バックルーム無人都市ホラー『Liminal City』発表。怪物もいないしBGMもない「無限の都市」、絶えず変化する不穏世界を彷徨う
LIGHTWORKER GAMESは3月25日、『Liminal City』を発表した。The Backroomsの階層のひとつをモチーフとする、無限に広がる無人の都市を舞台にした探索ホラーゲームである。

ゲームデベロッパーのLIGHTWORKER GAMESは3月25日、『Liminal City』を発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)、Steamストアページの記載によれば日本語表示にも対応予定となっている。
『Liminal City』は無限に広がる無人の都市を舞台にした探索ホラーゲームである。プレイヤーは誰の姿も見当たらない謎の都市に迷い込んでしまい、この不思議な空間からの脱出を目指すことになる。本編はプレイヤーがこの空間で記録した映像という設定であるため、古いVHSビデオのような画質とアスペクト比で描かれている。
「無限に広がる無人の都市」と聞いて思い当たった読者もいるだろう。この作品は、リミナルスペースを取り扱ったシェアワールドコンテンツ「The Backrooms」に登場する階層の一つ「無限の都市(The Endless City)」を題材としている。「The Backrooms」のWikiでは、現実からはずれてしまった裏側の世界の情報をまとめているという体裁で、さまざまな投稿や交流が行われている。「The Backrooms」は複数の空間から構成されているとされ、「階層」はそれらの空間の一つ一つを表す用語だ。
本作にてプレイヤーはそんな階層の一つである「無限の都市」に迷い込んでしまうわけだ。ゲームとしては一人称視点の探索ゲームである。開発者によれば、何かに追いかけられるようなチェイス要素や、パズルのような要素はないとのこと。ビデオの記録映像というリアルな演出で、ただただ無人の空間を進む不気味さ、不穏さを味わえる作品のようだ。BGMは無く、それだけに足音や息づかい、出どころ不明の雑音などが際立っている。

また、「The Backrooms」の「無限の都市」がそうであるように、『Liminal City』で訪れる空間にも他の階層へつながる「出口」が多数存在するようだ。「出口」といってもすぐに現実に戻れるものではなく、単に他の階層へと移動するものである。トレイラーの映像では道路の真ん中にぽっかりと空いた穴から別の階層と思しき空間へ移動している場面が確認できる。壁紙の色や並ぶ照明は「ロビー(The Lobby)」と呼ばれる階層のようだ。
「The Backrooms」における「ロビー」からは現実の世界へ帰れる場合もあるとされるが、本作にてプレイヤーが操作する「撮影者」が現実へ帰れるかどうかは不明だ。というのも、トレイラー冒頭のテロップには「FOUND FOOTAGE」という文字がある。これは撮影者が行方不明になるなどして埋もれていた記録映像が見つかり(FOUND)、未編集(FOOTAGE)で公開されたという意味で、モキュメンタリー映画などで用いられる手法の一つだ。本作の公式説明によれば他の階層にも行けるとのことなので、プレイヤーはどういった空間に足を踏み入れることになるのか、どんな結末を迎えることになるのか、今後の動向に注目したい。

本作を手がけるのはLIGHTWORKER GAMES。過去には『Cursed Bet』『SANRI』という2本のホラーゲームをSteamでリリースしているスタジオだ。ユーザーレビューでの評価ステータスはいずれも「賛否両論」。操作がわかりにくいといった点や、ジャンプスケアに頼り切りで予測しやすいといった指摘がなされていた。一方で、Unreal Engineで構築されたグラフィックや、演出面では評価する声も見受けられた。
今回の『Liminal City』は先述のとおりジャンプスケアや怪物が登場しない、スタジオの過去作とは異なる作風となる様子。一方でゲームエンジンとしては引き続きUnreal Engine 5が採用されているそうで、過去作での経験やフィードバックがどのように活かされるのかも注目される。
『Liminal City』はPC(Steam)向けに開発中。日本語表示にも対応予定。本稿執筆時点でリリース日は未定となっている。