ビデオゲームのローカライズに「クラウドファンディング」は最適か、欧州スクエニCEOがアイディア語る
SteamやOriginなどを通じて世界中のビデオゲームが購入できるようになった昨今だが、プレイするためにさらに立ちはだかるのが言語の壁だ。世界全地域でリリースされるようなトリプルA級タイトルならまだしも、予算が中規模から小規模の作品ではローカライズするためのリソースもなく、英語か開発スタジオが位置する地域の言語だけが収録されているパターンも多い。そんななか、欧州スクウェア・エニックスのCEOであるPhil Rogers氏は、ローカライズを行うには「クラウドファンディング」はぴったりの手段だと語る。
クラウドファンディング、時間や費用節約できる
Rogers氏は海外の大手ゲーム雑誌Game Informerの最新号(Game Spot報道)にて、ビデオゲームのローカライズは何度も話題として挙がるトピックであり、その理由もよくわかるとコメントした。欧州スクエニは東京のチームとコンスタントにやり取りをしているものの、ゲーム開発のプロセスやツールにはいくつかの種類があり、ゲームの再開発に着手したり後でローカライズを加えることが常に簡単なわけではないという。確かにゲームシステム的に言語を追加できない仕様であったり、ゲーム内のフォントが独自のものである場合など、ローカライズは容易ではない。
Rogersが欧州スクエニによるローカライズ技術の改善をアピールしたあと、話は”クラウドファンディングがゲームのローカライズの手助けになるか”というテーマへと移る。Rogers氏は欧州スクエニCEOの立場としての発言は避けたが、個人的に「とても面白いアイディアだと思っている」とコメントした。
ファンがローカライズして欲しいゲームを挙げ、パブリッシャー側が目標金額を設定する。ここまで集まればテキストローカライズ、ここまで集まれば吹き替えといった風にストレッチゴールを決める。Rogers氏は、そういった関係性はローカライズにとてもぴったりだと伝える。「それをやったらどんな風になるのか、ぜひ見てみたいよ」。
大手パブリッシャーのクラウドファンディング利用は
大手パブリッシャーがローカライズでファンから資金を得るのかという疑問も湧くが、ローカライズを求めるファンの声が実際にイコール需要であるのかは不鮮明だ。ペイラインを超えて利益がでるかどうかの市場調査には時間がかかり、その調査結果によってはバジェットが抑えられローカライズのクオリティが低下する可能性がある。
ならKickstarterをある種の試金石として使用し、需要が高ければさらに高品質な翻訳や吹き替えを実装するという手段は、1つのローカライズ手段として存在してもいいかもしれない。無遠慮に日本語ローカライズパックが別売りされたり、字幕か吹き替えかが発売直前までわからないということもない。ビデオゲームのクラウドファンディングでは通例、ある程度以上の額を支援すれば製品版がリワードとして提供されるため、予約購入したと思えば損をした気分にもならないだろう。
TORaIKIの『九十九神』や格闘ゲームの『ヤタガラス Attack on Cataclysm』、アージュの『マヴラヴ』シリーズなど、実際にローカライズにクラウドファンディングを活用している例は増えつつある。大手パブリッシャーがローカライズでクラウドファンディングを使用した例はないが、Rogers氏と同じくファンたちがどのような反応を示すのか気になるところだ。