スコアラーたちによるスーパープレイの宴 「わっしょい!闘会議2017Edition」イベントレポート

2017年2月11日~12日まで幕張メッセで開催されたゲームの大会や実況イベント「闘会議2017」。数あるエリアの中から当記事では、2月11日にアーケードゲームエリアにて行われた「わっしょい!闘会議2017Edition」のイベントレポートを掲載する。

2017年2月11日~12日まで幕張メッセで開催されたゲームの大会や実況イベント「闘会議2017」。数あるエリアの中から当記事では、2月11日にアーケードゲームエリアにて行われた「わっしょい!闘会議2017Edition」のイベントレポートを掲載する。今回はシューティングゲームから『怒首領蜂(どどんぱち)大復活 ブラックレーベル』と、パズルゲームからは『テトリス・ザ・グランドマスター3  -Terror Instinct-(以下:TGM3)』が選出された。

「わっしょい!」とは「シューティングゲームの超絶プレイをみんなで見ながら楽しくお酒を飲もう」という趣旨のもと、お台場の「東京カルチャーカルチャー(※現在は渋谷に移転)」やフランスのゲームイベント「STUN FEST(スタンフェスト)」などで開催されてきたが、2015年の「闘会議」第一回目開催からはアーケードゲームエリアの恒例イベントとして名を連ねている。

 

「なぜ当たらない?!」。弾幕を掻い潜りながら貪欲にスコアを稼ぐ!

『怒首領蜂大復活 ブラックレーベル』はケイブを代表するシューティングゲームのシリーズ作のひとつで、2008年に発売された『怒首領蜂大復活』のバージョンアップ版となっている。特筆すべき変更点は、二周目エンドだったクリアシステムが一周目のみになったことと、敵の攻撃も激しくなる反面、自機の攻撃力とスコア上昇に直結する「烈怒(れっど)システム」の導入が挙げられる。同社の「~ブラックレーベル」シリーズは、オリジナル作品の改良とともにまったくの別ゲームへと変貌を遂げるものがあるが、今作はBGMのアレンジも相まって、まさしく「別作品」といえる仕上がりだ。

機体と攻撃タイプがそれぞれ3種類あるうち、A機体・ストロングスタイル(オリジナルの二周目相当の難易度からスタート)のスコア全国一位保持者「しめじ氏」による解説のもと、C機体・ストロングスタイルを選択したchrono氏のプレイがスタート。1兆点を目標とする稼ぎプレイとのことで「まるで国家予算ですね」というコメントや、ステージ3道中では893億点だったことから「あと9千億点以上稼がないといけないですね」といった解説で会場の笑いを誘っていた。

本作のスコア稼ぎにおける要点は画面上にある「コンボゲージ」を途絶えさせずに敵を倒し続けることでHIT数をどんどん上昇させるのがキモとなっている。ザコ敵を撃破したHIT数による累計素点をもとに、中盤から後半にかけて一気に稼ぐという方針はブレることなく、特にステージ3ではボスが撃ち出すレーザーに自機のレーザーを干渉させてHIT数を稼ぐというプレイスタイルも披露され、会場と配信コメントをにぎわせていた。

一見すると避けられないような敵の弾幕だが、しめじ氏の解説いわく「ランダム要素はないため、避けられるパターンを構築して毎回同じように動けば大丈夫」だというが……
2面のボス戦は攻撃が厳しすぎるため、敵弾発射口の根元に自機を入れることで「安全地帯」になるというパターンに対して「まるで自分が攻撃しているようだ」というコメントも

chrono氏は「いかに安定させるプレイをするか」ということを普段から意識しているが、『怒首領蜂大復活 ブラックレーベル』は(自身のプレイを)スコアに繋げるには運が絡むことから、苦心せざるを得ないというプレッシャーが常にかかっている。ステージ4面では「序盤でHIT数を7000まで稼げるかどうか」でスコアが200億点も異なってくるというが、chrono氏は見事に達成。ここまでノーミスで進行してきたが、中盤に現れる中ボス「ライコウ」で痛恨の被弾。しかしこれはchrono氏のミスではなく、中ボスが発するレーザーが斜めが貫通する場合が稀にあるというもので、まさに運が絡む要素であることが伝わっていた。

また、本作にはショット・レーザーといった通常攻撃と緊急回避のボム以外に、自機の攻撃がさらに強化される第三の攻撃手段「ハイパー」が設けられており、HIT数と同じくザコ敵の撃破をすることでゲージを溜めて発動できるのだが、自機のショットを敵弾に当てることで相殺が可能となる。しかしこれはただ単に敵弾を消せるだけではなく、その敵弾をスコアに変換することが可能なため「いかにハイパーを効率よく溜めて撃てるか」が稼ぎにおける大きなファクターを占めている。

5面の中盤には数多くのプレイヤーとスコアラーを泣かせてきた破壊不能の「ビット」地帯をchrono氏はミスせずに進行。

プレイを終えたchrono氏からは「努力しても神は報わせてくれない」とコメントしながらも、4面で被弾したのはこれまでのプレイでも二度目だと話し、逆に珍しいプレイを見せることができたのではないかと述べていた。

 

見るものを圧巻とさせる瞬時の判断とレバーさばき

続いての『TGM3』は(株)アリカから発売された『テトリス・ザ・グランドマスター』シリーズの3作目。テトリミノ(ブロック)の落下数を「レベル」で表記し、各難易度によって定められた規定レベル数までに達するのが目的となっている。今回はメインモードと呼ばれる「MASTER」をKAN氏が、超上級者モードの「SHIRASE」をZAB氏がそれぞれ担当。両モードとも一定時間内に規定レベルを達していなければ強制的にゲームオーバーとなってしまうが、今回はクリアとなる999レベルを超えるまでにKAN氏は5分切り、ZAB氏は4分10秒台を目標としていた。

先陣を切ったKAN氏はテトリミノを早く落とすため常にレバーを下に入力し、序盤から攻めのプレイを見せており、「僕が知ってるテトリスと違いますね」という実況とともに、会場と配信コメントもにわかにザワつきはじめていたが、レベル400に達するとテトリミノの出現・落下スピードも上昇。まるで対戦格闘ゲームの必殺技コマンドを入力するかのごとく、小刻みなレバーさばきとボタン入力に圧巻とさせられていた。

続いてZAB氏が「SHIRASE」モードを披露。レベル500に到達するとフィールドの最下段を模したテトリミノが一定時間で一列ずつせり上がってくるモードに入り、さらに追い打ちをかけるかのごとくテトリミノの落下スピードが上昇。プレイヤーは瞬時の判断を求められるという非常にシビアな状況に身を置かれることになるが、ZAB氏は筐体を揺らすほどの力強いレバー入力でそのひとつひとつを淡々とこなし、8回に及ぶ再挑戦の結果、4分28秒でのクリアとなった。

 

プレイを振り返り、KAN氏からは「1回目は寝てました(笑)。最初はエンジンがかからないので、やるたびに暑くなってきました」と、ZAB氏からは「序盤でクリアできた安心感で途中のペースが乱れてしまって悪い波が来てしまったのですが、最後の最後で決められて良かったです」とそれぞれ自己評価を踏まえたコメントを残していた。

・アーケードゲームだからこその熱量と魅力を持ったスーパープレイ

イベントの総括として最後に「ゲームinえびせん」のえび店長から「ゲームセンターが減っている昨今ですが、好きなゲームをいまでも追求してプレイしてる人はいっぱいいます。今回の『わっしょい!』を見て何か感じてくれた人がいらっしゃれば、またゲームセンターに足を運んで『懐かしい』とか『好きだったな』と思い出していただきたいです。できればまた来年もやりたいと思っていますので、よろしくお願いいたします」と述べた。

家庭用ゲームの対人戦やチームでの大会も同時に行われている「闘会議」の中で「わっしょい!」が存在感を発揮できているのは、おそらく「アーケードのビデオゲームは難しい」と、根付いてしまったイメージによる影響もあるだろう。だがこのイベントの目的は「人対人」の大会ではなく、CPUとプログラムを相手にしたアーケードゲームだ。1プレイ100(50)円というクレジットと膨大な時間を積み重ね、その結果がスーパープレイとして実ったからこその、アーケードゲーマー以外の観客たちをも魅了する力や情熱が詰め込まれているのだろう。

わっしょい!闘会議2017Edition ニコ生配信ページ
http://live.nicovideo.jp/watch/lv288741778

Game in えびせん
http://www.ebi-cen.com/

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Tetris(R); (C)Elorg 1987 Tetris The Grand Master 3TM; (C)Elorg 2005 Tetris Logo by Roger Dean;
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Takuya Kudo
Takuya Kudo

1989年生まれ。UNDERSELL ltd.所属。ビデオゲームとピンボールをこよなく愛するゲームライター。新旧問わない温故知新のゲーム精神をモットーに、時代によって変化していくゲームセンターの「いま」を見つめています。

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