「女性ゲーマーの約65%が、男性ゲーマーからの嫌がらせ経験あり」との調査報告。セクハラ・強姦脅迫が横行し、オンラインプレイできなくなる人も多数

Image Credit: Sebastian Pandelache on Unsplash

調査会社Bryterによれば、約1000人の女性ゲーマーのうちおよそ2/3が、オンライン上で男性からの嫌がらせを受けたことがあるとのこと。ほか、女性ゲーマーに対する脅迫や苛烈なハラスメントの内容についても報告がなされている。英メディアSky Newsが紹介している。

今回Sky Newsが紹介したのは、欧米を中心とした市場調査・コンサルティングを手がけるBryterによる報告だ。同社が公開した調査報告書「Women Gamers Report 2023」では、英国/米国の約1000名の女性(および適任とされた女性以外のジェンダー)のユーザーを対象にアンケートを実施。女性ゲーマーを取り巻く有害(Toxic)な環境の一側面が明らかにされている。

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報告書によれば、近年女性ゲーマー人口は増加傾向にあるとのこと。今や、世界のゲーマー人口のおよそ半数が女性であると推計できるそうだ。一方で、「女性ゲーマーは“ライト”なゲームや、モバイルゲームしか遊ばない」といった誤解が未だになされているとのこと。

しかしながら、調査対象のうち90%がNintendo SwitchやPS5/Xbox Oneといったコンソールでゲームを遊んでいるという。さらに45%の調査対象ユーザーは、PCでもゲームを遊んでいるとのこと。87%との高い割合で、モバイル端末でもゲームを遊んでいるそうだ。

また、遊ばれているゲームのジャンルとしては「アクションアドベンチャー」「ライフシム」「シューター」「バトロワ」などが上位にあがっている。そして74%の調査対象が、オンラインマルチプレイヤーゲームを少なくとも毎週遊ぶとのこと。「ゲームは主に男性が遊ぶもの」といった認識が、少なくとも欧米においては誤りであることがわかる結果となっている。

Image Credit: Women Gamers Report 2023 Bryter/Jenny McBean


一方で、そうした女性ゲーマーに対する嫌がらせも多い様子である。65%の調査対象が、「男性からゲーム内などで有害あるいは脅迫的な接触を受けたことがある」と答えたとのこと。そのうち実に81%が16~24歳の若年ゲーマーだそうだ。

また、スポーツやシューター、ストラテジージャンルの作品での嫌がらせの経験が特に多く、調査対象のおよそ1/4が「嫌がらせを恐れて、特定ジャンルのゲームをプレイするのを避けている」と回答している。次の段落より、具体的な嫌がらせ内容の証言を掲載する。フラッシュバックなどを誘発する可能性があるため、注意してほしい。

Image Credit: Women Gamers Report 2023 Bryter/Jenny McBean


調査対象が男性ゲーマーから受けた、具体的な嫌がらせの内容についても報告されている。たとえば「キッチンに戻れ」「もう二度と男に逆らうな」といった性差別的な暴言のほか、性的な内容の言葉を投げかけられてゲーム自体のプレイをやめてしまったユーザーもいるという。ほかにも、写真を要求されたり、性的な野次や冷やかし、いわゆるキャットコーリング(Catcalling)を受けたとする声もある。

そして実に12%の回答者が、強姦を含む強迫行為を経験しているという。たとえば、ゲーム内で「身元を突き止めて犯して殺してやる」と言われ、数年にわたりそのタイトルをプレイすることをやめたとの証言もある。調査対象のなかで、そうした有害な接触を受けたプレイヤーの24%がゲーム自体をやめてしまうと回答したそうだ。そうした嫌がらせ行為は、当然ながらプレイヤーベースの減少にも繋がるわけだろう。

ほか、調査対象のうち28%は、オンラインマルチをもっと遊びたいものの、有害な接触を恐れて回避してしまうと回答。また、「アイデンティティを隠す(33%)」、「男性のネガティブなリアクションを恐れて発声を避ける(35%)」など、嫌がらせ対策として不自由を強いられている者も多いようだ。

Image Credit: Women Gamers Report 2023 Bryter/Jenny McBean


一方で、そうした嫌がらせ自体は減少傾向にはあるようだ。Bryterによる2022年の調査結果では、調査対象のうち男性による嫌がらせを受けたことがあると回答したのは72%。2023年の報告では65%とされており、少しずつ環境が向上しているとも読み取れる。今後、誰もが嫌がらせや脅迫に怯えることなくゲームをプレイできる環境が整備されていくことを祈りたい。