米連邦議会にて民主党に所属するMark Warner上院議員は、Steam 上での過激主義やヘイト表現を伴うコンテンツへの対処をValveに要請した。名誉毀損防止同盟(ADL)の調査によると、Steamにおいて人種差別的な発言や過激な言動をとる多数のユーザーやコミュニティグループが確認されたという。海外メディアMP1stなどが報じている。
米国最大のユダヤ人団体である名誉毀損防止同盟(ADL)は11月14日、Steam上で180万件を超えるヘイト関連のコンテンツが確認されたことを明らかにした。その中には反ユダヤ主義やネオナチ、白人至上主義といった思想に基づいた投稿が含まれているとのこと。ADLの調査によれば、およそ150万人のユーザーと7万3000以上のコミュニティグループが少なくとも1回はSteamに攻撃的と判断できるコンテンツを投稿したことがあるという。
この報告を受けて米民主党議員のWarner氏は11月15日、Valveに対してSteamにおけるヘイトスピーチなどの不適切な言動を取り締まるよう要請した。人種や宗教、ジェンダーやセクシュアリティなどに基づくヘイト行為となりうるコンテンツを抑制するための幅広い措置を求めている。
Warner氏はその申し入れの中で、Steamというプラットフォームの規模の大きさを踏まえ、懸念を表明。Warner氏はSteamについて、経済的な成功を収め、Valveに年間数十億ドルの収益をもたらしているとの認識を示し、ゲームプラットフォームという部門での支配的な地位を占めていると述べた。しかしWarner氏は、現状のSteamではほかの主要ソーシャルメディア並の規模の大きさにもかかわらず、それらと同水準の注意が向けられてこなかったと指摘。その結果として、ヘイト表現を伴うコンテンツが蔓延している現状があると考えているようだ。
Warner氏はさらに、Steamでは利用規約やオンライン規則に定められた禁止行為を効果的に規制することができておらず、そのことがヘイト行為などの不適切な言動の波及につながっているのではないかとの考えを示した。Steamはオンライン規則において、「一般に、Steamユーザーは、善良なオンライン市民として、他のSteamユーザーがSteamを使用し楽しむことを妨げるような行為をしてはいけません」と規定している。
そのほかSteamでは、現実世界における暴力を助長するような行為、暴言や侮辱的行為などについても禁止と定められている。Warner氏はそうした行動指針が適切に施行されているかを確認するため、具体的な対策・取り組みについてValveに質問を投げかけている。
また同質問状では、Steamにおけるヘイトスピーチや嫌がらせ行為に関するポリシーがどのように定義され、施行されているかということに関しても、詳細な情報提供を依頼している。Warner氏によれば、他のソーシャルメディアにおいて、利用規約に記載されたペナルティなどの執行が緩く、ハラスメントなどを助長する環境が醸成されてしまう場面を見たことがあると述べている。Steamを運営するValveにも厳格な規約の執行を求め、ヘイト行為の抑制を要望しているかたちだ。
米連邦議会がValveの方針について介入を図ったのは、過去3年間のうち今回で3度目と見られる。以前にもユーザーによる不適切な言動への対処を求める意見が挙がっていたが、そのことに関してValveは実質的な変更を加えることがなかったとされる。Warner氏は、同社が効果的な対策を講じることがないのであれば、Steamには「次世代に有害な思想を広め、定着させる」危険性があると主張し、連邦政府によるValveへの監視の目は厳しくなるだろうと警告している。Warner氏によって投げかけられた質問への回答を含め、Valveの今後の動向が注目される。