『ゼノブレイドクロス』、なぜかマイクロソフトに「PCゲーム向け機能に対応した作品」として紹介される。どうして

任天堂タイトルであるはずの『ゼノブレイドクロス』が、なぜかPC向けタイトルとしてマイクロソフトに紹介されているようだ。

マイクロソフトは5月29日、Windows 11向けのゲーム用拡張機能「Microsoft Edge Game Assist」をすべてのユーザーに提供開始した。Windowsにおけるゲームプレイをより快適にすると謳われる機能であるが、これに対応したゲームとしてなぜか任天堂タイトルである『ゼノブレイドクロス』の名前が挙げられている。海外メディアNintendo Lifeなどが報じている。

Microsoft Edge Game Assist(以下、Game Assist)は、「Win+Gキー」で起動する「Xbox Game Bar」上のウィジェットとして実装されているブラウザ機能だ。昨年11月にプレビュー版の機能としてリリースされ、5月29日に全ユーザー向けに正式リリースされた。ゲーム画面を背景にMicrosoft Edgeのウィンドウを立ち上げることができ、プレイ中にすぐ調べものをしたりチャットを開いたりといった体験が可能になるという代物だ。

そんなGame Assistについて、マイクロソフトの公式サイトに掲載されたとある記述が話題となっている。「Enhanced games for Microsoft Edge Game Assist(Game Assist用に強化されたゲーム)」というタイトルのこのサポートページでは、Game Assistに対応済みのゲームがずらりと紹介されている。これらの対応ゲームでは、Game Assistの新しいタブを開いた際、その作品に関する便利な情報がハイライト表示されるという。筆者もいくつかの対応タイトルでこの機能を試してみたところ、攻略記事やアップデート情報、プレイ動画などがおすすめ表示された。

しかし、注目すべきはリストの最下部。同機能に対応しているというゲームのラインナップの中に『Xenoblade Chronicles X(ゼノブレイドクロス)』が存在しているのだ。ちなみに日本語版のページでは一部タイトルの翻訳におかしな点が見られるものの、『ゼノブレイドクロス』の文字は見当たらない。

『ゼノブレイドクロス』はモノリスソフトが手がけ、任天堂が2015年に発売したWii U向けRPGゲーム。今年3月には待望のリマスター版『ゼノブレイドクロス ディフィニティブエディション』がNintendo Switch向けに発売された。もちろんPC向けに同作は発売されておらず、PCゲーム向けの機能であるはずのGame Assistに対応しているというのはおかしい。またモノリスソフトは任天堂の子会社であるため、今のところ任天堂プラットフォーム以外で『ゼノブレイド』シリーズ作品がリリースされるといった情報はおろか、移植の噂すらない。

このサポートページは、Game Assistの機能について紹介するマイクロソフトの記事からもリンクが張られており、ページ内のリストは正真正銘公式のものだ。この不可解な記述に関して、海外掲示板RedditではAIによって作成された記事なのではないかという疑念が生じている。あるユーザーは、大規模言語モデルがテキストを生成する過程で、アルファベット順に列挙されているリストに「X」で始まるデータを挿入しようとして、『Xenoblade Chronicles X』を勝手に含めるハルシネーション(AIによるでたらめ生成)が起きてしまったのだろうと推察している。というのも、タイトルの頭文字が「X」となる作品はなかなか珍しく、誤って『Xenoblade Chronicles X』が出力されるというのは可能性の一つとしてありそうな話だ。

一方で、『ゼノブレイドクロス』が本当にPC向けに発売される計画があるのではと期待する声もあるが、根拠に欠けており想像の域を出ない。しかし事実として、PC向けに同作は販売されておらず、現状では記事の内容は不正確と言える。記事が修正されるのか、あるいはこれに関連した“大きな発表”がおこなわれるのかは注目されるところだ。来たる6月7日からは任天堂とマイクロソフトが参加する「Summer Game Fest 2025」も開催される(関連記事)。今後のマイクロソフトの対応を待ちたい。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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