『デジボク地球防衛軍2』先行プレイ感想。小ネタと味変盛り込まれた“ニチアサ”版EDF
ディースリー・パブリッシャーは5月23日、ユークスが手がける『四角い地球に再びシカク現る!? デジボク地球防衛軍2 EARTH DEFENSE FORCE: WORLD BROTHERS』(以下、デジボク地球防衛軍2)を発売予定だ。対応プラットフォームはPS5/PS4/Nintendo Switch。
弊誌は『デジボク地球防衛軍2』Nintendo Switch版の提供を受け、本作を先行プレイする機会をいただいた。本稿では初代『地球防衛軍』からのシリーズファンである筆者の目線で、『デジボク地球防衛軍2』の内容をスクリーンショットで交えつつ紹介していこう。なおNintendo Switch版での先行プレイの範囲では、大量の敵が出現するなど一部シーンでは処理落ちが見られたものの、ストレスなくプレイが可能であった。
本作は「地球防衛軍」シリーズの外伝的作品『デジボク地球防衛軍』の続編。『デジボク地球防衛軍』のゲームシステムは本家「地球防衛軍」シリーズを踏襲しており、三人称視点のシューティングアクションゲームとして敵を撃って倒すという基本部分は同じ。もっとも異なる要素は、従来のように出撃前に1人の兵科を選ぶのではなく、ブラザーと呼ばれるユニットから4人小隊を編成して出撃をするという点だろう。
ブラザーは歴代の「地球防衛軍」に登場するキャラクターや、オリジナルキャラなどが多数参戦。ブラザーはそれぞれ異なるアビリティや、敵を倒すことでゲージを溜めて発動できる「スペシャル」を持ち、ステージ内で救出することで使用できるブラザーが増えてゆく。また、敵の多くも過去作のものが出現し、外伝作品のキャラクターも惜しみなく登場する。総じて「地球防衛軍」シリーズのお祭りのような作品と言えるだろう。
『デジボク地球防衛軍』シリーズの大きな特徴として、ステージ中いつでも小隊内のブラザーと交代できるブラザーチェンジが挙げられる。交代後も時間経過で武器やアビリティが自動でリロードされるため、状況に合わせてユニットを積極的に切り替えることが肝要となる。
『デジボク地球防衛軍2』では前作の60ステージから100以上にまで増加。ブラザーは新たに『地球防衛軍6』に登場する4兵科や、スピンオフである『地球防衛軍4.1 WINGDIVER THE SHOOTER』からウイングダイバーが参戦している。ブラザーの性能にもテコ入れがなされ、初期所持のオーナー武器を使うとボーナスが得られたり、アビリティがムーブアビリティとサポートアビリティの2つに分かれるといった新要素が追加。前作から引き続き登場するブラザーや、マイナーチェンジ版も含めると総計300種類以上になる。本作はソロおよび4人までのオンラインマルチプレイに対応。さらにNintendo Switch版はローカル通信による4人までのオフラインマルチプレイ、PS5/PS4版は画面分割でのオフライン2人協力プレイも可能だ。
シリーズ初プレイでも、虫嫌いでも
本作の大きな特徴のひとつは、「地球防衛軍」をカジュアルにプレイできる点だろう。「地球防衛軍」シリーズといえば、アリ、クモ、ハチといった巨大な昆虫型の生物やUFOとの戦闘だ。兵科を選び、武器を選び、迫る敵を撃って倒す。シンプルで明快なゲームプレイが魅力のシリーズだ。一方で、歯ごたえのあるゲームバランスや無骨なゲームシステムも特徴となっていた。
一方本作は大群と戦うという分かりやすい魅力を引き継ぎつつも、ひとつのステージはやや短めになっている。そしていくつか段階がある難易度の設定も、本家「地球防衛軍」シリーズよりやや控えめに作られている印象だ。また本作では、シリーズ伝統のアイテム回収も不要。ステージクリア後に出撃した小隊のアーマー(体力)が難易度とブラザーの種類に応じて一定量上昇するため、クリア前に時間をかけてアイテムを集めなくても問題ない。「敵に発見されるまで交戦状態にならない」というシリーズのお決まりも、敵の目が緑から赤に変わることで表現。アリやクモなどの敵もこちらに気づいていることが分かりやすい。さらに、ダメージを数字で画面上に表示し、弱点部位を攻撃すると黄色いフォントで強調されるようになっている。「地球防衛軍」シリーズを未プレイの新規プレイヤーが、困らないような配慮が行き届いているという印象を受けた。総じて、カジュアルで間口の広い作りになっているといえるだろう。
また、「地球防衛軍」シリーズの特徴である虫との戦いは、グロテスクな絵面になってしまいがちだ。アリを攻撃すれば蟻酸は吹き出すし、四方八方虫だらけでキャラがもみくちゃにされることも珍しくない。さらに『地球防衛軍5』から登場したコロニストなど人型の敵を攻撃した際に、四肢や頭がもげる表現に抵抗を覚えるプレイヤーもいることだろう。
一方で本作のグラフィックは、エフェクト以外はほぼすべてがボクセル状。おかげで敵にはリアルな「虫っぽさ」はあまりない。またコロニストを攻撃してもそれほど体液が吹き出さず、倒しても四肢はくっついたままになるなど、グロテスクな描写は軽減されている。バランス面でも演出面でも、本作は「ずっと『地球防衛軍』をやってみたかったけど、リアルな虫やグロ描写に抵抗があって遊べなかった」という人にもおすすめできる作品だ。
でもシリーズファンにこそおすすめしたい
しかし『デジボク地球防衛軍2』は、カジュアルな「地球防衛軍」というだけにとどまらない。「地球防衛軍」シリーズファンの心をくすぐる要素が多数盛り込まれているのだ。まず本作には、『地球防衛軍6』に至るまでのシリーズで積み重ねられてきたさまざまな小ネタが盛り込まれている。そもそも最初に出会う敵の名前が、巨大甲殻虫でも侵略性外来生物αでもなく“ギサンダー”である。この時点で初代『地球防衛軍』で儚くも酸で“サンダー”してしまった結城隊員を思い出してしまう。ほか、攻撃する際に「サンダー!」と声を上げるブラザーまでいるし、まるで人間のよう……な本当に人間の見た目をした敵も登場。もはや公式が悪ノリ全開でネタを盛り込んでいる気がする。シリーズファンならニヤリとすること間違いなしだ。筆者としては、シリーズ内で登場する兵科がひとまとめにされず、作品ごとにそれぞれ別のブラザーとして実装されているのが嬉しい点だ。
また本作はベースはあくまで地球防衛軍でありながらも、適切な装備やブラザー同士の特徴を考えたチームを組むことで、本家とはひと味違う戦略を立てることも可能だ。ブラザーごとに持てる武器は一つで、初期状態では武器の変更が限定されている。敵との距離による得手不得手がはっきりと出るため、事前の編成が重要なのは今まで通り。ブラザーの交代はいつでもできるため、ウイングダイバーでビルの上に飛んでから足の遅いフェンサーに変えるといった芸当も可能だ。
そのほかにも野球バットで近接攻撃をしかけるスラッガーシスター、火縄銃と刀を使うサムライブラザー、フィギュアスケートをしながらかんしゃく玉を投げるオーロラシスターなど、本家の四兵科とは武器も操作感も異なる個性的なブラザーが多い。アビリティやスペシャルなど、本家シリーズになかった要素からも戦略を組み立てられる。本家「地球防衛軍」シリーズをプレイ済みのユーザーも新鮮な気持ちで遊ぶことができるだろう。ちなみに腕が伸びるパンチを繰り出し火炎放射を武器にするヨガブラザーや、走るのが得意なサラブレッドシスターなど、どこかで見たようなブラザーも登場。とにかくバラエティ抱負である。
なお先行プレイした限り本作はいずれのステージもEASY、NORMAL、HARDの三段階の難易度から選ぶことができた。また、公式生放送ではより高い難易度のHARDESTとINFERNOでのプレイ風景も公開されていたため、従来通りであれば全ステージクリア後に高難易度が開放されると思われる。「地球防衛軍」シリーズよりカジュアルなバランスながら、INFERNOに挑戦する場合はシリーズ経験者でもじっくりと遊び込めそうだ。
“ニチアサ”版「地球防衛軍」
なおシリーズファンである筆者にとって『デジボク地球防衛軍2』のイチオシポイントは、作品を通して“ニチアサ”風の雰囲気を感じられる点だ。「地球防衛軍」シリーズはどの作品もおおむね、地球外生命体と地球防衛軍(EDF)が人類の存亡をかけて戦うというシリアスな内容。B級テイストな演出やシュールな笑いはありつつも、当人たちはいたって真剣なストーリーが展開されてきた。
一方『デジボク地球防衛軍2』はどうかというと、打って変わって明るさに満ちたテイストになっている。本作では新人隊員ミナトススムが、仲間と協力して地球をバラバラにした強敵「ガイアーク」を倒して世界を救うといったストーリーが展開。ギャグ展開が多く、登場人物のセリフも豊富。なにやら小さい頃に見ていたアニメを思い出すような、童心をくすぐられる内容だ。本家シリーズがシリアスな特撮・SF・ミリタリーなら、本作は日曜の朝にやっているような少年少女向けアニメ、いわゆるニチアサのような安心感に満ちていると感じた。
ストーリーのみならず、音楽も色合いも、何もかもが明るくてエネルギッシュな本作。本作が外伝的な作品だからこそのはっちゃけ具合なのだろう。本家「地球防衛軍」シリーズにはまず出てこない要素もいろいろあり、ファンだから楽しめる部分もある。肩の力を抜いてワイワイ遊べる「地球防衛軍」として、ちょうどいい“味変”となることだろう。また個性の強い本家「地球防衛軍」に誘いにくいフレンドや家族、パートナーと遊んでみて、EDF隊員として育て上げるのもいいかもしれない。
『四角い地球に再びシカク現る!? デジボク地球防衛軍2』はPS5/PS4/Nintendo Switch向けに5月23日に発売予定。なおパッケージ版の初回封入特典およびダウンロード版の早期購入特典として地球防衛軍シリーズのトレイラーでおなじみの本田広報官が、さらに発売日前までに予約するとダウンロード版の予約特典として姫川広報官がプレイアブルキャラクターとして使用可能となる。このほか店舗特典なども用意されており、詳しくは公式サイトを確認されたい。