプルながらゲーム体験をさらに広げるものであった。互いに背中を合わせながら盾を展開し、カニ歩きでレーザーの網を避ける。色の波を避けるためにプレイヤーが互いに足場を用意し、上り下りを繰り返す。落ち物パズルギミックを処理しながらこれらを解決する必要があるため、単純なゲームルールに反して体験のバリエーションはかなり多い。そうしたプレイを繰り返すうち、いつのまにか一緒に遊んでいたスタッフの方と息のあったコンビネーションができるようになっていた。「3、2、1でジャンプしましょう。」「敵は青色ですよ!ナイスショット!」「GGですね~!」。慣れているからであろう、終始冷静なスタッフさんの横で、筆者はめちゃくちゃ盛り上がっていたのだった。


この勢いのまま、試遊は最後のボス戦に突入する。デカいヘビ。落ち物パズル風の見た目をしたボディ。そして弾幕の如し鮮やかな敵の攻撃。やるべき行動が直感的にわかる。盾を展開し、パートナーをカバーしつつ、ボディを攻撃し破壊していく。数々の困難を経て最高の連携を披露した2人の前に敵はなし。ボスはらくらくクリアできた。「今回はありがとうございました」という短い挨拶をスタッフさんと交わしたのち、筆者の試遊体験は終了した。

現時点におけるインプレッションとしては、記事中に何度か述べているが、構造の「シンプルさ」を維持することで生まれる遊びやすさと、程よい脳トレ要素によって生まれるコミュニケーションの楽しさの両立が図られている作品であるという印象である。「複雑なこと」「難しいこと」をコミュニケーションで解決しようとすると、互いの対象に対する理解度の共有がまず必要になり、円滑な意思疎通ができなくなる危険性がある。

本作は新たなギミックが登場しても、「シンプルな」ゲームであることを維持し続けているため、スムーズなコミュニケーションがずっと可能となり、最後まで協力プレイを楽しむことができる。実際、敵の攻撃をかわしつつ、適切なタイミングで弾を当てる「シューティングアクション」というゲームジャンルにおいて、初対面の人とコンビを組み、余裕を持って連携を楽しめたのは、提示されるギミックに対して解決の手段が分かりやすく、ゲームプレイや会話に脳のリソースを十分割けたという点が大きい。非常に感心させられた作品だった。『ポッピュコム』の今後に期待である。

Takayuki Sawahata
Takayuki Sawahata

娯楽としてだけではなく文化としてのゲームを知り、広めていきたい。ジャンル問わず死にゲー、マゾゲー大好き。

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