クトゥルフ灯台守ホラー『Static Dread: The Lighthouse』初日からどんどん好評集まる。正気を保ちつつ“普通の船”だけを導く、『Papers, Please』風ゲーム

Polden Publishingは日本時間8月7日、solarsuit.gamesが手がけるホラーゲーム『Static Dread: The Lighthouse』をリリースした。対応プラットフォームはPC（Steam）。本作はさっそく多くの好評を集めている。

『Static Dread: The Lighthouse』は、ラヴクラフト風の世界で『Papers, Please』のように働くホラーゲームである。プレイヤーは灯台守として船を導き、15日間を生き延びることを目指す。本作の世界では地球全体が強烈なオーロラに覆われており、さまざまな電子機器が使い物にならなくなっている。そのためプレイヤーは船との連絡も、家族との通話も、すべて無線を通じておこなわなければならない。ところが、受信できるメッセージの中には、何やら普通とは思えないものも混ざるようになっていく。じわじわと襲い来るような恐怖を味わうことができるだろう。

ゲームプレイはおもに灯台守としての仕事になるが、その内容は多岐にわたる。まずは設備の点検や物資の購入などをおこない、灯台のスイッチを点けたら仕事開始となる。先述のオーロラの影響で、船との通信に使われていた周波数はひどいノイズばかりになってしまっているため、船からの通信はその都度使われていない周波数で送信されている。プレイヤーは通信を聞き漏らさないよう、夜通しさまざまな周波数をチェックし続けなければならない。

また、船からは目的地までの航路をたずねるファックスが送られてくる。プレイヤーは海図に線を描いてファックスを送り返すことになる。船を正しく目的地に送り届けることがゲームの基本的な目的となるわけだが、場合によっては避けるべき航路があるほか、目的地に送り届けてはならない不審な船も現れる。何か得体の知れないものを見落として目的地に導いてしまった場合、恐ろしいことが起きてしまうかもしれない。

こうした業務とは別に、灯台には突然訪問者がやってくることもある。もちろんそちらも対応が必要だ。さらに、灯台守の仕事をしている間には少しずつ体力を消耗していくため、適度に食事を摂らなければならない。ラヴクラフト風の世界観には付き物の「正気度」も存在し、体力を維持するだけでなく精神的な消耗にも対処する必要がある。業務、訪問者、自己管理といったさまざまなタスクを同時にこなさなければならないのだ。もちろん、日数が経過するほどに業務はだんだんと複雑になっていく。設備のトラブルなどの思わぬ事態も生じることだろう。

そんな本作はリリースからさっそく高い評価を受けている。本稿執筆時点でまだリリースから半日程度だが、すでにSteamユーザーレビューは51件寄せられており、そのうち98％が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。

本作は何も起きていない時ですら古い灯台や小屋に不気味な雰囲気が漂っており、夜に仕事をしている間には、得体のしれないものがいつやってくるかわからないという恐怖も常に付きまとう作品だ。そんな状況で慌ただしいマルチタスクに追われ、何か取り返しのつかないミスをしてしまうのではないかという緊張感も味わえる。レビューでは、そんな本作のホラー演出とゲームプレイの程よい複雑さを楽しんでいる声が多く聞かれる。また、写実的ではないながら洗練されたレトロ風のアートスタイルも特徴。没入感のある音響効果とも相まって本作のおどろおどろしさを高めており、そうした要素も本作の高い評価に繋がっているようだ。

なお本作は現時点ではストアページで日本語非対応と表記されているものの、ゲーム内では日本語表示を選択可能。ただ公式によれば表記されている対応言語以外は機械翻訳となっており、今後改善が進められていくそうだ。

本作を手がけるsolarsuit.gamesはセルビアを拠点とするインディーゲームデベロッパーである。過去には遠隔攻撃ドローンで虫を退治するクリッカーゲーム『BUG』をリリースしているほか、選択が物語に反映されていく見下ろし視点の宇宙西部劇アクションRPG『Drake Frontier』を開発中だ。不気味で少し気持ち悪い演出や、物語を重視した作風といった本スタジオの持ち味は、本作にもしっかりと反映されているようだ。

『Static Dread: The Lighthouse』はPC（Steam）向けに配信中。現在リリース記念セールが開催されており、8月21日までの期間限定で定価の25％オフとなる税込1117円で購入可能だ。