爽快感フックアクション『ニュー・スーパーフックガール ウルトラチャレンジ!! 』プレイレポート【デジゲー博 2019】

デジゲー博2019に出展された爽快感フックアクション『ニュー・スーパーフックガール ウルトラチャレンジ!! 』プレイレポート。グラップリングフックを使ってステージを踏破する横スクロールアクションゲームだ。

ニュー・スーパーフックガール』というフリーゲームがある。マウス操作により360度自在に撃ち出せ、伸縮するグラップリングフックを使ってステージを踏破する横スクロールアクションゲームだ。ファンシーで可愛らしいデザインがまず目を引くが、可愛いのは見た目と、妹ピックちゃんの無線だけ。主人公のフックちゃんは、右腕の装置からフックを射出し、マウスカーソルの方向に向かって移動していくキャラクター。プレイヤーは彼女を操作し、迫りくるシャチ、空高く浮かぶ鉄骨、トゲの庭園や高速回転する歯車を抜け、最果てに待つ宇宙へ挑んでいく。

ステージにはさまざまな困難が待ち構えており、難易度が高い。マウス1本に集約されたシンプルだが癖のある操作と、慣性が強めに働くフックの挙動もあり、慣れないうちは苦戦することとなる。しかし、こまめに配置されたチェックポイントと、制限時間内なら何度でも再開できる現代的なシステムにより難所も突破しやすくなっている。最初は苦戦するフックも慣れればステージを縦横無尽に飛び回れるようになり、作り込まれたステージと相まって、いつまでも遊んでいたくなるような作品だ。

『ニュー・スーパーフックガール』のスクリーンショット

『ニュー・スーパーフックガール』を開発したのは、当時「Qpic」(九州大学物理研究部)に所属していた、ディレクター・クスト氏を始めとする数人のメンバーである。2016年2月に公開された後、フリーゲーム夢幻の「フリーゲーム大賞2016」で大賞、ユーザーが勝手にその年のベストフリーゲームを選ぶ「フリゲ2016」においても1位に輝くなど、高い評価を獲得。ユーザーからの支持も手伝ってか、2016年末には続編『ニュー・スーパーフックガール ウルトラチャレンジ!!』が発表され、2017年の公開を目指して開発がスタートした。

しかし、2017年末に行われた『ニュー・スーパーフックガール』本編の大型アップデート以降、次第に情報が発信されなくなっていき、2019年になっても続編が公開されることはなかった。公開の延期はもちろん、続報がなくなることは基本的に趣味で作られるフリーゲームや同人ゲームにおいて、珍しいことではない。開発者個人の環境の変化やモチベーションが作品に大きく影響するからだ。なので、インターネット上からフェードアウトしていった多くの作品と同じように、本作もネットの歴史となっていくのだろうと、筆者はそんな風に思っていた。

*『ニュー・スーパーフックガール ウルトラチャレンジ!! 』体験版より、「ルミナスリゾート」の正規ルートらしきところをなるべく通ったプレイ動画

そうした沈黙を破り、デジゲー博2019の会場に試遊展示されていたのが「STUDIO HOOKSHOT(スタジオフックショット)」の手掛ける『ニュー・スーパーフックガール ウルトラチャレンジ!! 』体験版だ。新ステージ「ルミナスリゾート」は、『ニュー・スーパーフックガール』本編クリア済みのプレイヤーを対象とし、任意のタイミングと方向に射出できる新ギミック「タル」が配置された本作の第1ステージ。簡単だが遠回りなルートと危険だが短いルートなど、自由度の高いステージ構成や殺意は相変わらずで、初見でのクリアこそ難しいものの(前作における「機械仕掛けの空中庭園」相当)、繰り返し遊べる内容となっていた。

体験版には、初プレイの方へ向けたチュートリアルや前作の第1ステージ「スノーマンストリート」も収録されていたが、試遊していた来場者は「ルミナスリゾート」を選ぶ熟練のプレイヤーばかりだったこと、筆者も含め多くのプレイヤーが途中でタイムアップとなっていたことは印象深い。

会場にて、同人サークル「STUDIO HOOKSHOT」の代表クスト氏にお話を伺ったところ、本作は学生として時間が使える2017年内を目標に開発が進められていたものの、多忙により結局開発が間に合わず、その後は就職に伴い九州から東京へ拠点を移したメンバーもいたため、開発の継続が困難になっていたという。しかし、今年に入って開発メンバーが東京へ集結したため、2019年9月にサークルの設立を発表。現在はゲーム会社で活躍するメンバーや、一部新しいメンバーも加え、Steamでのリリースを目指して開発が進められているそうだ。なお、クスト氏は2017年内に公開出来なかったことをかなり気にしているようで、リリース予定を伺うと2017年60月という回答が得られた。

『ニュー・スーパーフックガール ウルトラチャレンジ!! 』体験版のスクリーンショット

また、体験版ではピックちゃんとの無線会話が入っていなかったが、これは本作のストーリーがまだ決まっていないためであり、完成版には収録予定だという。基本的には微笑ましく、時に「お姉ちゃん、ダイエットしたほうがいいんじゃない?」などキレキレの煽りを繰り出してきた彼女のファンも安心できることだろう。そのほか、ひっそり開発が進められていた「裏スノーマンストリート」のような裏ステージがおまけ要素として実装される可能性があること。『ニュー・スーパーフックガール』本編におけるステージ3「ブレイブブルースカイ」ステージ4「機械仕掛けの空中庭園」間で難易度の隔たりがあるため、『ニュー・スーパーフックガール ウルトラチャレンジ!! 』において何らかの対応が行われる可能性があることも語られた。

再び開発がスタートしたばかりであるため、どのような形になるかはわからないが、『ニュー・スーパーフックガール』の続きが遊べる日はそう遠くなさそうだ。

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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