“3Dゼルダ全作ぶっ通し100%RTA”をクリアした猛者あらわる。『ティアキン』込みでコログの実も全回収、約90時間ガチRTA

『ゼルダの伝説』シリーズのうち、いわゆる「3Dゼルダ」と呼ばれる7作品を100%クリアするRTAを達成したプレイヤーが現れた。

『ゼルダの伝説 時のオカリナ』から『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』まで、いわゆる「3Dゼルダ」と呼ばれる7作品を、すべてノンストップで、かつ収集要素を100%集めた状態でクリアするというRTAを達成したプレイヤーが現れた。約90時間にわたり、睡眠を挟むことなく走り切ったその超人的な挑戦に、驚きと称賛の声が寄せられている。

3Dのフィールドをリンクが冒険するアクションアドベンチャーである「3Dゼルダ」は、これまで本編作品が7作品発売されている。いずれも評価は高く、とくにシリーズ初の3D作品である『時のオカリナ』、そしてオープンワールドを導入した『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、レビュー集積サイトMetacriticにてそれぞれ99点、97点を記録するなど、ゲーム史に名を残す名作として知られている(Metacritic)。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』

こうした評価の高さとゲーム構造の奥深さから、3DゼルダはRTA(リアルタイムアタック)の競技シーンでも長年高い人気を誇ってきた。エンディング到達までの速さを競う「any%」カテゴリを中心に、現在でも新たなテクニックが発見され続けている。たとえば2025年6月には、『ゼルダの伝説 風のタクト』のNintendo Classics版において、ボタン割り当て機能を利用することで通常は実行困難なグリッチが可能になると話題になった(関連記事)。また、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』を目隠し状態でクリアする挑戦など、単なるタイム短縮にとどまらないエクストリームな試みも、たびたび注目を集めている(関連記事)。

今回話題となったのは、Nukie氏が実施した「Original 3D Zelda」における「100%」カテゴリのRTAだ。このカテゴリでは、3Dゼルダ7作品すべてを、コレクション要素やサブ要素を含めた100%の達成状態で、中断なしで連続クリアすることが求められる。Nukie氏は以前から3Dゼルダの100%カテゴリを得意とする走者で、2023年1月には当時の最新作だった『ブレス オブ ザ ワイルド』までの6作品を連続100%クリアし、56時間8分という記録を打ち立てている。今回の挑戦は、そこに『ティアーズ オブ ザ キングダム』を加えた、Nukie氏の活動の集大成とも言える内容だ。

Image Credit: nukiedog on YouTube

レギュレーションとしては、各作品ごとに定められた100%カテゴリのルールを順守したうえでRTAを連続して行う形式となっている。たとえば『時のオカリナ』では、任意のコードを実行できるテクニック「ACE(Arbitrary Code Execution)」は原則禁止されている一方で、それ以外のバグやグリッチについては使用が認められており、高度な知識と操作精度が要求される内容となっている(Speedrun.com)。

挑戦は12月19日に開始され、『時のオカリナ』からスタートした。同作では、画面外に消えたオブジェクトの参照が残る挙動を利用してアイテムやフラグを書き換える「SRM(Stale Reference Manipulation)」と呼ばれるテクニックを活用し、「巨人のナイフ」などの装備を早期に入手。精密な操作によって進行フラグを調整しつつ、約4時間で100%クリアを達成した。自己ベストには及ばなかったものの、個別作品のランキングと比較しても15位相当という好タイムで、挑戦は順調な滑り出しを見せた。

Image Credit: nukiedog on Twitch

続く『ムジュラの仮面』でもSRMを駆使し、9時間18分時点で100%クリア。その後、プレイ順を入れ替える形で『ティアーズ オブ ザ キングダム』へと移行する。同作の100%カテゴリは、メインクエストの完遂に加え、130を超えるユニーク防具、大量のサイドクエスト、そして膨大な数のコログの実をすべて回収する必要がある、シリーズ屈指のボリュームを誇る挑戦だ。Nukie氏は盾サーフィンを応用した空中浮遊系のバグなどを利用し、広大なハイラルを効率的に移動しながら収集を進行。30時間以上に及ぶ長丁場の末、42時間21分時点で『ティアーズ オブ ザ キングダム』の100%クリアを達成した。

その後も挑戦は途切れることなく続き、51時間21分時点で『スカイウォードソード』、58時間43分時点で『風のタクト』、66時間5分時点で『トワイライトプリンセス』を次々と100%クリア。いよいよ最後の関門として『ブレス オブ ザ ワイルド』に挑むこととなった。なおNukie氏は同作をNintendo Switch 2でプレイしており、旧バージョンで利用可能だった高速空中移動バグ「BLSS」は使用せずに進行している(関連記事)。

代わりに多用されたのが、弓の集中モードとバクダンの爆風を組み合わせて空中に吹き飛ぶ「ウィンドボム」だ。Nukie氏は常に空中を高速移動しながら、膨大なクエスト消化やコログの実回収を正確にこなしていく。そして20時間以上を費やし、最後に残っていた「ウツシエの記憶」を回収。開始から88時間54分、ついに3Dゼルダ7作品すべての100%クリアを達成した。

Image Credit: nukiedog on Twitch

配信終了後、Nukie氏はXにて、6年間にわたる練習の成果を注ぎ込んだ今回の挑戦を振り返り、達成感と喜びをあらわにしている。約4日間におよぶ挑戦中、睡眠や長時間の休憩を取らなかったことから健康を気遣う声も寄せられたが、Twitchでの配信終盤には、この「Original 3D Zelda」100%カテゴリからは引退すると宣言。一方で今後については、『ブレス オブ ザ ワイルド』で「ハイラル中のすべての木を切り倒す」RTAに挑戦したいと冗談半分に語るなど、走者としての意欲と余裕を感じさせる発言も飛び出した。

近年では、超長時間に及ぶゲーム系チャレンジが話題となることも多く、たとえば『ダンスダンスレボリューション』を144時間連続でプレイした記録がギネス世界記録として認定された例もある(関連記事)。今回の挑戦では“運動”し続ける必要こそないものの、複数作品にまたがる膨大な知識と、グリッチに必要な精密操作を長時間維持し続ける集中力が求められたことだろう。新作が出るたびに連続プレイする作品数が増えることもあり、引退を決意するに至ったのかもしれない。“後継者”が現れるかどうかは不明ながら、走者はくれぐれも体調に気を付けてほしいカテゴリーとなりそうだ。

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Yusuke Sonta
Yusuke Sonta

『Fallout 3』で海外ゲームに出会いました。自由度高めで世界観にどっぷり浸れるゲームを探して日々ウェイストランドをさまよっています。

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