『スーパーマリオ64』をGBA移植しようとしたファン、「移植は無理なのでコードをいちから書く」。当初“マリオが三角コーンだった”気合移植は特大進歩


言わずと知れた3Dアクションゲームの金字塔である『スーパーマリオ64』。そんな本作を、ゲームボーイアドバンス(以下、GBA)に“移植”しようとする、非公式ファンメイドの試みが話題となっている。GoNintendoが報じている。またYouTube上では、開発中の動画も確認できる。

下記の動画は5月9日にアップロードされたもの。動画タイトルは「Super Mario 64 running on a Gameboy Advance(GBA上で動く『スーパーマリオ64』)」。動画では、画面の中央に赤い三角コーンのようなものが存在していることがうかがえる。おそらくこれが、“移植”にあたって最大限まで簡略化されたマリオということなのだろう。その周りでは、3Dでピーチ城の外とおぼしきマップが再現されていることが伺える。総じてかなり無理やりではあるものの、確かにGBA上で『スーパーマリオ64』が動作しているかのような見た目が確認できる。なお動画内で明言はされてはいないものの、GBAエミュレーターで実行しているものと見受けられる。

このGBAで『スーパーマリオ64』を動かそうとする試みや、大胆に省略されたマリオの姿は大きな話題を呼び、動画は本稿執筆時点で36万再生を記録。動画のコメント欄もまさかGBAで『スーパーマリオ64』が動作するとは思わなかったという驚きの声や、技術力への感嘆の声、プロジェクトへの応援などさまざまな反応で賑わっている様子だ。

この動画をアップロードしたのはJoshuaBarretto氏。イギリス在住のプログラマーだ。動画の説明欄によると、実は厳密には移植ではなく“GBA向けリメイク”に近いという。というのも同氏によれば、はじめは移植を検討していたものの、GBAにはGPUや浮動小数点のネイティブなサポートがない点などから断念。そのためGBA用に一からコードを作り直しているという。とはいえ5月9日に投稿された上述の動画の時点で、基本的な物理演算とコリジョンシステム、3Dカメラ、テクスチャマッピングや透明度などのサポートなどを実装されているという。

『スーパーマリオ64』においては、携帯機向けの移植・リメイク作としてニンテンドーDS向けに『スーパーマリオ64DS』が発売されていた。しかしBarretto氏はさらにその一世代前の携帯ゲーム機への移植に挑戦しているということになる。実際コードを作り直すレベルということで、かなり無茶な“移植”といえそうだ。それが不完全ながらもフル3Dで描画されて動作しているというだけで驚きだろう。

さらにこの動画の後も同氏の開発は順調に続いており、9月9日には最新の進捗動画も公開されている。5月時点の動画に比べるとその完成度は圧倒的に進化しており、三角コーンあるいは種無しスイカのようであったマリオのグラフィックもひげや服装がしっかり描画され、それと見てマリオであるとわかるほどになっている。待機中のモーションまで作りこまれているのが伺える。またピーチ城の他にも、さむいさむいマウンテンのような各種ステージが動作するようになっているようで、マリオの他にもワリオやヨッシーといったプレイアブルキャラクターも追加されている。同氏によって順調にプロジェクトの開発は進められているようだ。

アップロードされた動画、及び移植プロジェクトは大きな反響を呼んでいるようで、同氏のもとには据え置き機であるNINTENDO64に比べて圧倒的に性能の劣るゲームボーイアドバンスで『スーパーマリオ64』を動かすのは“不可能ではないか”との声が寄せられているという。しかし同氏はそれを可能にするために日々挑戦しつづけているとのこと。約4か月で“赤い三角コーン”がマリオになるほど、すさまじい進歩を遂げているようだ。

総じてかなり無理やりであり、不可能にも思える、『スーパーマリオ64』のGBAへの“移植”あるいは作り直し。しかしBarretto氏の技術力と熱量の高さもあって開発は順調に進んでいるようだ。今後のプロジェクトの進捗にも期待したい。