プレイ不可となった『ザ クルー』、まさかの“ファンメイド非公式サーバー”登場へ。復活が絶望視されたゲーム、執念の蘇生

『ザ クルー』のファンメイドサーバー「The Crew Unlimited」が9月15日に公開される。

Ubisoftがサービス終了をおこなったレーシングゲーム『ザ クルー』について、同作のファンメイドサーバーである「The Crew Unlimited」が9月15日に公開されると発表された。

『ザ クルー(The Crew)』は2014年よりUbisoftが展開しているオープンワールドレーシングゲームシリーズ。オープンワールドの広大なマップにて、さまざまなレースミッションやオンライン対戦を楽しめる。アメリカ全土を舞台にした『ザ クルー』とその続編『ザ クルー2』に加えて、ハワイのオアフ島を舞台にした最新作『ザ クルー:モーターフェス』がリリースされている。

『ザ クルー』

Ubisoftは2023年12月、『ザ クルー』のサービス終了を発表。同作の販売を突如終了し、その後2024年3月31日をもってサーバーがシャットダウンされることも伝えられた。理由としては、サーバーインフラの維持やライセンス契約の問題があったとされている。ゲームを所有していたユーザーがサービス終了によりプレイできなくなる点は批判も呼び、本作を発端として、購入したゲームをサービス終了後もプレイし続けられるようにすることを業界に求める「Stop Killing Games」という署名運動へと発展した(関連記事)。

一方でファンたちは『ザ クルー』のゲームサービスを維持するために、サービス終了の発表からわずか数日間でチームを結成。非公式プロジェクトである「The Crew Unlimited」が発足した。サーバーエミュレータが作成され、ローカルサーバーで実行されるオフラインモードと、オンラインモードの両方の実装を目指してきたそうだ。約1年半にわたって開発が続けられ、ついに9月15日にリリースを迎えることが新たに開設されたウェブサイトにて発表された。

「The Crew Unlimited」のバージョン1.0ではオフラインモードに対応し、オンラインモードは後日追加されるものとみられる。すでにバージョン1.0としてリリースされるすべての機能が完成済みで、現在はソフトウェアのテストや検証をおこなう最終フェーズに入っているようだ。開発チームは将来的にコンソール版にも対応したいとしているものの、現時点ではSteam版のみに対応。また『ザ クルー』はすでに販売を終了しているため、利用できるのは同作を購入済みのプレイヤーのみとなっている。

『ザ クルー』

なお、「The Crew Unlimited」が期待を寄せられている理由として、公式による『ザ クルー』向けのオフラインモード実装が望み薄であることも挙げられる。というのも、『ザ クルー2』および『ザ クルー:モーターフェス』向けにはオフラインモードの実装がUbisoftにより進行中。『ザ クルー2』ではまず、オンラインとオフラインの両方でのゲーム体験を備えた「ハイブリッドモード」を2025年末までに導入することを発表。『ザ クルー:モーターフェス』についても、まずはライブサービス等、現状のサポートに注力しているものの、将来的にはオフラインモードを実装予定としている(関連記事)。一方、『ザ クルー』は先述の通りすでに販売終了済みであり、またオンラインサービス終了に伴ってプレイ不可とすることが当初から想定されていたとみられる(関連記事)。ほか二作とは異なり、同作については復活が絶望視される状況といえるわけだ。

このたびはファンの手でそんな『ザ クルー』が復活するかたち。とはいえ、「The Crew Unlimited」はあくまでもコミュニティによる非公式プロジェクト。リリース後、Ubisoftからのなんらかの反応があるかは注目される。また前述した『ザ クルー2』および『ザ クルー:モーターフェス』向けのオフラインモード実装についても続報が待たれる。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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