Twitchにて「Botで視聴者水増し」対策強化され、さっそく“偽視聴者”が減少か。平均同時視聴者数が減少傾向

Twitch公式サポートXアカウントは7月29日、“視聴Bot(viewbots)”などを用いた視聴者数の改ざん行為の対策を強化すると発表した。そこから1か月足らずとなる現時点で、サードパーティのデータ集計サイトなどでは平均同時視聴者数に変化がみられる。海外メディアDexertoなどが報じている。

Twitchはライブ配信プラットフォームだ。ゲームの実況配信などを中心に発展し、国内外の本業ストリーマーや一般ユーザーにも広く利用されている。また企業にも活用されており、eスポーツ大会などイベントの配信プラットフォームとしても利用されている。

Twitchのコミュニティガイドラインにおいては、視聴者・クリエイター・広告主に誤解を与えうる「スパム、詐欺、その他の悪意ある行為」として、視聴者数の改ざん行為への加担が禁止されている。同規約では、フォロー数やライブ視聴データを人為的に水増しする行為などが例として挙げられている。

なお同ガイドラインでは、ストリーマーが悪意のある第三者によるアカウントの乗っ取り・詐欺・視聴ボット利用などの被害に遭う場合があると説明。知らず知らずのうちに被害を受けたストリーマーにペナルティが課されないように、不正者を検出する仕組みを設けていることが記されている。ストリーマー自らの“水増し”ではなく、Bot攻撃を受ける例も想定されているのだろう。

そうしたガイドラインに基づいてか、Twitch公式は7月29日に、視聴者数の改ざん行為の対策を強化することを発表した。強化により、視聴Botや不正視聴、そのほかの潜在的なエンゲージメントの偽装を検出する機能の性能が大きく向上すると告知。機能のアップデートは同日から数週間にわたって展開されていくことが伝えられていた。

またTwitch公式は、対策強化に伴って、もしユーザーのチャンネルが視聴Botなどの影響を受けていた場合には視聴数が変化しうるとも説明。サードパーティのTwitchのデータ集計サイト上でも、数値に変化が表れる可能性を伝えていた。

そうした見込みどおり、各サードパーティのデータ集計サイト上ではさっそく視聴者数の減少が見受けられる。Twitch Trackerでは7月の平均同時視聴者数が約219万人・平均同時配信チャンネル数が約9万3000チャンネルであったところ、本稿執筆時点での8月の平均同時視聴者数は約207万人・平均同時配信チャンネル数が約9万2000チャンネルとなっている。平均同時配信チャンネル数の違いはあるものの、平均同時視聴者数は約12万人も減少を見せている格好だ。また別の集計サイトSullyGnomeなどにおいても同様の傾向が見受けられる。

Image Credit: Twitch Tracker

ちなみに先月にはIbaiことIbai Llanos氏の配信「LA VELADA DEL AÑO V」が900万人以上の同時視聴者数を記録し、Twitchにおける個人チャンネルでの歴代同時視聴者数記録を更新していた。同配信後Ibai氏は、Ninja氏を抜いてTwitchでもっともフォロワー数の多いストリーマーとなっている。不正対策の強化だけでなく、そうした人気配信の有無も先述したような平均同時視聴者数に影響しうる点には留意したい。

いずれにせよ、“視聴bot”などへの対策が強まったことで、さっそく視聴者数が変動を見せている可能性もうかがえる。運営側としては、Twitch上の各種指標は実在のコミュニティおよびその成長を示すべきであるとしており、そうした方針のもとで定期的に対策のアップデートを続けているそうだ。配信者・視聴者の体験の改善のほか、たとえば集計上の視聴者数と配信される広告のエンゲージメントが乖離するといった事態を防ぐ狙いもあるのかもしれない。先述したとおり一定の効果を上げているようにも見えるもののあくまで8月途中での集計結果ではあり、今後の動向も注目される。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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