『サブノーティカ2』開発元の突然のトップ交代劇、退任した当事者が沈黙を破る。本人にとっても“衝撃的”だった

『サブノーティカ2』を開発中のUnknown Worldsにて先日、CEOを含むリーダー陣3人が突如交代。同スタジオを去った設立者のひとりCharlie Cleveland氏が7月5日に声明を発表している。

パブリッシャーのKRAFTONは先日7月2日、水中サバイバルアドベンチャーゲーム『サブノーティカ2(Subnautica 2)』を現在開発中の傘下スタジオUnknown Worldsの、CEOを含むリーダー陣3人の交代を発表した。これを受けて、同スタジオを去った設立者のひとりCharlie Cleveland氏が7月5日に声明を発表し、不本意なかたちでの退職だったことを示唆した。

Unknown Worldsは、米国・サンフランシスコに拠点を置くデベロッパーだ。Cleveland氏を中心として2001年に設立され、初期は『Half-Life』用Mod「Natural Selection」などを手がけていた。そして2018年に正式リリースされた『サブノーティカ(Subnautica)』が大ヒットを記録し、シリーズ展開されることに。一方、2021年には『PUBG』などで知られるKRAFTONに買収されている。

現在Unknown Worldsは、最新作『サブノーティカ2』の2025年内の早期アクセス配信開始に向けて、開発を進めている。そんな中で親会社KRAFTONは7月2日、同スタジオの共同設立者で開発現場を統括する立場でもあるCharlie Cleveland氏とMax McGuire氏、およびCEOのTed Gill氏の退任を発表。そして、サバイバルホラーゲーム『The Callisto Protocol』を手がけたことで知られる傘下Striking Distance StudiosのCEO Steve Papoutsis氏が、Unknown WorldsのCEOを兼任することが明らかにされた。『サブノーティカ2』のクリエイティブディレクションも担当するという(関連記事)。

期待作の開発元のリーダー陣が突然スタジオを去る事態となり、ファンの間では困惑が広がることに。これを受けてKRAFTONは7月4日、ファンに向けて声明を発表。『サブノーティカ2』の開発チームには変更がないことや、同シリーズのアイデンティティを維持すること、新CEOのPapoutsis氏をサポートすることなどを表明した。

また、『サブノーティカ2』はシングルプレイをメインとし、オプションとして協力マルチプレイを用意する計画に変更はなく、またサブスクリプションもルートボックスもバトルパスも少額課金要素も導入されないと明確にした。今回の交代劇の背景に関しては明かされなかったが、ファンの懸念に回答した格好だ。

そして7月5日になって、Unknown Worldsを去ったCharlie Cleveland氏が声明を発表し沈黙を破った。同氏はまず、ゲーム開発を始めた高校生時代まで遡って、25年以上にわたる自身のキャリアを振り返っている。その中では、Unknown Worldsの設立に至った経緯や、早期アクセス配信を通じてコミュニティと共に『サブノーティカ』を完成させ成功を収めたこと、またある作品(『Moonbreaker』のことだと思われる)では大きな失敗を経験したことついても語られた。

同氏はそうした経験を経て、優秀なスタッフと共に『サブノーティカ2』の開発に尽力し、早期アクセス配信することに大きな期待を寄せていたという。また、自身が設立した会社で働くことができなくなった今回の出来事は衝撃的(quite a shock)なものだったとも述べており、自ら望んで職を辞したわけではないことを示唆した。ただ、実際のところ何があったのかは明らかにされていない。

また声明の中で同氏は、『サブノーティカ2』はすでに早期アクセス配信を開始する準備ができており、ファンにプレイしてもらえる状態だともコメント。そして、リリースの判断はUnknown Worlds側でおこなえるものと考えていたが、決定権はKRAFTONにあったと述べている。

KRAFTONが、Unknown Worldsのリーダー陣の退任と新CEOの就任を発表した際には、『サブノーティカ2』を含むグループ内の作品を適切なタイミングでリリースするために、クリエイティブ面と品質について一定の基準を満たしているかを定期的に評価しているとし、Unknown Worldsの新CEOがそのプロセスについて全面的に支持したことについて言及されている。もしかすると、本作の開発方針に関して、Cleveland氏ら旧リーダー陣とKRAFTONとの間で何らかの衝突があったのかもしれない。

また同社は、Cleveland氏らには引き続き本作の開発に携わってもらうことを望んでいたとも述べていた。それでも、結果としてCleveland氏らはスタジオを去ることを選んだ、あるいは解雇されたようだ。なお同氏は声明の最後にて、「これで物語が終わったわけではない(this is not where the story ends)」と意味深な言葉を残している。また、共に退任したTed Gill氏はCleveland氏の声明をリポストしており、考えを同じくしている模様である。


『Subnautica 2(サブノーティカ2)』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/Xbox Series X|S向けに2025年内に早期アクセス配信予定だ。Xbox/PC Game Pass向けにも提供される。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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