『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』プレスイベント試遊感想。“投げ”の使いどころ変化&新システムで、ガードを巡る攻防が大きく変わる

 

基本プレイ無料RPG『グランブルーファンタジー』の派生作品にして、「格闘ゲーマーの大同窓会」と言われるほどの盛り上がりを見せた格闘ゲームタイトル『グランブルーファンタジー ヴァーサス』。その続編であるところの『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』(以下、GBVSR)の発売日が先日、格闘ゲームの祭典「EVO 2023」にて発表。PlayStation®4/PlayStation®5/PC(Steam)向けに、2023年11月30日に発売されることが告知された。

弊誌は本作の発売日発表に先駆けて、メディア向けプレスイベントに招待いただいた。本稿では、EVO会場でのβテストと同内容の試遊にて確認できた『GBVSR』の新要素などについて紹介する。なお本作は記事執筆時点で開発段階であり、本稿で紹介する内容は製品版では変更される可能性がある点については留意されたい。


大きく変化を遂げたゲームプレイ

『GBVSR』は前作に比べて多くのシステムが追加・進化している。対戦に関わる新システムについては、まずは弊誌のβテスト先行プレイレポートが一通り解説しているのでぜひこちらを参照してほしい(該当記事)。

試遊ではβテスト版同様に新キャラクターはジークフリートのみプレイ可能となっていたが、製品版では「アニラ」「ニーア」「グリームニル」の3人がさらに加わり、計4人の新規プレイアブルキャラクターが初期実装される予定。既存キャラを含め合計28人のキャラが登場する。また、ネット対戦はロールバックネットコードが実装。もともと前作はディレイ方式で開発されていたという。そのためゲームをまるまる作り直すレベルの大工事となったそうだが、特に海外からの熱い要望に応えて実現した形となる。また、今作からクロスプレイにも対応し、Steam版とPS版問わず対戦が可能となる。


実際の対戦内容において、ベータテストと試遊で特に際立ったのは「投げ」周りの読み合いの変化だ。『GBVSR』では投げ抜け猶予が非常に長く設定されている。1秒近くあるように感じられたので、ゲームに慣れてきたプレイヤー同士であればほぼ確実にエフェクトを見てから抜けられるだろう。投げ抜け成立後の距離も長めに設定されており、ガード崩しの手段としての投げは非常に弱い。というより、ほぼ機能しないと言えそうだ。多くの格闘ゲームにおいてガード崩しの読み合いは通常投げを中心に回っており、タイトルを跨いでも同じような攻防や状況、テクニックに多く遭遇する。しかし『GBVSR』ではこれらの読み合いがまるまる別のものに置き換わっているのだ。

投げがガード崩しとして機能しない『GBVSR』において、崩しの読み合いは新システム技である「レイジングストライク」が軸となっていると言えるだろう。レイジングストライクは奥義ゲージを25%消費する行動で、相手のガードの上から当ててものけぞり状態に出来るいわゆるガードクラッシュ技である。このレイジングストライクは、リーチこそ短いものの非常に発生が早く、見てから反応することはほぼ不可能。通常技からキャンセルで出すと暴れ潰しにもなるので、喰らわないよう対処する方法は基本的に相手のレイジングストライクを読み切っての避けあるいは無敵技になる。

レイジングストライクは、画面端だとそのままコンボに移行することが可能であり、中央でもさらに奥義ゲージを25%消費する追撃派生技の「レイジングチェイン」からコンボに繋げることが可能。コンボ補正は緩くはないがきつくもなく、どちらの場合もそれなりのダメージが稼げようになっている。そのためリターンが大きく、崩しとしてはかなり強力なものとなっている。


では防御側はリスクを承知で避けや無敵技を使うしかないのかというと、そうではない。ここで別の新システム技である「ブレイブカウンター」が重要となってくる。ブレイブカウンターは奥義ゲージ50%とブレイブリーポイントを1消費するものの、ガード硬直中でも使用可能で、当たった相手を大きく吹っ飛ばすいわゆるガードキャンセルと呼ばれる部類のシステム技だ。このブレイブカウンターは、ガード硬直中だけではなくガードクラッシュののけぞり状態でも使用可能となっている。つまり、レイジングストライクでガードを崩されたときでも追撃前に割り込むことが出来るのだ。ただし受付猶予は意外と短く、意識を向けていないと咄嗟に押すのは難しい絶妙な調整となっている。読み切って避けか無敵技を使うか、喰らってから奥義ゲージ50%とブレイブリーポイントを1払って仕切り直しするか。レイジングストライクへの対策は基本的にこの2つとなっている。

このように『GBVSR』においてガード崩しはレイジングストライクとそれに対するブレイブカウンターが軸となっていて、どちらも奥義ゲージ消費技であるがゆえにゲージ管理が非常に大切となってくる。前作においては、奥義ゲージは基本的に1ラウンドに1回奥義を発動するためのものであった。さらに前作でのガード崩しは投げがメインであり、今作『GBVSR』は前作とはまるで戦略性が異なるゲームとなっているのだ。投げを誘い出すことで最大リターンを得ることが出来たオーバーヘッドアタックが今作では削除されていることなどからも、これは明らかに意図されたゲームデザインであることが伺える。なお、通常投げは役に立たないのかというと決してそんなことはなく、発生が4フレームと非常に早く相手の技の硬直中に成立した場合投げ抜けが許されないことから、密着状態で打撃に勝つ選択肢としての側面が強くなっている。


進化を遂げたロビーと、フリーエディションの登場

ベータテストや試遊で確認できるのは対戦要素のみだったものの、本作では対戦以外の要素も大きく進化する。まずはオンラインロビーについて。前作のオンラインロビーはグランサイファーの甲板上のみであったが、『GBVSR』では島ひとつの広大なマップに進化。起伏に富んだマップをジャンプやグライダーといったアクションで駆け回れるほか、ストレス解消用のサンドバッグなども完備。目的なくうろうろしているだけでも楽しめるようになっている。


さらに目玉要素として「ぐらぶるレジェンドばとるっ!」が追加される。これはロビーアバターを操作して楽しめるパーティーゲームとなっていて、30人規模でおこなう障害物競走のような「ライジングダッシュ」や、玉入れのような「ヒヒイロカネパーティー」といったミニゲームをプレイすることが出来る。対戦の気晴らしやストリーマーのイベント、ユーザー大会のちょっとした余興などに使えるモードと言えるだろう。


ストーリーについては、新章も引き続きフルボイスで収録予定。『GBVSR』には前作までのストーリーも含まれており、今作からのプレイヤーでも問題なく物語を追うことができる。また、対戦内容に応じてキャラクターがプレイヤーを鼓舞してくれる「パートナー機能」が新搭載。孤独であるがゆえに心が荒みがちな格闘ゲームのオンライン対戦のストレスを緩和してくれるシステムとなっている。こちらもフルボイスでかなりのパターンが収録されているそうで、『グランブルーファンタジー』のキャラクターたちの魅力が存分に発揮されている。


ほかにも新たな試みとして本作には無料の「フリーエディション」が新登場する。フリーエディションでは先述の「ぐらぶるレジェンドばとるっ!」がフルで遊べるほか、一部機能制限はあるものの、4キャラクターを用いて製品版のプレイヤーとの対戦も可能となっている。無料のいわば「体験版」としては豪華の内容なので、知人友人に『ライジング』を勧める際や原作ファンを中心とした初心者の受け入れ口として最適なエディションだ。


対戦も、対戦以外も大きく進化を遂げた『GBVSR』。戦略性が大きく変わることで新規プレイヤーが参入しやすく、既存のプレイヤーも新鮮な戦いを楽しめるだろう。また幅広いプレイヤーが快適に遊び続けられる各種新要素にも注目したい。

グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』は、PlayStation®4/PlayStation®5/Steam向けに2023年11月30日にダウンロード専売で全世界同時発売予定。予約は本日より開始されており、PlayStation®4/PlayStation®5版には発売後4か月間は原作『グランブルーファンタジー』のゲーム内アイテムセットが貰えるコードが付属する。