南米舞台サバイバルホラー『Pomberito』が地元・南米ユーザーに大人気。口笛の音とともに現れる“それ”

 

デベロッパーのLara the Pitbullは6月25日、『Pomberito』をリリースした。対応プラットフォームはPC(Steam)。本作はリリース後さっそく高評価を集めており、特に本作の舞台となっている南米のユーザーから好評なようだ。

『Pomberito』はサバイバルホラーゲームだ。舞台となるのはアルゼンチン北東部の奥深くにある農村地帯。プレイヤーはそんな場所にある農場で、地元の住人として日々の作業をこなしていく。

ゲームプレイとしては月曜日から金曜日まで、曜日ごとのエピソード形式で繰り広げられる。主人公が夜の農場で作業をこなしていると、予期せぬ展開や出会いに遭遇することもある。そんな農場での体験を通じ、農村にまつわる謎について、真実を解き明かしていくことになるそうだ。またプレイヤーの決断によって、エンディングも変わっていく。


本作は6月25日にリリースされて以降、さっそく高い評価を獲得している。Steamユーザーレビューでは、本稿執筆時点で149件中95%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得。なかでも、スペイン語圏からのレビューが多く確認されており、158件寄せられたカスターマーレビューのうち、実に90%以上となる145件を占めている(SteamScout)。つまり、スペインや中南米のユーザーを中心に人気を集めている格好だ。

この理由には、本作がスペイン語に対応しているほかにも、取り上げている題材も考えられるだろう。本作のタイトルにもなっている「Pomberito」は、「Pombero(ポンベロ)」とも呼ばれており、南米の民間伝承として伝わっている生き物であるそうだ。本作ではこのポンベロに着想を得て、恐怖をあおる存在を登場させているとのこと。


ポンベロは夜行性とされており、背は低く手足が短いとされ、体毛が濃く、肌は黒い。麦わら帽子をかぶった姿だといわれることもある模様。そんなポンベロは森に住んでいて、土着の妖怪のような存在なのだという。現れる前には口笛のような音を出すとされている。

そしてポンベロは、卵やはちみつを盗んだり、勝手に家畜を逃がしたりするそうだが、ラム酒やタバコといった供物を捧げれば、友好的な態度すらとるそうだ。国や文化が違うために一概に比較はできないが、日本でいうところの河童などに似た存在といえるかもしれない。


そうしたいわゆる“地元ネタ”が取り上げられているため、本作のSteamユーザーレビューにおいてもポンベロについて言及されている。ご当地のユーザーによれば、子供のころに“ポンベロ狩り”をして遊んでいたころを思い出すという声や、伝承がよく反映されているといった声があり、民間伝承に基づいた高いリアリティが好評の理由となっているようだ。

『Pomberito』を手がけるLara the Pitbullは、アルゼンチンに拠点を置いている。もしかしたら開発者もポンベロにまつわる話を聞いたり、実際に“出会った”こともあったのかもしれない。そうした、地元ならではの体験や伝承がサバイバルホラーとしてゲームとして再構成されているようで、その南米らしさが地元ユーザーに高く評価されているかたちとみられる。南米の伝承における存在がどういったものか興味をもった人は、本作をプレイしてみるのもいいだろう。

『Pomberito』はPC(Steam)向けに販売中だ。なおリリース記念セールとして、7月2日午前2時まで、定価700円のところを560円で購入可能なセールをおこなっている(いずれも税込)。


ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。