『Slay the Spire 2』開発者いわく、バランス調整は「カッコよくて楽しそうなカード」を直感で作って後はひたすらテストプレイ。楽しさも大事なので、“ぶっ壊れ”上等スタイル

『Slay the Spire 2』のバランス調整方法について、開発者が説明している。

Mega Critは3月6日、『Slay the Spire 2』を早期アクセス配信予定。今回はMega Critの開発者たちが海外掲示板Redditにて「Ask Me Anything(何でも訊いて)」企画を実施し、『Slay the Spire』シリーズ独自のバランス調整などについて回答している。

『Slay the Spire 2』はデッキ構築型ローグライクゲームだ。前作『Slay the Spire』は2017年にSteamで早期アクセスの配信を開始したのち2019年に正式リリース。その高い中毒性と戦略性は後続の作品に多大な影響を与えた。のちにPS4/Xbox One/Nintendo SwitchおよびiOS向けにも展開されており、Steamユーザーレビューでは本稿執筆時点で約18万件が寄せられ、うち97%が好評の「圧倒的に好評」ステータスを得ている。

そんな同作を開発するMega Critの開発者たちがこの度Redditに登場し、2月25日(現地時間)限定としながらも質問を募集、ファンからの疑問に回答した。なかでもRedditユーザーのoneflou氏は本シリーズがどのようにバランスを調整しているかについて質問。スタジオ独自の調整方法が存在するのか、またプレイヤーがゲームを「破壊」してしまう可能性は懸念しているのかと問いかけ、この疑問に対し同スタジオでリードプログラマーを務めるJake Card氏が回答している。

Card氏は『Slay the Spire 2』でおこなわれたバランスの調整方針は前作と似たようなものだと前置きしたうえで、その流れを説明した。同氏によると、まず「カッコよくて楽しそう」なカードを考え出すのだそうだ。続いて、そのカードに対し適切にバランスされていると思う数値を直感で書き込み、カードがちゃんと動作するのか開発者自身で遊び妥当性の確認(sanity check)をおこなう。そしてそれらのカードを今度はゲームテスターたちに受け渡し、徹底的にテストしてもらうとのこと。そして翌週には新規カードと調整された既存カードを組み合わせたビルドをテスターに提出、このサイクルによってより磨きをかけていくそうだ。

またプレイテストでは、ゲームテスターの反応を観察することが重要とのこと。特にカードがちゃんと楽しいものになっているかという「主観的な面」と、そのカードの入ったデッキの平均勝率が全体の平均勝率と比べてどうかという「客観的な面」の両方から評価をおこなうのだという。そしてもし必要なら微調整、または完全な作り直しをおこない、そして再びゲームテスターに受け渡すサイクルに戻るのだ。

考え出したカードをゲームテスターに遊んでもらい勝率や反応から微調整を繰り返すという地道なバランス調整の実態が明かされており、ファンには興味深いところだろう。数値だけを基に機械的に最適化するのではなく、「楽しいかどうか」というプレイヤーの感情を考慮しながら手作業でパラメーターを調整する過程も、前作が高い評価を受けた所以かもしれない。

一方で、Card氏はプレイヤーがゲームを「破壊」するのは大歓迎だとも語っている。なぜならカードゲームの楽しさには、意図されていないシナジーを見つけ出して自身を最強(OP)にしてしまうところにもあるからだと説明。しかしそのうえで、もし誰かがそれ以外の戦略を無意味にさせてしまうほどバランスを壊すシナジーを見つけ出してしまった場合は、同スタジオの共同設立者Anthony Giovannetti氏がやってきて“お気に入りの技”としてカードをナーフ(弱体化)するのだと、ジョークか本気かわからない発言をしている。

たとえばTCGでも強力なカードがゲームの環境を一色に染めてしまうケースはしばしばあるものの、『Slay the Spire』の“壊れ”ても「アップデート」によって解決すればいいという割り切った姿勢はデジタルゲームならではの利点といえるだろう。実際に、前作『Slay the Spire』ではWeekly Patchと称したアップデートが毎週配信され、さまざまなバランス調整が重ねられてきた。このWeekly Patchは約1年にわたる早期アクセス期間を通じて継続され、Patch 56を最後に製品版へと移行した。まさにプレイヤーの反応をみて改良を重ねた末に、ようやく完成したゲームといえるだろう。

ゲームによっては弱体化調整が頻発することには不満も生じるものの、本作はプレイのたびにほぼ一からの挑戦となるローグライク作品。たびたびバランスが変化することが概ね受け入れられ、開発方針として続けられてきたのも本ジャンルならではかもしれない。

早期アクセスまで残り1週間に迫った『Slay the Spire 2』でも、おそらく製品版の発売に向けて微調整が繰り返されていくのだろう。見方を変えれば、配信直後は開発者も意図していない“壊れ”シナジーを自らの手で見つけ出せるチャンスでもある。配信への期待が高まるところだろう。

ちなみにReddit上で開発者が明かしたところによると、『Slay the Spire 2』の早期アクセス期間中の販売価格は24.99ドル(約3900円)となるそうだ。なお米国外では価格が変動する場合があるという。

『Slay the Spire 2』はPC(Steam)向けに2026年3月6日に早期アクセス配信開始予定だ。なお、本作は日本語表示に対応する予定。

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Kousetsu Taguchi
Kousetsu Taguchi

レトロゲームショップに入ると真っ先にセガサターンのコーナを確認するタイプです。

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