“圧倒的に好評”大規模戦闘・都市建設シム『Songs of Syx』いきなり人気爆発。早期アクセス開始から5年、「合わせ技」で本作史上最高の盛り上がりに

大規模戦闘・都市建設シムの『Songs of Syx』が、早期アクセス開始から5年経った今、本作史上最高の盛り上がりを見せているようだ。

大規模戦闘・都市建設シムSongs of Syxの人気が突如として高まっている。対応プラットフォームはPC(Steam/GOG.com/itch.io)。

『Songs of Syx』は何千・何万もの市民や兵士たちの動きがシミュレートされる、戦略的な大規模戦闘・都市建設ゲームである。舞台となるのは人間以外の異種族も複数存在するローファンタジー世界。プレイヤーは民を率いる首長として、小さな村から集落を育て上げ、帝国を築き上げることを目指す。本作では建設計画や役割の任命、外交、戦争といったさまざまな意思決定と、時間経過や季節変化、動物や人々の移動、干ばつや疫病といった災害、略奪者や盗賊、商人との交流といった多数の要素が複雑に絡み合っている。ほんの些細な出来事が強大な帝国の崩壊につながるような、物語のように紡がれる国の興亡を味わえるだろう。

そんな本作は2020年9月に早期アクセス配信を開始したが、リリース直後にはSteam同時接続プレイヤー数は100人弱と、それほど多くの人の目に留まっていた様子はない。ところがその後複数回にわたる地道なアップデートにより、プレイヤー数は数百人規模へと拡大。2024年4月にはゲームのエンディングが実装される大型アップデートをきっかけに、ピーク時に約3000人のプレイヤー数を記録していた。そして今回、12月7日から8日にかけて本作はピーク時に過去最高となる約3100人のプレイヤーが集まる盛況ぶりを見せた(SteamDB)。“本作史上最大”となる盛況を博した理由として、複数の要因が絡み合っているようだ。

まず、12月5日に新たな大型アップデートとなる「Riders of Doom」が配信された。兵科として新たにspearmem(槍兵)とcavalry(騎兵)が登場し、作中の戦争が一変。それに伴いAIも刷新されている。戦闘については古代の集団戦から着想を得ており、史実でも用いられたような戦術や、兵士ひとりひとりの士気の変化が結果に影響するとのこと。開発者は、盾を構えて並び立つ兵士たちに向かって2万の軍勢が押し寄せる重圧を体感してほしいと息巻いている様子だ。そのほかにも本アップデートではかねてより要望のあったLab(研究所)とLibrary(図書館)の修正など、多くの変更が加わっている。

こうした大型アップデートに合わせて、期間限定の無料プレイも開放されていた。残念ながら無料期間はすでに終了しているが、本作の内容を考慮すると、無料プレイが可能だった数日間ではとても遊びきれないだろう。そのためか、無料プレイ期間の終了後も本作のプレイヤー数はピーク時間帯に2000人を超えている様子である。

これには本作が現在Steamの「日替わりスペシャル」に選ばれていることも関わっているだろう。日替わりスペシャルとはSteamのストアページに表示されるセールの特別枠で、名前の通り毎日日替わりでいくつかの作品がピックアップされて掲載されるものだ。日替わりスペシャルに選ばれるためには、過去の収益が安定しているなどの特定の条件を満たす必要があるが、ひとたび掲載されれば1日で1000万回以上の表示回数が見込めるという(関連記事)。

大型アップデート、期間限定無料プレイ、そして日替わりスペシャルといった要因が絡み合って、本作は多数の新規プレイヤーを獲得したのだと考えられる。複数の要素が入り乱れる本作が、こうした合わせ技を見せた点も興味深い。

ちなみに本作は本稿執筆時点で約6150件のSteamユーザーレビューのうち、95%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得している。本作は先述のような極めて多彩な要素が絡み合う世界そのもののシミュレーションをおこなうような作品だ。レビューではそうしたゲームの深みや、今後への期待、Modへの対応などが高く評価されている様子で、本作の世界にどっぷりとのめり込んでいるプレイヤーが多いことが見て取れる。

本作を手がけるGamatronはスウェーデンに拠点を置くインディーゲームデベロッパーで、開発者Jakob de Laval(Jake)氏が運営する個人スタジオである。2020年に本作の開発資金をクラウドファンディングで募り、目標額22万スウェーデン・クローナ(約368万円。以下、レートは本稿執筆時点)のところ、約28万4000スウェーデン・クローナ(約475万円)の調達に成功している。その後、早期アクセス配信の開始からは約5年をかけて、じっくりと本作を作り上げてきたようだ。ちなみに早期アクセス開始時点で開発開始からは6年が経過していたとのことで、合わせれば本作を11年間作り続けていることになる。執念とも言えるほどの情熱が注がれた本作が、あらためて注目を浴びたかたちだ。

ちなみに本作は本稿執筆時点で日本語に対応していないが、公式サイトでは翻訳作業が進んでいることがうかがえる。本作の今後の言語対応状況にも注目していきたい。

『Songs of Syx』はPC(Steam/GOG.com/itch.io)向けに早期アクセス配信中。Steamでは12月19日までの期間限定で日替わりスペシャルセールが開催されており、定価の25%オフとなる税込2100円で購入可能だ。

Naoto Morooka
Naoto Morooka

1000時間まではチュートリアルと言われるようなゲームが大好物。言語学や神話も好きで、ゲームに独自の言語や神話が出てくると小躍りします。

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