成人向けサイバーパンク吸血鬼セクシーRPG『Vampire Syndicate』、「RPGツクールからUE5」にゲームエンジン大胆変更。約1年で大化けリベンジ


デベロッパーのA Memory of Eternityは9月5日、Kickstarterにて『Vampire Syndicate: Gangs of MoonFall』(以下、Vampire Syndicate)のクラウドファンディングキャンペーンを開始した。キャンペーンはすぐさま目標額約360万円を達成したのち、本稿執筆時点では約720万円を記録している。

本作は、成人指定のRPG。舞台となるのは、吸血鬼が牛耳るギャングに支配されたサイバーパンクな街「MoonFall」だ。街にはヴァンパイアの系統による複数の派閥や、非ヴァンパイアで構成された派閥があり、複雑な関係を形作っているという。プレイヤーはヴァンパイアの派閥を選択し、仲間と共に派閥のために自由にミッションや契約をこなしていくそうだ。なお本作は成人向け作品として、性的描写なども含まれるとのこと。


本作にはヴァンパイアの起源を紐解く長編のメインストーリーが用意されるものの攻略は任意。プロの暗殺者や泥棒、恋愛の熟練者(skilled lover)を目指すなど、さまざまな遊び方をできる。また派閥ごとに大きく異なるプレイスルーとなることもアピールされている。

なお本作はオールドスクールなCRPGに影響を受けて開発されているという。スキルチェックなどが用意されることが明かされており、TRPGのメカニクスをゲームに落とし込んだシステムとなるのだろう。探索は一人称あるいは三人称視点で展開されるものの、戦闘時には見下ろし型視点に移行。戦闘はターン制で繰り広げられるそうだ。プレイヤーキャラと違って仲間は戦闘によって永久に死ぬ可能性もあり、緊張感のある戦闘システムとなるようだ。

本作を手がけるのA Memory of Eternity。これまで成人向けRPG『Memoirs of a Battle Brothel』などを手がけてきたデベロッパーだ。同作もCRPGの影響を受ける、ターン制RPG。開発は「RPG Maker MV(RPGツクールMV)」をベースにカスタムコードを取り入れたというエンジンにておこなわれていた。

『Vampire Syndicate』についても当初はRPG Maker MVをベースにしたエンジンにておこなわれていた模様。2023年7月にはデモ版も配信されていた。一方で同年8月に実施された本作の第1回のKickstarterでのクラウドファンディングキャンペーンは失敗。出資者への返金がおこなわれたものの、開発を継続してブラッシュアップをおこなうと表明していた。

その後本作の開発はなんとゲームエンジンをUnreal Engine 5に移行して再始動。ドット絵グラフィックから、3Dグラフィックへと大きな変貌を遂げた。見下ろし型で展開される戦闘システムなどオールドスクールなCRPGの影響を受けるゲームプレイは当初のコンセプトからの大きな変わりはないそうだが、サイバーパンクな世界観は没入感あふれるグラフィックで表現されるかたちだ。


なおUE5へのゲームエンジンの変更を受けて、本作の第2回となるクラウドファンディングキャンペーンも9月5日より開始。すでに目標額を突破し、第1ストレッチゴールを達成している。第1ストレッチゴール達成の見返りとしては、一部の重要な会話などに声優が採用される見込みだ。失敗に終わった前回から打って変わって、早くも成功を収めているといえる。キャンペーンは10月5日まで実施予定で、どこまで出資額を伸ばすかも注目されるところだろう。

RPG Maker MVからUE5へのゲームエンジン変更という思い切った開発方針の転換もあり、ひとまずクラウドファンディングキャンペーンではリベンジを果たした『Vampire Syndicate』。なお本作は「小規模開発でありAAAゲームではないため『GTA(グランド・セフト・オート)』のような規模のゲームを期待しないでほしい」とも明言されている。また少なくとも多少詰めの甘い部分が生じる可能性も留意してほしいそうだ。非常に野心的な作品であると自負されており、集まった資金を活かして、完成に向けて開発が順調に進んでいくかも気になるところだ。

『Vampire Syndicate: Gangs of MoonFall』はPC(Steam/itch.io)向けにリリース予定だ。成人向け作品のため、それぞれストアページ閲覧の際は留意してほしい。