オープンワールド・アクションゲーム『Watch Dogs 2』のゲーム内で、Ubisoftが開発中の未発表タイトルの映像が“漏洩”していると話題になっている。本作はアメリカ・サンフランシスコを舞台に、ハッカーグループDedsecがそのハッキング能力を駆使して市民監視システムctOS 2.0の不正を暴くゲームだ。
サンフランシスコにはUbisoftの『Rocksmith』シリーズや『South Park: The Fractured But Whole』の開発元であるUbisoft San Franciscoが実在するが、本作のゲーム内にも存在していてサイドミッションの舞台になっている。とある場所でUbisoft社員(NPCキャラクター)の会話を盗聴すると、まだ公表されていないゲームのトレイラーが存在することが判明し、ミッション「盗まれたUBI」がプレイ可能になる。その舞台がUbisoft San Franciscoだ。ハッキングしてスタジオ内のネットワークに侵入したプレイヤーはPCの中からそのトレイラーを発見する。
(問題のトレイラーは2分19秒あたりから始まる)
トレイラーには社外秘であることやE3カンファレンス用であることを示すウォーターマークが入っており、宇宙空間に浮かぶさまざまな宇宙ステーションや人工衛星、一部が破壊された状態でただよう貨物船とそれに向かって飛んでくる宇宙船、そして船内で機器を操作する人の後ろ姿が映し出されている。そしてトレイラーの途中でハッキングの接続が切れてしまいミッション完了となる。
このトレイラーが発見されるやいなや、Ubisoftが実際に開発している未発表タイトルの映像なのか、それともゲーム内に登場する自社の開発スタジオを演出するフェイク映像なのか話題になっていた。そんな中、Ubisoft関係者とのパイプを持つKotaku(参考記事)は11月16日、Ubisoft社内の事情に詳しいとする2人の情報提供者からの証言を元に、このトレイラーは実際に存在するゲームのものだと報じている。
証言によると、このトレイラーは『Pioneer』というタイトル(もしくはコードネーム)がつけられたSFゲームのもので、もともとは2017年に発表する予定で開発が進められていたという。しかし、同作は何らかの理由で作り直しを余儀なくされたため来年に発表する計画はなくなってしまい、この数か月のあいだに主要開発者はほかのゲームの開発に配置転換されたそうだ。このトレイラーは当初からの予定通り『Watch Dogs 2』に収録されたが、開発メンバーは『Pioneer』がこのような状況を迎えるとは当時は思いもしなかったとして、少し気まずい気持ちでいるという。
ゲーム内で新作タイトルを示唆することはこれまでにも例があり、たとえば『Uncharted 4』のゲーム内では『The Last of Us』の新作を予感させる「The Last of Us: American Daughters」なる作品のポスターが発見されている(ただしまだ「The Last of Us」の新作は正式発表されていない)。筆者個人の体験としては、Neversoftが開発した『GUN』の新作らしきポスターを『Tony Hawk’s Proving Ground』のゲーム内で発見した時のことは、いち『GUN』ファンとしていまだに記憶に残っている(その後開発中止になったと報じられた)。
今回Kotakuが報じた証言の真偽はわからないが、仮に事実だとしても作り直されるということなので、私たちがふたたび目にする時には、このトレイラーとはまた違った姿になっているかもしれない。また作り直しになった理由によっては、結局お蔵入りになってしまう可能性もあるだろう。ちなみに、このトレイラーを発見するミッション「盗まれたUBI」をクリアすると、「漏洩」という名のトロフィー/実績を獲得することができる。
『Watch Dogs 2』は海外では発売中。国内ではPC/PlayStation 4/Xbox One向けに12月1日発売予定だ。