Ubisoft、ここ1年で「約1500人」も人員削減していた。“約120億円のコスト削減”の裏で

Ubisoftは11月21日、2025年〜2026年度上半期決算を発表。その中ではここ1年で約1500人の人員が削減されていたことも明らかにされた。

Ubisoftは11月21日、2025年〜2026年度上半期決算を発表した。発表の中では、同社の新子会社であるVantage Studiosについてテンセントとの取引が完了したことなどが伝えられている。一方で昨年の財務報告時点と比較して、約1500人の人員が削減されていることも明らかにされた。

Ubisoftの2025年〜2026年度上半期決算は、当初の予定より約1週間遅れとなる11月21日に実施された。11月14日には現地の証券取引所の運営をおこなうユーロネクストに対し、Ubisoftの株式および社債の取引停止を要請。近頃の動きとして、Ubisoft San Franciscoをはじめとしたスタジオ閉鎖や(関連記事)、テンセントの出資を受けた子会社Vantage Studiosの設立といった動きがあったため、近日中に大きな発表があるものと目されていた(関連記事)。しかし、その後の上半期決算発表にあわせて、延期の理由は国際財務報告基準(IFRS)に沿うかたちで売上計上方法などを見直していたためと明かされた。

そうして公開された財務報告では、純受注額について、ここ半年間でデジタル収益やプレイヤー継続投資(player recurring investment)などが上昇傾向にあることが伝えられている。特にプレイヤー継続投資については前年比52%増の4億7500万ユーロ(約860億円)を記録。予想を上回る額であることも伝えられており、業績が上向きであることもうかがえる。

一方で、Ubisoft内ではコスト削減計画が順調に進行していることも明かされた。資料によれば、2023年度から比較して、2026年度に2億ユーロ(約360億円)の削減を計画立てていたというが、計画は2025年度内に達成。そのため新たな計画として、2027年度までに1億ユーロ(約180億円)の削減を目指すとしている。

こうしたコスト削減にあたっては、人員の縮小が進められている。Ubisoftは2025年9月末時点のデータとして、従業員総数を1万7097人と報告。これはここ1年で約1500人の削減、2025年3月末以降からは約700人の削減をおこなった結果だという。これによって固定費のベースは約7億100万ユーロ(約1260億円)となり、前年同期よりも約6900万ユーロ(約120億円)減少しているとのこと。

先述したように、Ubisoftは昨年から今年にかけて各地域のスタジオを閉鎖するなどして大規模なレイオフもおこなわれていた。今回はそうした発表後にさらに700人もの人員が削減されていたことが明らかになったかたちだ。そのすべてがレイオフとは限らないことには留意したいものの、かなりのペースで人員縮小が進められてきたこともうかがえる。

「Teammates」

ちなみにUbisoftは、先日生成AIを活用してNPCを本物の味方のように動かす実験的プロジェクト「Teammates」を発表した(関連記事)。同社は元々対話可能なNPCの研究「NEO NPC」の開発を進めていたが、チームを25名から80名に増員し、「Teammates」はさらに発展的なプロジェクトとして進められていくようだ。

また今回の発表でUbisoftは、今年度のラインナップに「Unannounced title(未発表タイトル)」があると明かした。そのほか2026年~2027年度、そして2027年~2028年度にかけて主要ブランド(largest brands)から重要なコンテンツをリリースするとの予測も立てている。同社は今年10月に『アサシン クリード』『ファークライ』『レインボーシックス』シリーズの開発に特化した子会社としてVantage Studiosを設立しており、そうしたシリーズ作品の展開も予定されているのかもしれない。いずれにせよ今回の人員削減の背景には、そうした選択と集中も関係しているのだろう。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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