スクエニHD株を、“物言う株主” シンガポール系投資ファンドが連続買い増し。大株主トップ3入り

シンガポールの投資ファンド3Dインベストメント・パートナーズは6月13日、スクウェア・エニックス・ホールディングスの株式を9.79%保有していることを明らかにした。

シンガポールの投資ファンド3Dインベストメント・パートナーズは6月13日、スクウェア・エニックス・ホールディングス(以下、スクエニHD)の株式を9.79%保有していることを明らかにした。スクエニHDの株式保有割合として第3位となる。

スクエニHDは、スクウェア・エニックス・グループを統括する親会社だ。スクウェア・エニックスやタイトーを子会社とし、ゲームソフト開発やアミューズメント機器開発を主な事業としている。代表的なIPとして世界累計出荷本数2億本を超える『ファイナルファンタジー』シリーズや、同9400万本を超える『ドラゴンクエスト』シリーズ、『スペースインベーダー』シリーズなどを保有。発行済株式の総数は2024年3月末時点で1億2253万株となっている。

そんなスクエニHDについて、シンガポールの投資ファンド3Dインベストメント・パートナーズは4月28日、関東財務局に提出した大量保有報告書にて株式の5.47%を保有したことを明らかにした。大量保有報告書は5%を超えて保有した場合に提出が義務付けられており、この発表を受けて4月30日のスクエニHDの株価は、上場来高値となる8000円を突破。その後も株式の保有割合が1%以上増加した場合に提出が義務付けられる変更報告書により、5月9日に6.58%、5月22日に7.73%、5月30日に8.78%と買い増しがおこなわれていた。

そして6月12日に提出された変更報告書では9.79%まで上昇。持ち株数にして約1200万株となりJPモルガン・チェース銀行などを上回り、スクエニHD第3位の大株主になっていると想定される。6月16日にはスクエニHDより主要株主の異動に関するお知らせが開示され、総株主の議決権の数に対する割合は10.01%となっている。また、一連の買い増しにより、株価は上場来高値を更新し続けており、本稿執筆時点で9500円を突破した。

3Dインベストメント・パートナーズは、シンガポールを拠点に日本特化型の投資をおこなう資産運用会社だ。いわゆる「物言う株主」として知られており、過去にはサッポロホールディングスや富士ソフトに対して経営改善を提言。6月10日にも日本製鉄の社長再任に反対を呼びかけるなど影響力を強めている(Bloomberg)。また、主要株主の異動大量保有報告書および変更報告書に記載されたスクエニHD株の保有目的は、いずれも「純投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為を行うこと」とされている。

なおスクウェア・エニックスは、5月14日に中期経営計画を発表。選択と集中および量から質へと転換する開発体制の最適化や、コンタクトポイント(顧客接点)強化によるマルチプラットフォーム戦略などが掲げられている。この発表を経ても3Dインベストメント・パートナーズによる買い増しが継続されていることから、何らかの提言がなされるのかもしれない。今後の動向が注目される

Haruki Maeda
Haruki Maeda

3DアクションRPGと犬をこよなく愛するPCゲーマー。『フォールガイズ』のようなわちゃわちゃ系も大好きです。

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