自由建物いじりゲーム『Tiny Glade』、売上60万本突破の成功の秘訣とは。根強い人気の裏には“手作り感重視”などのこだわり
デベロッパーのPounce Lightが手がけた建物づくりゲーム『Tiny Glade』が、発売から1か月で売り上げ60万本を突破していたことが明らかになった。ゲーム開発者向けマーケティング情報などを提供するGameDiscoverCoの創設者Simon Carless氏が10月30日、同スタジオから提供されたデータをもとに報告している。
本作は、人里離れた森の中の空き地に洋風の建物を建設するシミュレーションゲームだ。PC(Steam)向けに今年9月24日に配信され、ゲーム内は日本語表示に対応している。
『Tiny Glade』では、グリッドやリソース管理といった要素のない建築システムが採用。建物・道・窓・植栽・塗装・地形などの各項目に分けて多数用意された建築用ツールを使って、自由で直感的な建築を楽しめる。配置した建物などは形状や位置を調整でき、また地形ツールを使えば地面の起伏などをいじることも可能だ。
建築においては、配置したオブジェクト同士が接した際に、上手く馴染むように自動的に調整されることが特徴。たとえば、窓を選択し移動させて別の窓に近づけると、くっついてひとつの大きな窓に変化。また、壁を突っ切るように道を作ると、その壁に門ができる。そうした変化にあわせて周囲に植物が生えるなど、装飾的なオブジェクトが出現することもある。
本作は、PC(Steam)にて本日9月24日に配信開始。ユーザーレビューでは、本稿執筆時点で約8300件のうち97%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得している。また同時接続プレイヤー数は、ローンチ直後には約1万700人に到達。その後は緩やかに減少していったが、直近では1000人台半ばで安定して推移しており、根強い人気を得ていることがうかがえる(SteamDB)。
開発元Pounce LightがSimon Carless氏に提供したデータによると、本作は発売から1か月経った時点で約61万6000本を売り上げているという。同スタジオは10月9日に、50万人以上にプレイされたと報告しており、それからさらに売り上げを伸ばしていった格好だ。国別の売り上げの割合としては、多い国から順にアメリカ(32%)ドイツ(9%)フランス(7%)イギリス(7%)中国(7%)となり、日本はオランダと並んで2%とのこと。Carless氏は、最近のヒット作と比べるとアジア圏の割合が少ないと指摘している。
また上述のデータでは、直近の同時接続プレイヤー数が1000人台であるなか、デイリーアクティブユーザー数は約3万4000人を記録。Carless氏によると、大抵のタイトルのデイリーアクティブユーザー数は同時接続プレイヤー数の8〜10倍になるそうで、約30倍を記録している本作の動きに驚きを示している。
『Tiny Glade』が大きな成功を収めることができた背景のひとつとしては、開発中に公開されたゲームプレイ映像によって、注目を集めることに成功したとCarless氏は指摘する。たとえば上に掲載した開発者Ana Opara氏の2022年9月の投稿では、本作の魅力が端的に紹介。その後公開された映像でも非常に多くの反響を得ている。結果として本作は、発売時点でSteamにて約140万ものウィッシュリスト登録者を集めていたという。先述の直近のデータでは約194万人にまで増えている。
またCarless氏は、独自に収集した本作にまつわるデータとして、ユーザーが所有する別の作品を提示。それによると、『Townscaper』や『Unpacking』『Banished』など、本作『Tiny Glade』に含まれる各要素に関連した作品を所有している割合が、一般的なSteamユーザーよりも10倍以上多いとのこと。ゲームプレイ映像や体験版の公開などによってこうした人気作のユーザーにうまくリーチし、購入にまで結びつけることができたという側面があるのかもしれない。
開発元はCarless氏に対し、本作の開発においては、少しの努力で多くの成果が得られることや、間違った答えはないこと、生きた世界として表現することを意識したと説明。また、手作り感を得られることも重視したそうだ。本作にはフォトモードも用意され、SNS上には本作で手がけた建物を披露するユーザーが数多くいる。そうした開発元のこだわりが、シェアする喜びにもつながっているのだろう。自由度の高いシステムにより、有名な建物などを再現するユーザーもみられる。
『Tiny Glade』は、PC(Steam)向けに配信中だ。