新たなゲーム配信システム「THIRD」は、視聴者がゲーム配信に直接介入できるほか、ゲーム開発者にも“収益が還元される”野心的な試みだった。運営者に仕組みを訊いた

このシステムを介して「ゲーム配信の収益をゲーム開発者へ還元できる」という狙いもあるようだ。

株式会社UNCHAINは12月1日、視聴者が配信中のゲームにリアルタイムで介入できる配信向けゲームシステム「THIRD(サード)」を配信開始した。

THIRD」は、YouTubeやTwitchといったプラットフォームでのゲーム配信にて、視聴者がゲーム内容に“直接介入”できるようになるシステムだ。「THIRD」に対応したゲームでの配信では、視聴者はギフトを通じて、プレイヤーの体力回復やアイテム配布といった支援や、敵の増加させての妨害などの「介入アクション」が可能。

ようするに、配信プラットフォームとゲームの間にあるシステムなのだが、このシステムを介して「ゲーム配信の収益をゲーム開発者へ還元できる」という狙いもあるようだ。プロデューサーに話を訊いた。

――自己紹介をお願いします。

ウィンレイ氏:
ウィン レイと申します。よろしくお願いします。

株式会社UNCHAINのCEO兼THIRD事業のプロデューサーをやっております。UNCHAINは開発のご支援やマーケティングのご支援といったことをやりつつ、2025年12月1日に「THIRD」を本ローンチできました。

僕は元々DMM(当時グループ会社だったDMM.comOVERRIDE)に在籍していて、当時はオンラインゲーム/ソーシャルゲームといった事業を担当していました。ゲームプランナーとしてスタートしてから新規の開発や運営、マーケティング等色々なことを経験させていただきました。コロナ禍くらいの時期に退職して数年フリーランズを経て今のUNCHAINを創業しました。

――ありがとうございます。「THIRD」とはなんでしょうか?

ウィンレイ氏:
「THIRD」は配信向けゲームシステムの名称です。配信者がTHIRD搭載ゲームを配信すると視聴者がリアルタイムでゲーム世界に介入できるようになってます。視聴者と配信者が協力して「今しか起きえない出来事」を作るようなイメージです。

――「THIRD」は……TwitchでもYouTube Liveでもないということですよね?

ウィンレイ氏:
TwitchやYouTube Liveは「配信プラットフォーム」ですが、THIRDはいわゆるどのゲームにも実装できる「ゲームシステム」です。TwitchやYouTube Liveは「配信の場」を提供していますが、THIRDは「配信をもっと面白くする為の機能」です。厳密に言うと、ゲームに組み込むシステムです。アプリでいうSDKみたいなものです。

以下整理します。

・配信プラットフォーム
⇒視聴者と配信者がいる場所

・ゲーム自体
⇒プレイしたり見たりするコンテンツ

・THIRD
⇒視聴者の行動をゲーム内データに変換してリアルタイムな双方向コミュニケーション

――なるほど。なんとなく見えてきました。ところで、「THIRD」はなぜ生まれたのでしょうか。なんのために立ち上げたのでしょうか。

ウィンレイ氏:
立ち上げの理由は二つです。

1つ目は、ライブ配信の限界を打ち破るためです。視聴者は「見るだけ」だったり「コメントするだけ」で、配信内で、配信者からリアクションが必ず返ってくるとは限らないですよね。そうすると、赤スパを投げたりして、視聴者の負担がドンドン増えます。でも「THIRD」は必ず配信者の画面に介入ができます。能動的に「そのときしか起きない配信」を創り上げることで、よりエンタメとして面白くしていきます。

2つ目は、ライブ配信で日常的に行われているギフティングを開発者や配信者へ直接還元することによってゲーム開発者に新しい経済圏を開くためです。ゲームの作り方も「面白いゲームを作る」のではなく「コミュニケーションし易いゲームを作る」ことによって参入しやすくなるハズだと思ってます。

――なるほど。実際に「THIRD」はどういう使われ方をする想定でしょうか。

ウィンレイ氏:
現在は主に3つのパターンを想定しています。

・バフ付与や資源提供で配信者を応援する。
・敵の増援やトラップ設置などで配信者を困惑させ、リアクションを引き出す。
・THIRDの介入が勝敗に直結する強力なアクションを発動し、ゲームの展開をリアルタイムで決定づける。

――ギフティングはようするにお金を使うわけですよね。お金の流れの仕組みを教えてください。

ウィンレイ氏:
お金の流れは、視聴者による「ギフティング」が起点です。
このギフティングは、プラットフォームの運営費や技術提供のための収益となるほか、大半が「配信者への報酬」、そして「ゲーム開発者へのロイヤリティ」として分配されます。

――開発者にも配信による利益を還元できるサービスとして構築していると考えてもよいでしょうか。

ウィンレイ氏:
はい、その通りです。それがTHIRDのビジネスモデルにおける最大の挑戦です。 従来のゲーム業界では、「配信されること」が必ずしも「開発者の収益」に直結しませんでした。むしろストーリー重視のゲームなどは、配信で内容が満足され、売り上げが落ちるリスクすらありました。

「THIRD」は、視聴者の介入(ギフティング)から生まれた収益を、プラットフォーム、配信者、そしてゲーム開発者に直接シェアします。これにより、開発者は「売って終わり」ではなく、「配信され続けることで収益が上がり続ける」持続可能なサイクルを実現したいと考えています。

――面白いですね。成長を楽しみにしています。

THIRD」は現在配信中だ。

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