『NBA 2K24』開発者セッションをレポート。絶え間ない新要素の導入と既存モードの改良でNBAとともに変化するシリーズ最新作

2Kは9月8日、スポーツゲーム「NBA 2K」最新作、『NBA 2K24』を発売する。今回、開発を務めるVisual Conceptsからの説明では、多くの新たな試みや既存モードの改良について、ひとつひとつ丁寧に説明してくれた。質疑応答の内容を含め、紹介していく。

2Kは9月8日、スポーツゲーム「NBA 2K」最新作、『NBA 2K24』を発売する。対応プラットフォームは、PlayStation 4/PlayStation 5/Xbox Series One/Xbox X|S/Nintendo Switch/PC(Steam)。


「NBA 2K」シリーズとは、アメリカのプロバスケットボールリーグ、NBAおよびWNBA公認のバスケットボールゲーム。実在するNBA、WNBAのチーム、選手を使って実際のリーグさながらの試合を楽しむことができる。自由に試合を楽しめることが本作の軸となる部分だが、シリーズとして作品を重ねるごとに、新たなバスケの楽しみ方ができるモードの追加などを絶え間なく行ってきている。例えば、自作した選手を育成し、NBAのトップ選手へと駆け上がる「マイキャリア」や、チームのマネージャーやコミッショナーとなって経営を楽しむ「マイNBA」(PlayStation®5、Xbox Series X|S限定)など、NBA、WNBAの世界をとことん楽しませるようなさまざまなモードが現時点で存在。さらに、それが次の作品では、そういったモードの改良、進化を行い、新たな気持ちで楽しめるというのも「NBA 2K」シリーズの特徴のひとつだろう。

そして、今回発売される『NBA 2K24』PlayStation 5/Xbox X|S/版では、新テクノロジー「ProPLAY」(PlayStation®5、Xbox Series X|S限定)が導入される。ProPLAY(PlayStation®5、Xbox Series X|S限定)とは、実際のNBA上での試合をキャプチャし、ゲームに取り込む技術。これまで20年間にわたってモーションキャプチャーを着けた選手たちに得意な動きを再現してもらっていたが、この技術の導入により、実際の試合での選手ひとりひとりの細かな動きまで再現可能になる模様。先行して公開されたゲームプレイトレイラーでは、実際の試合とゲーム画面を比較。ケビン・デュラントの特徴的なジャンプシュートを比較した動画は、どちらが実際の試合かわからなくなるほどのクオリティだ。

https://youtu.be/OJS1BVniz5c

今回、開発を務めるVisual Conceptsからの説明では、多くの新たな試みや既存モードの改良について、ひとつひとつ丁寧に説明してくれた。また、開発者セッション後には質疑応答もあり、いくつか気になる質問に回答をくれたため、新モードの追加や、人気モードの改良などを質疑応答の内容を含め、紹介していく。

新モード「マンバモーメント™」でレイカーズ伝説を体感

まず、最初に紹介するのが新モード「マンバモーメント™」だ。このモードでは、ロサンゼルス・レイカーズの絶対的エースとして君臨した「ブラックマンバ」こと、コービー・ブライアントとなり、いくつかの名試合を追体験できる。

前作『NBA 2K23』では、「バスケットボールの神様」マイケル・ジョーダンを操作し、過去15試合のベストシーンを体感するモード「Jordanチャレンジ」が追加され好評を博した。この形式をなぞった「マンバモーメント™」では、レイカーズの第一線プレイヤーとして活躍した20年間から、象徴的な7つの名試合を抜粋。2001年から2010年におけるコービーの伝説を、レイカーズの名物選手たちと共に楽しめるようだ。

このモードにおけるコービーの動きは実際の試合を参考にするだけでなく、当時の細かな数値などを参考に、アニメーションの研究を行ったという。2020年、惜しくもこの世を去ってしまったコービーであるが、このモードで遊べば、さまざまな年代のコートで自由にバスケを楽しむコービーの姿が目に焼き付けられるはずだ。

女子プロリーグで生きる「THE W」はより幅広いキャリアを送れるように

WNBA(女子プロバスケットボールリーグ)の世界を体験する「THE W」(PlayStation®5、Xbox Series X|S限定)にも多くの新要素が加わり、より幅広いキャリアでリーグの頂点を目指せるようだ。『NBA 2K21』のモード追加以来、作品が出るたびに要素を追加していった「THE W」(PlayStation®5、Xbox Series X|S限定)だが、『NBA 2K24』では、NBAチームに入る前のキャリアから自身の進む道を決めることが可能だという。アメリカの大学で注目選手となり、ドラフト獲得を目指すか、海外で修行を積みチーム入りし、その実力をアメリカ中に轟かせるかはプレイヤー次第で自由に選ぶことができる模様。

また、プロとしてWNBA入りした後は、リーグ上の頂点を目指すことに奮闘することとなる。新要素として、配属されることとなったポジションにおける、WNBAのスター選手たちと自分の能力差を確認できるフィードバック機能が追加。ライバルたちとしのぎを削りあって最高を目指すまでの成長の物語を見届けることができるようだ。


名物モード「マイNBA」は40年間のNBAの歴史を感じられるものに

ゼネラルマネージャーとなってNBAチームを経営する「マイNBA」(PlayStation®5、Xbox Series X|S限定)は、プレイヤー側ではなく、経営側としてリーグを支配していく人気モードだ。前作『NBA 2K23』の「マイNBA」(PlayStation®5、Xbox Series X|S限定)では、新たな要素として現代を含めたさまざまな年代のNBAを背景としてリーグに参加する「時代」が導入。今作でも、NBA転換期と言われる80年代を背景とした「マジック vs バードの時代」や、マイケル・ジョーダンのまい進を見ることができる「ジョーダンの時代」など、前作からあった時代背景を楽しめる。

そして新たな時代として「キング・レブロン」の名で知られ、今も大活躍するスター選手、レブロン・ジェームズと所属チームであるマイアミ・ヒート熱狂の2010年代を背景とした「レブロンの時代」が追加される。これにより、80年代から2020年代の現在まで、長き時代にわたって変化するチームマネジメントを楽しめるようになった形だ。


また、長い歴史を取り扱ううえで、それぞれの時代背景を反映した要素が追加される。時代ごとに変化するルールの適応はもちろんのこと、プレイする時代においてアナウンサーやジャーナリスト、ファンの反応も変わっていく模様。また、時代によるメディアの変化も加えたようで、例えば80年代の「マジック vs バードの時代」では、試合情報やニュースなどは新聞記事を通して伝わってくる。しかし、90年代になるとWebページに変更されるなど、リーグ内外の世相の変化を感じられるものになるようだ。こういった時代反映のグラデーションが加わることで、40年にわたる長きNBAの歴史の中でどれだけチームを成長させられるかという楽しみも加わっていくだろう。


また、実際のNBAでは、2023-24シーズンから、2029-30シーズンまでの7年間分のチームと選手に適用される新たな労使協定、NBA団体交渉協約(CBA)が締結。『NBA 2K24』もそのCBAに準拠した経営システムとなる。新たなCBAの内容に関しては、主にチームが支払うことになる税金の変化や、チームと選手の契約におけるルールの変更など。こういった変更は、リアルなNBAチーム経営を楽しみたいというプレイヤーにはたまらない要素となるだろう。

一方、CBA等の細かな契約ルールを気にしたくないプレイヤーや、新規プレイヤーのため、細かなルールを撤廃しシンプルに遊べるモード「マイNBA」Liteも本作から追加される運びとなった。「マイNBA」Liteでは、契約に対する制約が減り、自由に選手のトレードや契約延長などができるようになる。チームの選手データを細かく見て、出場枠を決めるというのも経営の楽しさの1つだが、「マイNBA」Liteではそういった要素を減らし、制約のないドラフトとトレードで強豪チームを作る体験をより自由で柔軟に楽しむことができるようだ。なお、「マイNBA」Liteは、PlayStation 5/Xbox X|S/版のみのモードとなっている。


以上が、Visual Conceptsからの説明だった。本作の随一の変更点としては、「ProPLAY」(PlayStation®5、Xbox Series X|S限定)によるビジュアルとアニメーションの大胆な改革であるが、それ以外の各モードもNBAの世界をさらに楽しませるような施策が盛り込まれていた印象だ。

リアルかつ、ハイスピード。だけどもビギナー向け措置もあり

ただ、筆者として一番気になったのは、本作の試合中のプレイフィールだ。本作は「ProPLAY」(PlayStation®5、Xbox Series X|S限定)を導入したリアルな描写のほか、ゲームプレイにもいくつか改変を加えている模様。オフェンスとディフェンスの流れがスムーズに入れ替わるようになったほか、オフェンス部分はさらに直感的な動きができるようになるなど、全体的にゲームスピードが早めに設定されているような印象を受ける。前作から導入された、爆発的なスプリングができる「アドレナリンブースト」も本作で続投されるらしく、攻撃と防御が入れ替わるハイスピードな試合展開に初心者がついていけるのか、という疑問もあり、開発者スタッフに質問をした。

そうしたところ、もちろん初心者向けへの措置は行っているとの回答がされた。ドリブルは直感的になったことでさらに容易にプレイができるうえ、シュートのリリースに対しても「シュートタイミングの合図」という新要素により、リリースしたタイミングに応じて最適なアニメーションの合図が設定できるなど、初心者にとって親しみやすくなる施策を用意したようだ。また、過去作にあった「2Kアシストプレイ」を復活。これはボールを手に取ったとき、コートのどこに移動すれば最適な動きになるかを教えてくれるアシストシステム。こういった新要素の追加や、過去作にあった要素の復活により、初心者でも上級者でも同様に親しみやすいゲームプレイになるようだ。

そのほか、シリーズ初のクロスプレイ(PlayStation®5、Xbox Series X|S限定)実現などさまざまな新要素を盛り込んだ『NBA 2K24』は、PlayStation 4/PlayStation 5/Xbox Series One/Xbox X|S/Nintendo Switch/PC(Steam)にて9月8日発売予定だ。

Tamio Kimura
Tamio Kimura

エンタメ大好き系ゲーマー。COOPゲームが大好き、クライム系だったらなおよし。

記事本文: 187