クリアの鍵は“おにぎりが握る”2Dアクション『わたしと(わたしの)ねこのしろ』プレイレポート【デジゲー博 2018】

デジゲー博 2018にて出展されていたPC用2Dアクションゲーム『わたしと(わたしの)ねこのしろ』。おにぎりを食べたり、おにぎりに乗ったり、おにぎりを吐き出したりと、むしゃむしゃ食べてステージを攻略していく高難度な1作となっている。『わたしと(わたしの)ねこのしろ』はDLsiteで販売中。

今月11月4日、秋葉原UDXにて開催された、同人・インディーゲームの祭典「デジゲー博 2018」。会場内ではさまざまな作品が制作者の熱い想いと共に軒を連ねていたが、その中でも特に筆者の琴線に触れたゲームを紹介していきたいと思う。

今回紹介するのは、かじのゆ氏が制作した2Dアクションゲーム『わたしと(わたしの)ねこのしろ』だ。対応プラットフォームはPCのみ。

本作はおにぎりを食べることで2種類の状態に変化する主人公「わたし」を操作して”ちょっとはごたえのある”7つのステージの先に配置された7つの「ねこの像」へと導いてあげる2Dジャンプアクションゲームだ。

操作キャラクターである「わたし」には先述したとおり”通常状態”とおにぎりを食べることで変化する”おにぎり”形態の2種類が存在する。

通常状態では基本的なXY軸の移動ができる他、相手をおにぎりに変換する「ショット」を撃つことができる。一方おにぎり形態ではプレイヤーの障害物になる”みんな”に触れても足場のように使用でき、GAME OVERにならなくなる他、ステージ中に置かれたおにぎりも足場として活用できる。

さらに空中で口に含んだおにぎりを咀嚼することで、通常状態に移行、2段ジャンプが可能になる。この2段ジャンプの使いどころが肝だ。

本作の難易度は至ってシビア。”みんな”に通常形態で触れたり、彼らが撃ってくる黄色い玉に振れるとGAME OVER、ステージのいたるところに配置されたトゲに振れてもGAME OVER

先程述べた形態変化を駆使して険しい道のりを進んでゆくのだが、ギミックやエネミーがところ狭しと配置されているのはもちろん、ステージひとつひとつのパズル性が高く、一度の失敗が致命的になってしまうことも多い。故に1つのステージで軽く50回以上はGAME OVERになってしまうこともザラである。

だが理不尽なほど高難易度というわけでもない。確かにステージの内容そのものは密度が高く難しいが、ゴールである「ねこの像」までの距離はかなり短めに設計されているほか、リトライするまでの時間もまた短いため、テンポよく遊ぶことができる。

また、制作者いわく「長く遊んでもらうため」チュートリアル明け2番目のステージが一番難しくデザインされているので、そこさえ難なくクリアできるようになれば後になって詰まるようなことは無いだろう。

レベルデザインに関しては他作品のオマージュを取り入れている部分もあるそうで、例えばステージ4は名作『Downwell』のオマージュがなされた”落下する”ステージである。もしかしたらこれは…とかつてプレイした作品を振り返りながら遊んでみるのも楽しいかもしれない。

ちなみに本作はやりこみ要素としてマルチエンディングを採用しており、トゥルーエンド到達までのヒントが作者Twitterより明かされている。ネタバレになるので本記事では直接掲載はしないが、気になる方はチェックして欲しい。

荒いドットにシンプルで不思議な形をしたキャラクターたち、BGMもなく真っ暗な世界、チュートリアル含めてわずか8ステージというボリューム。制作者が言うには「これが自分の技術力の限界」だそうだ。確かに一見拙さを感じてしまうかもしれない。だが、おにぎりを用いた形態変化のシステムとパズル性が高くなおかつボリュームが絶妙なステージの出来栄えは素晴らしいの一言であり、1ステージクリアまでの時間の短さとマルチエンディングによってリプレイ性も高い。ビジュアルからゲーム性までとことん尖り限界まで練られたその作風は、まさにインディーズゲームらしい作品だといえる。

『わたしと(わたしの)ねこのしろ』は既にDLsiteより税込108円で販売中。現実でおにぎりを買うより手頃な価格なので、2Dアクションが好きなゲーマーにはぜひ遊んでもらいたい1作だ。今後は高難易度版の実装も視野に入れているらしく、本作に関する情報は作者かじのゆ氏のTwitterより確認して欲しい。

Takayuki Sawahata
Takayuki Sawahata

娯楽としてだけではなく文化としてのゲームを知り、広めていきたい。ジャンル問わず死にゲー、マゾゲー大好き。

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