Steam上には「約3兆円規模の“積みゲー”が存在するのではないか」との報告。正確かはともかく積まれるゲームの数は果てしない

 

海外メディアPCGamesNは、Steam上のいわゆる“積みゲー”は「190億ドル(約3兆円)分存在するのではないか」との概算を報じている。同社が提供するWebツール「Steam ID Finder」で集計されたというデータに基づいているようだ。

Steam ID Finderでは、プロフィールが公開設定となっているユーザーがライブラリ上で所有しているゲームの総額などを概算として確認可能。また「Pile of Shame Value」として、未プレイのゲーム、いわゆる“積みゲー”の総額が表示される仕組みになっている。Steamライブラリではユーザーがプレイ状況として「未プレイ」のゲームを検索できる機能があり、これに基づく集計だろう。


PCGamesNによるとSteam ID Finderのデータベース上ではSteamの公開アカウントとして約7300万人分が集計されているとのこと。また同誌は、約7300万のアカウントはSteamアカウントの総数のうち約10%になるとしている。そして同誌は、Steam ID Finder上の「Pile of Shame Value」の総額を“10倍”した概算として、Steamでは「190億ドル(約3兆円)分存在するのではないか」と伝えている。つまりSteam ID Finderで集計されない非公開アカウントも概算として含めると、世界のすべてのSteamアカウントの未プレイのゲームを合計すると3兆円規模になるという見方だろう。

一方、別の海外メディアArs TechnicaはPCGamesNの報道を引用しつつ、10%のデータから10倍して算出された「190億ドル」という概算はかなりざっくりしている(very loose)とコメント。またSteam ID Finder上で集計されたとみられる10%分のデータについても、かならずしも正確とはいえないことを複数の理由から指摘している。

たとえばArs Technicaの調べによると、Steam ID Finderで確認できる各ユーザーのライブラリの総額や積みゲー総額は、購入時の価格ではなく集計時点のSteam上での販売価格が反映されているとのこと。そのため集計されたデータには、Steamにて“積みゲー”になりうるゲームが多く購入されるとみられる、セール時の価格が適用されていないようだ。このほかSteamライブラリ上でそもそもプレイ時間の記録機能が実装されたのが2009年3月であったことなども示されており、「190億ドル」という概算は実態より多めの金額という可能性はある。


とはいえ、Ars Technica はSteam上の“積みゲー”が非常に多い可能性があるという点で、Steam ID Finderの集計を興味深いデータであるとも伝えている。Ars Technicaでは2014年に独自調査に基づき、Steam上では同年時点で、ライブラリには未プレイのゲームが約26%、プレイ時間1時間未満のゲームが約19%も存在するとの試算を伝えていた。Steamライブラリのプレイ時間記録がスタートした2009年3月から2014年にかけてのデータとなるものの、同年の集計時点で約26%ものゲームがプレイされないまま“積まれて”いた可能性があるわけだ。

なおSteamでは同時接続ユーザー数が年々増加傾向にあることが伝えられている。現在のすべてのアカウントに2014年と同じ規模で“積みゲー”が存在すると仮定した場合、相当な金額が注ぎこまれているかもしれない。PCGamesNの伝える「190億ドル」という概算が正確かどうかはともかく、Steam上の“積みゲー”の規模感がうかがえる点で興味深いデータといえるだろう。

ちなみにSteamでは6月28日午前2時より大規模セールイベント「Steamサマーセール」が開幕予定(関連記事)。例年多数のタイトルがラインナップされるイベントとなっており、予算だけでなくプレイ時間を確保できるかどうかも念頭においてみるといいかもしれない。