『Overwatch』ゲームバランス崩壊のバグ技が複数報告される、ディレクターが語る直近の修正点とは

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Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)のチーム対戦型FPS『Overwatch』(オーバーウォッチ)に、ゲームの不具合を利用した複数のテクニックが報告されている。チート行為には該当しないが、ゲームバランスを著しく崩壊させるとして、フォーラムサイトには修正を求める声が多数寄せられた。一部については、すでに開発チームが反応を示しており、対応に乗り出している。先日には、ゲームディレクターが海外メディアのインタビューに答え、ランクマッチの再実装やキャラクターのバランス調整など、今月末に予定されている大型アップデートに向けた今後の方針について語っていた。

数ある不具合報告の中でも、海外フォーラムRedditに投稿された動画で話題になっているのが、ペイロードマップ「Dorado」のグリッチを利用した「シンメトラ」の「セントリー・タレット」(小型のタレットを設置して、射程内の敵に移動速度を低下させる光線を照射するスキル)。特定の建物に架けられた橋の下に仕掛けることによって、橋のテクスチャを貫通して渡る敵を攻撃してくれる。もちろん、相手からは一切見えていない状態だ。キルカメラを確認してみると、タレット側からは敵との間にオブジェクトが表示されていないことが分かる。特筆すべきは、このタレットが下から見上げてもほとんど視認できない場所に仕掛けられている点だ。キャラクターごとの対処法を紹介した動画もYouTubeに公開されているが、場合によっては手も足も出ない。この件については、Blizzard側が公式に回答。次回のパッチで修正すると説明している。

このほかにも、ゲームバランスの崩壊が問題視されているのが、「リーパー」の「シャドウ・ステップ」だ。ほぼ全てのマップで、オブジェクトの隙間をすり抜けることで“世界の裏側”へワープできる不具合が報告されている。中には、ゲーム開始直後、リスポーン地点のゲートが開く前にマップへ飛び出せてしまう事例もあり、先回りして待ち伏せするといったアンフェアなプレイを引き起こしかねない。フォーラムの書き込みに対して公式のコメントは今のところないが、早急の修正が求められているのは確かだろう。また、テクニックとは呼べないが、キョンシーのようなポーズでカカシ立ちしたまま迫り来る恐怖の「ウィンストン」に関する目撃情報がある。試合のハイライト「Play of the Game」が捉えた不可解な宇宙ゴリラの映像はもはやホラーである。

 

小さな変更が全体のゲームバランスに大きく影響する

先日、『Overwatch』のゲームディレクターを務めるJeff Kaplan氏が、業界メディアEurogamerのインタビューに答えた。質問が及んだのは、主に近日予定している大幅なアップデートに向けた修正点について。大きく分けて、クローズドベータで一度は実装されつつも見直しが決定したランクマッチ(Competitive Play)の詳細、ユーザーから不満の声が多い通信ラグの問題、先日にも公式フォーラムで議題に上がっていた「マクリー」の弱体化と「D.Va」の再調整、試合のハイライトを映す「Play of the Game」機能の見直し、新コンテンツの追加頻度、新ヒーローの噂の真相、クロスプラットフォームへの対応だ。多くのファンが気になる疑問に一つ一つ丁寧に回答している。

まず、ランクマッチを再実装する時期について。今月末を目処に調整中ではあるが、前後する可能性も十分考えられるため、無用な誤解を避けるために具体的な日程には言及できないとしている。内容に関しては、単純なプレイ時間と経験値に基づいたプログレッションベースの旧仕様から、プレイヤーのスキルや勝敗に応じてランクが上下するスキルベースの仕組みへ大幅に変更するとのこと。「チャレンジャー」「アドバンスド」「エキスパート」「マスター」「ヒロイック」に分類されるTier(各プレイヤーが成績別の層に割り振られる仕組みのこと)も、以前の仕様では負けても下がることはなかったが、次回から降格の要素が加えられる。また、ランクマッチのシーズン期間は、1ヶ月ごとの更新から3ヶ月へ拡大。これに関しては、スキルに見合ったランク帯での試合をより長期間楽しみたいという理由で、以前から否定的なフィードバックが多く寄せられていた。

旧仕様では負けてもTierが落ちることはなかった
旧仕様ではTierの降格は実装されなかった

マッチメイキングには、「Quick Play」と同様に「ダイナミックキュー」が採用される。簡単に説明すると、検索対象を動的に変更できるアルゴリズムで、プレイヤーが何人のグループでマッチングに入っても、同人数で構成されたグループを対戦相手に用意してくれるというもの。たとえば、こちらがフルパーティなら相手もフルパーティになる確率が高く、チームメンバーが全員ソロプレイなら相手チームも同様の構成になりやすいということだ。フレンドとのグループプレイには、ボイスチャットなどを使って円滑な連携が取りやすいという利点がある。対して、野良プレイは全員の動きがバラバラになりがち。チーム構成を可能な限り公平に保つのが、「ダイナミックキュー」の役割だ。

次に、かねてよりユーザーからの不満が目立つ通信ラグについて言及。Kaplan氏は、ゲームサーバーのTickrate(サーバー側におけるゲーム情報の更新頻度のこと、高いほどクライアント側との同期がスムーズになる)は60Hzを保っていると釈明している。ほとんどのプレイヤーが遅いと感じているのは、サーバー側ではなくクライアント側のアップデート速度であるとのこと。壁に隠れてやり過ごしたと思ったら、いつの間にか撃たれて死んでいたという経験をしたプレイヤーは少なくないだろう。こうした通信ラグをサーバー側の責任として報告するユーザーは多いが、その大半はレイテンシーの問題であるということだ。この件に関しては、開発チームのエンジニアが作成した動画でも詳細に説明されている。なお、ゲーム内には、クライアント側の更新頻度を60Hzに固定する高帯域通信オプションも用意されている。しかし、現状では全体の0.08パーセントでしか使用されていないとのことで、Kaplan氏はもっと多くのユーザーに試して欲しいと語っている。

It's High Noon...
It’s High Noon…

以前から公式フォーラムで議論の的になっていた「マクリー」の弱体化については、残弾を全て撃ち切る“Fan the Hammer”のダメージ値を引き下げる方向性で対応することを明らかにした。範囲内の敵を一定時間スタンさせる「フラッシュバン」が強すぎるとの指摘もあるが、キャラクターの特性を考慮してダメージ調整に留めるとのこと。「マクリー」は元々、「トレーサー」や「ゲンジ」といった素早いアタッカーに対するカウンターとしての運用が想定されているため、「フラッシュバン」のようなクラウド・コントロール能力は欠かせない。火力のみを調整することによって、プレイスタイルはそのままに、タンク以外の“柔らかい”キャラクターのみを瞬殺できるバランスにしたいと、Kaplan氏は説明している。

攻撃力があまりにも乏しいというフィードバックが寄せられている「D.Va」に関しては、単純にダメージ値を増加させるべきかどうか検討中とのこと。「D.Va」の特徴は、タンクキャラクターにも関わらず遠距離から無制限に弾幕を張れることだが、低火力のため近距離戦でしかダメージソースにはなれない。一方で、接近した途端に一瞬でやられてしまうという打たれ弱さが目立つことも決して少なくない。こうした不満を解消するために、ダメージ値を上げて耐久性を低くするか、もしくはダメージ値は現状維持のままタフなキャラクターにするか、どちらかの方向性で調整する予定だという。ダメージソースを優先したサブタンクか、「ラインハルト」のようなメインタンクか。調整内容によって運用方法が大きく左右されそうだ。このほか、「ウィドウメイカー」に関しても、バランスの見直しに向けて実験中であることが、公式フォーラムで触れられている。これらの調整時期は定まっていないが、確実にいえることは全プラットフォームで同時に適用するとのこと。

試合で最も活躍したプレイヤーのハイライトを再生する「Play of the Game」は、現状では「リーパー」の「デス・ブロッサム」や「ファラ」の「バレッジ」ような範囲攻撃によるマルチキルのシーンが多く、「マーシー」や「ルシオ」といった縁の下の力持ちがスポットライトを浴びることはほとんどない。Kaplan氏は、ハイライトに選ばれる対象にもっとバリエーションを持たせたいと語っている。たとえば、自分がやられた後も残されたタレットが大活躍する「トールビョーン」や、恍惚とするような「ウィドウメイカー」の超絶スナイプなど、活躍の幅はいくらでもある。そこで、間接的にチームの勝利に大きく貢献したヒーローを映す「Savior Play of the Game」のような枠の追加にも言及している。しかし、そうした活躍は一人称視点のカメラだけでは演出面に限界があるとのことで、実現には課題が残りそうだ。

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『Overwatch』のナラティブコンテンツに隠されたヒントから、様々な噂が浮上している新ヒーローの存在。コミュニティが多様な可能性に想いを巡らせるのも開発側の狙いどおりだと、Kaplan氏は語る。ヒントはまだまだ隠されているので、ぜひ探し続けて欲しいとのこと。新たなマップも含めて、こうした新コンテンツの情報は、夏に向けて少しずつ公開される予定だが、更新頻度については今のところ手探り状態だという。競技性の高いゲームでは、キャラクターの追加や能力の調整によって全体のバランスが大きく影響されることが多い。ベータテストの期間中には、「D.Va」「メイ」「ゲンジ」の3体が新キャラクターとして同時にリリースされ、一瞬でゲームバランスを崩壊させた過去がある。強力過ぎるとの批判が相次ぎ、削除を求める声も寄せられていたほどだ。そうした失敗を繰り返さないために、今後は新キャラクターを1体ずつ追加していく方針とのこと。

最後に、Kaplan氏は、PlayStation 4とXbox Oneにおけるクロスプラットフォームへの対応についても言及している。現状では実現に向けて動いてはいないが、常に可能性は視野に入れているとのこと。なお、多機種間で一緒にゲームが遊べるクロスネットワークプレイは、『Rocket League』においてPC・PlayStation 4間もしくはPC・Xbox One間で一部実現している。Kaplan氏も同作の大ファンとのことで、開発者やファンからのフィードバックが集まるのを待ちつつ、『Overwatch』への実装も前向きに検討していきたいと締めくくった。

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