オープンワールドACT『Faye/Sleepwalker』は戦闘特化。『バディミッション BOND』は結構エグい。京都生まれの新作『Olija』は丁寧。今週のゲーミング
Now Gamingは毎週日曜日、各ライターがその週にプレイしたゲームについて、ゆるく書きちらすコーナーです。271回目です。今年もあと11か月です。
どこか懐かしさも感じる
今週は『Olija』を少しプレイ。京都のSkeleton Crew Studioが手がけた2Dアクションゲームです。海で遭難した主人公が、流れ着いた先の奇妙な世界を冒険し、仲間を救出して国に帰ることを目指す。解像度低めのドット絵グラフィックで描かれる、アジアをベースにさまざまな文化が混じりあったような独特の世界観が魅力的で、そこに現れる超自然的な存在が異世界感を際立てています。
メイン武器となる銛は、投擲し敵などに刺すと、その場所に主人公が瞬間移動できることが特徴。探索では、これを駆使したパズル要素のあるアクションがあり、もちろんバトルでも活用する。ほかの武器とも組み合わせて、上手く立ち回りコンボで敵を倒していく爽快感はなかなかのもの。入力によって技が派生する点も芸が細かい。正直、トレイラーではどのような作品なのかピンとこない面もあったのですが、シンプルながら丁寧に作り込まれている印象です。
by. Taijiro Yamanaka
ハートくん、左下で真顔
『MAD RAT DEAD』がめちゃくちゃムズいです。音楽ゲームといえば、自分と戦う修練の道。予期せぬタイミングで降りしきるノードに何度も向き合い、理不尽な配置やテンポの緩急を身体で覚えることが課されます。対して、死にゲーもまた己との戦い。はじめは不条理に思える敵やトラップの動きにも、諦めず挑戦することで、だんだん最適解となる動きに自分をすり寄せていく過程が楽しいのです。そんなふたつの快感原理を組み合わせたのが本作。リズムに合わせてジャンプやダッシュを入力するアクションゲームです。ちょっと古い例えですが、『パタポン』のコマンド入力を1拍ずつこなすイメージ。
ではふたつの食い合わせはいかに? というと、なかなか手厳しいものでした。最大の難所、それはミスするたびに音楽が止まること! 何度も楽曲を止めては直前に戻る。このシビアさが自分にはプレッシャーでした。初見で全部プレイできるくらい反射神経がよければかなり爽快なはず。アニメーションやエフェクトが最高レベルに気持ちいいので、なんとか克服したいところですが……鬼難です。
by. Yuki Kurosawa
戦闘特化
『Faye/Sleepwalker』を遊んでいました。本作は記憶のない少女フェイを操作する、オープンワールドなアクションゲーム。主人公のフェイには、ワープ攻撃や長めの無敵時間、大体の行動がキャンセルできるダッシュなど強力な性能が備わっており、強いキャラクターを操作するアクションが特徴になっています。一方、オープンなフィールド上には複数の街やNPCなんかもいたりしますが、かなり割り切った作りになっているので、探索要素などはほとんど無いようなものです。ほかにも、ちょっと怪しい箇所に突っ込むとそこそこ壁にめり込めたり、カジュアルに空中浮遊が出来たり、粗い部分も多めになっています。少数チームでオープンワールドを作る以上、仕方のない部分も多いのでしょう。
ただし、おそらく本作の中核であるボス戦だけは別です。フィールド上での戦闘や移動中はスペックを持て余し、おかしな挙動をしがちなフェイですが、ボスにはそれぞれ個別のパターンと高めの攻撃力が設定されているので、緊張感のある戦闘に。ゲーム全体としては短いものの、ワープと無敵で敵の攻撃を無効化しつつ、攻撃の隙をついて攻撃を叩き込むテンポの早いバトルは心地よいものでした。リリース当初は、演出の関係で戦闘もちょっとテンポが悪くなっていましたが、アップデートで改善された経緯があるので、今後もう少しいいゲームになる可能性もあるかもしれません。
by. Keiichi Yokoyama
媚びてなくていい
新作『バディミッション BOND』をプレイしています。「ネオロマンス」シリーズのルビーパーティーが開発している本作。女性層も視野に入れているかと思われますが、かといってそちらに寄りすぎているわけでもなく。ビジュアルリッチ、テキストはクセ抑えめながら個性をしっかり表現。読みっぱなしにならないようにプレイヤーが介入する要素を頻繁にはさみつつ、同じことの繰り返しにしないサイクルも導入。熟練の開発元が手がける、全年齢向けに丁寧に作られた豪華なアドベンチャーゲームという印象です。演出が派手な以上テンポはちょいゆっくりめですが、スキップは万能。遊びやすさ重視なのに、選択肢フェイズでセーブ・ロードを禁止にする仕様はちと疑問ですが、攻略パターンなども多彩で、「安心して遊べるアドベンチャーゲーム」という感じです。敵キャラをしっかりゲスにしたり、エグいところはエグくしているので、シナリオに没入しやすいところもいいですよね。
ところ本作は体験版をプレイした結果購入したんたんですが、体験版の効果は海外でも研究されているようで。Steamでは、コンテンツ量はほどよく短く内容が尖った期間限定体験版がいいとの報告もあり。体験版とはいってもジャンルによってアプローチはピンキリなのですが、『バディミッション BOND』の体験版の効果は大きそう。よくわからないゲームは、やっぱり買う前に試したいですよね。
by. Ayuo Kawase