『ゼンレスゾーンゼロ』主人公の書いたプログラムコードが「すごくちゃんとしてる」と評判。でもフォントは奇妙
HoYoverseが手がけるファンタジーアクションRPG『ゼンレスゾーンゼロ』の、とある描写の作り込みがSNS上で話題となっている。作中で映る、本作主人公らが手がけたプログラムコードが「しっかりしている」として注目されているのだ。また、本作の世界観にまつわるヒントもひっそり盛り込まれているようだ。
『ゼンレスゾーンゼロ』はHoYoverseが手がける、基本プレイ無料のアクションRPG。舞台は万物を飲み込み、内側に怪物が跋扈する異常な球状空間「ホロウ」が出現した世界だ。本作の主人公である兄妹のアキラとリンは、表向きにはビデオ屋を営んでいる。しかしその実ホロウ内部の案内人であるプロキシの「パエトーン」として、伝説扱いされるほどの活躍を見せている。
本作でプレイヤーはアキラもしくはリンとして、ホロウ内外での連携を可能とする「ホロウ・ディープ・ダイブ(H.D.D.)」システムを駆使。ホロウ内に潜り込んだAIメカ「ボンプ」を操って、ホロウに切り込むエージェントたちを導いて、探索を進めていくのだ。本作は7月4日に配信開始され、6日にはグローバルダウンロード数5000万達成が報告されるなど、盛況となっている。
XなどのSNS上でも『ゼンレスゾーンゼロ』がさまざま話題となる中、とあるディテールに目をつけた投稿に注目が寄せられている。そのディティールとは、主人公たちが利用するコンピューターのディスプレイに映し出された、プログラムコードだ。紹介したのは、鈴木遼氏。同氏はプログラミング言語・C++のフレームワーク「Siv 3D」などを開発する傍ら、早稲田大学・駒沢大学・上智大学でのプログラミング講義を担当。また、プログラミング教室Testaを運営し、C++を含む指導をおこなっている人物だ。
鈴木氏は7月4日、『ゼンレスゾーンゼロ』ゲーム内のプログラムコードをスクリーンショットで紹介し、反響を呼んだ。同氏によれば、映し出されたコードはC++によって記述されていると見られ、キーワード「override」を使っている点から、少なくともC++11以降で記述されているだろうと分析している。この投稿は、本稿執筆時点で約340件のシェア数を集め、開発者やプログラマーなどから「本物っぽい」といった旨の反応も寄せられている。
実際にコードを確認してみると、たしかに本格的な内容に見える。このコードは、主人公が前述のホロウ・ディープ・ダイブシステム(H.D.D.)を起動する際に表示されていた。コード内にはコピーライト表記がしっかりなされており、そこに「Hollow Deep Dive System」と記述されている点からも、H.D.D.のプログラムコードと見て間違いなさそうだ。
また、作者には「BW」とあり、こちらは主人公リンとアキラの英名、BelleとWiseを示すと見てよさそうだ。ふたりによって、H.D.D.は開発・保守されているのだろう。記述の内容としても、 ボンプの制御・通信に関わりそうな部分が見られるなど、「いかにもH.D.D.のプログラムコードっぽい」内容にきちんと仕上がっているわけだ。
ほかの「それっぽい」ポイントとしては、専門的な言葉で記述するならば、ネームスペースやクラスの宣言の仕方や#ifndefと#defineを使ったインクルードガードなどさまざま見られる。とにかく、随所が実際に動くプログラムコードっぽいわけだ。きちんと規則に沿って書かれている印象もあり、その几帳面さを面白がるユーザーもいるようだ。一方では「フォントが見づらそう」との意見も散見される。たしかに、がっつり太いゴシック体は、コーディングに利用するにはあまりにも豪快すぎる印象だ。ただ、当人たちにとってはこれが見やすいのかもしれない。
そして、さらりと流れたコードの中には、本作の世界観にまつわる情報も含まれていた。同プログラムの開発を主導した組織として、「ヘーリオス研究所(Helios Research Institute)」の名が見られるのだ。ヘーリオス研究所は、先日公開された世界観紹介PVでも名前が出ている機関で、アーチ教授なる人物によって創設されたという。アーチ教授はホロウのさまざまな特性を解き明かし、ホロウの中に消えたそうだ。
また、主人公たちの異名の元となるパエトーンは、ギリシア神話において太陽神ヘーリオスの子であるともされる。画面に流れるプログラムコードというちょっとした要素に、キャラの背景を示唆し、世界観を補強する記述が含まれているわけだ。本作をプレイしている方は、こまかな部分にも注目してみるとよいかもしれない。
『ゼンレスゾーンゼロ』はPC(HoYoPlay/Epic Gamesストア)/PS5/Android/iOS向けに基本プレイ無料で配信中だ。