Steamの今年のゲーム総売上額はすでに「2兆5000億円超」との推計。“けた違いの収益性”のまま、成長継続か
ゲームの市場データ分析会社のAlinea Analyticsの推計によると、Steamの2025年のゲームの総売上は現時点で約2兆5400億円にのぼるという。

ゲームの市場データ分析会社のAlinea Analyticsの推計によると、Steamの2025年のゲームの総売上は現時点で162億ドル(約2兆5400億円・以下それぞれ現在のレート)にのぼるという。あくまで推計値ではあるものの、過去に裁判資料で明らかになった収益を大きく上回っていることが注目を集めているようだ。PC Gamerなどが報じている。
ValveはPC向けゲームプラットフォームSteamの運営元だ。2003年の運営開始以降、インディーからAAAタイトルまで幅広いパブリッシャー・デベロッパーやユーザーによって利用されており、PCゲーム市場ではトップクラスのシェアを獲得している。

そんなValveは非公開企業であり、運営体制や売上などはベールに包まれてきた。一方で今回はAlinea AnalyticsがSteamにおけるゲームの総売上額の推計をおこない、話題になっている。Alinea Analyticsは、公表されている売上本数などの2万5000件以上の実測データベースから市場の分析をおこなっているという企業だ。
同社の市場調査責任者であるRhys Elliott氏によれば、2025年のSteamのゲームの総売上額の現時点での推計は162億ドル(約2兆5400億円)にのぼるという。買い切りタイトルと基本プレイ無料タイトルの両方からの収益が含まれているとのこと。現時点で昨年の総収益の推計を超え、5.7%増になっているそうだ。Steamでは12月にウィンターセールの開催も控えているが、すでに昨年よりも売上を伸ばしていることがうかがえる。
さらにRhys氏によれば、このうちValveの利益は40億ドル(約6300億円)以上になるそうだ。Steamでは販売タイトルの売上のうち30%の手数料が設けられており、累計売上が1000万ドルを超えるタイトルについては25%、5000万ドルを超えるタイトルについては20%となる(Steamworks)。40億ドル以上という推計はそうした手数料からの利益と、『Counter-Strike 2』『Dota 2』といったValveが販売・運営を手がけるタイトルの利益の総額のようだ。とはいえいずれも算出方法は示されておらず、あくまでAlinea Analytics独自の推計である点は留意したい。
なお過去にはFinancial Timesが裁判資料などをもとに2021年度のSteamの収益を分析していたこともある。この際には手数料収入が20億ドル(約2900億円)で、営業利益率(Operating margin percentage)は約60%となっており、概算で約12億ドル(約1900億円・現在のレート)の利益があったことが示されていた(関連記事)。
同じく裁判資料から同年のValveの従業員数が336人、Steamの運営部署が79人であったことも示されており、利益を分配すると全従業員では1人あたり約360万ドル(約5億6000万円)。Steamの運営部署と管理部門に絞れば1人あたりおよそ約1140万ドル(約18億円)の利益をあげていたことになる。ちなみに、たとえば利益率が高いことで知られるアップルでは2024年度の営業利益が約1230億ドル(約20兆円)で、従業員数は約16万人。1人あたりに換算すれば約77万ドル(約1億2000万円)であり、Steamの利益率の方が遥かに高いこともうかがえる。
今回Rhys氏が示した数値はあくまで推計ではあるものの、そんなSteamが2021年当時からさらに大きな収益をあげている可能性もうかがえるだろう。なおSteam全体のピーク時の同時接続プレイヤー数記録は2021年には約2740万人であったところ、今年3月には4000万人を突破。10月には最大記録をさらに更新し、約4166万人の同時接続プレイヤー数を叩き出している(SteamDB)。コロナ禍での急成長の後も順調に成長を続けていることがうかがえる一方で、ミステリアスなValveの収益や運営体制については今後も注目が集まる。




