Wii U専用『ZombiU』のPS4/Xbox One/PC版『ZOMBI』8月18日発売決定、開発者が語る“緊張感の移植”

Ubisoftは、『ZombiU』のPlayStation 4/Xbox One/Windows移植版『ZOMBI』を8月18日に発売すると、公式ブログUbiBlogで発表した。Wii Uに特化したゲームデザインが織りなす独自の緊張感を、いかにして他のプラットフォームで再現したのか。

2012年にタッチパッドをフル活用したタイトルとしてWii U専用に発売されたサバイバルホラーゲーム『ZombiU』。販売元Ubisoftは、同作のPlayStation 4/Xbox One/Windows移植版『ZOMBI』を8月18日に発売すると、公式ブログUbiBlogで発表した。日本での発売も決定している。Wii Uに特化したゲームデザインが織りなす独自の緊張感を、いかにして他のプラットフォームで再現したのか。開発者が“緊張感の移植”にかけた挑戦を語っている。

『ZombiU』はランダムに選ばれた生存者を操作して、ゾンビであふれかえるロンドンからの脱出を目指す一人称視点のサバイバルホラータイトル。タッチパネル機能を備えたWii Uゲームパッドを最大限に生かしたゲームデザインが特徴で、所持アイテムの整理や施錠されたドアの解錠など、操作キャラクターが手元に集中する作業は全てプレイヤーの手元で行わなければならない。その間もゲーム内の時間は進行しており、いつゾンビが襲い掛かってくるか分からないという緊張感と、視界を制限される閉塞感が極限状態の恐怖を演出している。

また、キャラクターの体力や装備武器の残弾、現在地を確認するミニマップといった、本来HUDとして表示される情報も全てゲームパッド画面内に限られる。不便さが生むリアリティーを限りなく追求しているのだ。このような2画面を活用したWii U独自の演出技法に、他のプラッフォームでどうアプローチしたのかについて、本作のプロデューサーを務めるHélène Henry氏が緊迫感を再現する上での挑戦を語っている。「原作における緊張感を維持することが主な課題の1つになることは最初から分かっていました」。

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同氏によると、Wii U版ではゲームパッドに視線を下ろすことを強要していたミニマップはメイン画面に移動しつつも、HUDは可能な限り最小限にとどめているとのこと。「必要のない時は表示されなくすることで、ゲームに深い孤独感を残しています。サラウンド音響でプレイすればオリジナル版のイカした音響はそっくりそのまま、没入感を大いに高めてくれるでしょう。キモとなる要素はできるだけ多く維持することを試みました」と続けている。

しかし、『ZombiU』の醍醐味は2画面の同時使用による視界制限がおよぼす無防備な恐怖にある。全てのユーザーインターフェースを単一スクリーンに統合しなければならない移植版で、見えない恐怖から来る緊張感を残せるかどうかが最大の懸念だったと、Henry氏も述べている。

「プレイヤーは常に無防備であるというコンセプトはしっかり維持しています。バックパックの中身を引っかき回している時もゲームは一時停止なんてしません。インベントリへのアクセスには専用ボタンを追加しました。プレイヤーはそこから全ての所持品を確認できてショートカットキーに割り当てることも可能です」。さらに、これらの操作を行っている最中は、敵が視界の端である画面横から襲ってこない限り、接近を視認できないとのこと。

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このほか、「あとFOV(“Field of View”の略、一度に見える視界範囲の意)も若干向上させました。好みに応じて加減もできます。もちろん閉塞感を失わない程度にですけどね。それから、一人称視点における動作の見た目や操作感を改善するために、操作系の割り当てと反応もいくつかいじってありますね」と、隅々に細かな調整を施したことにも言及している。

さらに、原作ではクリケットバットのみだった近接武器に、複数のゾンビを一度になぎ払えるショベルと釘付きバットが追加されている。暗闇を照らすフラッシュライトの仕様も変更され、バッテリー消費量の増加やゾンビの気を惹きつけてしまうリスクと引き換えに、より広範囲かつ遠方まで照射できるようになった。バッテリーが切れるとリチャージまで30秒間ライトが使えなくなるため、プレイヤーはより慎重な行動と判断が求められる。こうしたシステムやコンテンツの仕様変更を通しても、単一画面になるハンデを補っているようだ。

『ZOMBI』に唯一移植されなかったのが、Wii Uゲームパットを使って対戦相手の行く手にゾンビの大群を配置できるマルチプレイヤーモードだ。Henry氏によると、わざわざタッチスクリーンなしで同モードを再構築するよりも、シングルプレイヤーモードに専念することを選んだとのこと。その理由は「それこそが『ZombiU』のキモを真に体現していると信じている」からだという。同氏は、本作を再現する中で最も重要なのは、見えない何かが迫り来る閉所恐怖症のような体験であると豪語している。

最後に、「大半はロード時間を速めたり操作系を微調整したりといった既存要素の技術的な改善です。実際、ほとんどの時間はオリジナルの雰囲気を保持するためにできるだけ直感的な操作系を目指したマッピング作業でした」と、開発秘話を締めくくった。『ZombiU』で世界のゾンビフェチをこの世の終わりに引きずり込んだ没入感が、果たしてどこまで再現されているのかに期待したい。今夏、ロンドンの街は再び死体の歩行者天国になる。

Ritsuko Kawai
Ritsuko Kawai

カナダ育ちの脳筋女子ゲーマー。塾講師、ホステス、ニュースサイト編集者を経て、現在はフリーライター。下ネタと社会問題に光を当てるのが仕事です。洋ゲーならジャンルを問わず何でもプレイしますが、ヒゲとマッチョが出てくる作品にくびったけ。Steamでカワイイ絵文字を集めるのにハマっています。趣味は葉巻とウォッカと映画鑑賞。ネコ好き。

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