「Steamのウィッシュリスト数はどれくらい売上に繋がるのか」をマーケティング調査機関が分析。最新データを明かす

GameDiscoverCoの創設者Simon Carless氏は12月4日、Steamで販売されたPCゲームの売り上げ本数と、そのウィッシュリスト登録者数の関係についての最新の調査結果を公表した。

ゲーム開発者向けマーケティング情報などを提供するGameDiscoverCoの創設者Simon Carless氏は12月4日、Steamで販売されたPCゲームの売り上げ本数と、そのウィッシュリスト登録者数の関係についての最新の調査結果を公表した。

ウィッシュリストとは、登録したゲームの発売時やセール開始時などに通知を受けることができるSteamの機能のこと。つまりウィッシュリスト登録者の数は、その作品に興味を持っている人の数のひとつの指標だといえるため、そこから将来の売り上げ本数を予測できないかと調査がおこなわれた。

Simon Carless氏は継続的にこの調査を実施しており、今年4月には1万件以上のウィッシュリスト登録がある100タイトル以上の開発者へのアンケートをもとにした調査結果を公表。発売初週の売り上げ本数を対象とし、中央値としては17%のコンバージョン率だったと報告された。つまり、仮に10万件のウィッシュリスト登録があれば、1万7000本前後の売り上げを期待できるのではないかという結果である。ただ、一部のよく売れたタイトルの影響が強く出た可能性があったため、今回また別の手法にて調査がおこなわれた。

今回の調査の対象となったのは、今年8月から10月にSteamでリリースされた全作品のうち、GameDiscoverCoの独自の分析により一定以上の人気があると確認された約270タイトルだ。ウィッシュリスト登録者数と売り上げについても同社の分析結果が用いられた。すると、発売初週のコンバージョン率の中央値は10.5%だったとのこと。

もっとも、中央値から外れた作品ほどコンバージョン率の変動は顕著になり、上は59.9%、下は1.9%という結果だったという。ただし、こうした幅が出ることは従来の調査でも同様で、そのためウィッシュリスト登録者数から売り上げ本数を推測することは難しいとの見方がある。Valveもウィッシュリストに関して、売り上げを正確に予測するための数式はないと案内している。それでもCarless氏は、一定の指標を提示できる可能性を信じて調査を続けているわけだ。

『Liar’s Bar』


今回の調査では、コンバージョン率が50%を超えるタイトルは月に15〜30本程度で、それほど多くはないことも明らかに。なお、その中には100%を超えるタイトルも存在する。Carless氏は、『ドラゴンボール Sparking! ZERO』や『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』『ドラゴンエイジ: ヴェイルの守護者』などの大型タイトルは、関心の高さに比べてウィッシュリスト登録者数が少なかったのではないかと分析。また、『Liar’s Bar』や『Karate Survivor』『Storage Hunter Simulator』といった低価格作品が、発売後に実況配信などで大きな人気を得て売り上げを伸ばす例もあるとのこと。

今回の調査の結果を受けてCarless氏は、新作のコンバージョン率は低下傾向にあるかもしれないとコメント。一方で、『Hearts of Iron IV』などのように、セールの実施や投資の継続で根強く売れ続ける旧作が目立っており、Steamで成功するにはリリースを重ねつつ、新作がヒットすることに賭けるべきだろうと述べている。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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