『No Man’s Sky』、発売2週間でプレイヤーは9割減少。この数字は多いのか?

SteamSpyにより開示されたあるデータが海外を騒がせている。そのデータというのは、PC版『No Man’s Sky』の発売日である8月12日の時点で同作を遊んでいた21万2620人のプレイヤーが、25日には1万9336人まで減少しているというものだ。13日間で約9割減少した。

SteamSpyにより開示されたあるデータが海外を騒がせている。そのデータというのは、PC版『No Man’s Sky』の発売日である8月12日の時点で同作を遊んでいた21万2620人のプレイヤーが、25日には1万9336人まで減少しているというものだ。13日間で約9割のプレイヤーが減少したことになる。

『No Man’s Sky』は、セールスは好調なものの、内容の薄さや不具合の多さなど、発売前の期待値の反動もあり海外では厳しい目に晒されている。プレイ人数が激減しているという今回の結果は、そういった不評を裏付けるような数字にも見える。だが、この数字はそれほど厳しい数字なのだろうか。そして、この人数減少がプレイに与える影響はあるのかなどを、SteamDBとSteamSpyのデータを参考に検証していきたい。

基本的にプレイ人口は減る一方

まず検証すべきなのは、新作タイトルのプレイヤー数の一般的な推移だ。『No Man’s Sky』の9割減という数字が、どれほどのものなのか。ここ1年で話題となったシングルプレイのゲームの発売後13日間の推移を見てみるとしよう。最初に扱うのは『The Witcher 3: Wild Hunt』。昨年Game of The Yearを総なめにしたRPGは、発売から6日後にピークの9万2666人を記録し、発売から13日後には5万2771人のプレイヤーがゲームを楽しんでいる。メディアからもユーザーからも大絶賛を受けた『The Witcher 3: Wild Hunt』ですら時間が経過すれば4割ものプレイヤーが遊ばなくなる。同様にスマッシュヒットし、多くのプレイヤーから好評を得ている『Stellaris』も似たような比率の推移を見せている。

『The Witcher 3: Wild Hunt』のプレイヤー数の推移
『The Witcher 3: Wild Hunt』のプレイヤー数の推移

次に『Fallout 4』は、発売日の翌日である11月11日に47万1591人のプレイヤーを記録している。そしてその13日後である23日のプレイヤー人数は25万8457人となっている。つまるところ、『Fallout 4』のような、プロモーションに成功し発売後も安定していたタイトルでも、2週間経つと半数近いプレイヤーを失うことになる。

『Fallout 4』のプレイヤー数の推移
『Fallout 4』のプレイヤー数の推移

『Rise of the Tomb Raider』もプレイヤー数減少を顕著に表しているタイトルだ。発売日である1月28日の2日後に4万4587人を記録したが、13日後の2月10日には1万3305人となり、7割近くの減少だ。『Far Cry Primal』は2月29日に発売され、翌日に1万4783人を記録。13日後のプレイヤーは3252人で、こちらは8割近い減少だ。

『Rise of the Tomb Raider』のプレイヤー数の推移
『Rise of the Tomb Raider』のプレイヤー数の推移

このように、それなりに脚光を浴びて発売を迎えたシングルプレイゲームの多くが4割以上のプレイヤー減を経験している。『No Man’s Sky』の9割という数字の下落はこれらのタイトルと比較してもインパクトのある数字ではあるが、シングルプレイゲームのプレイ人口は2週間経過すると4割以上減るのが当たり前で、7~8割減少するタイトルも珍しくないことを考慮しなければいけないだろう。

プレイヤーが減ることの意味

また、プレイヤー数が減るというのは、どのような影響をゲームに及ぼすのだろうか。もちろん、プレイヤーが多くいれば、他者と共有できる機会も多いため情報も集まりやすいなどさまざまな恩恵がある。しかし、皮肉にも『No Man’s Sky』はシングルプレイ専用作品だ。開発者がマルチプレイを示唆していた時期もあるこのゲームでは、他者が見つけた惑星や生物の名前を見たり、自分が名付けた植物をアップロードしたりできるが、一緒に宇宙を探索するといったマルチプレイ要素は全くないと言ってもいい。 つまり、ユーザーがどれだけ減ろうと、ゲームプレイに与える影響はない。どれだけプレイヤーがいても、宇宙の中で孤独を感じながら探索する体験は変わらない。

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結論としては、シングルプレイの作品はプレイヤーの減少率が特に高くなってしまうが、そういったことを加味してもプレイヤーの9割が減少することは、やはり多いことには変わりはない。その一方で、プレイ人口が減ったとしても『No Man’s Sky』のゲームプレイ体験が損なわれるわけではないということだ。

ちなみに、傾向としてはマルチプレイのタイトルは人口の減少がかなり緩やかな特徴がある。昨年発売された協力が醍醐味のタクティカルシューター『Rainbow Six Siege』や2016年上半期の台風の目ともいえる『Dead by daylight』は発売から13日後はむしろプレイ人口が増加している。オンラインに人がいなければ成立しない以上、この結果は当然とも思えるが、もし『No Man’s Sky』にも友人を誘って遊べるマルチプレイがあったならば、また異なる結果を迎えたのかもしれない。Steamセールスランキングでは依然としてまだ上位に残り続けているが、Hello Gamesはどのような手を打つのだろうか。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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